ダイゴのパーティーは鋼タイプがメイン。対してライラのパーティーはマルチだ。
しかし彼女のエース、フリーザーは不相性。また、ガブリアスの物理攻撃も相手が鋼となるとあまり効果的でない。
有利なタイプはルカリオとギャロップくらいであるが、さすがにその二匹でダイゴを倒すのは無理だろう。(しかもダイゴのポケモンは基本的に弱点という弱点がない)

「(だが、ライラならきっと勝てる)」

いくら避けていたとしてもデンジもライラに帰って欲しい訳ではない。
成り行きとはいえ、こんな提案をしたのはいくら相手が元チャンピオンであってもライラが必ず勝利する事を信じているからだ。
しかしタイプの相性を考えるとやはり不安は拭えなかった。何せ相手はライラのポケモンを知り尽くしているし、ライラもバトルの準備などしていない。

「結局僕が一番強くてすごいって事をわからせてあげるよ」

「全リーグ制覇の力を甘く見ないでください」

「エアームド!」
「レントラー!」

これはまぁタイプ的にライラが有利だな。出だしは上々といったところか。
そう思いながら眺めるデンジの予想通りこれはすぐに片が付いた。

「レントラー強くなったね。でも負けないよ。ネンドール!」

ネンドールに地震の指示を出すダイゴ。
散々ライラのガブリアスに地震でめった打ちにされていたデンジには、ライラが内心相当腹立たしく思っているのがよくわかった。

「レントラーありがとう。お願い!ルカリオ!」

ライラのルカリオは多彩な技を持ってる。
格闘と鋼はもちろん、エスパーなど悪タイプ対策まで完璧だ。
そんな#name_#の手持ちの中でも取り分け優秀な彼も対ダイゴとなれば…

「ルカリオ、波導弾!出血大サービスで!」

波導弾の乱れ撃ちなんていうアグレッシブなバトルスタイルに早変わりだ。

「酷いよ#ライラ!ネンドールに罪はないんだよ!」

「ネンドールになくてもダイゴがウザいから仕方ないですね!」

「お兄ちゃんはそんな子に育てた覚えはありません!ユレイドル!」

「育てられた覚えもありませーん!ルカリオどんどん行くよ!」

低レベルな口喧嘩を交えながらバトルは続く。
ルカリオが大方体力を削られた時、絶対命中の波導弾がユレイドルを倒した。
そしてダイゴはボスゴドラを繰り出す。

「一気に行くよ!ボスゴドラ、地震だ!」

「馬鹿のひとつ覚えみたいに地震地震って!!ルカリオ、インファイト!」

馬鹿のひとつ覚えと言うが、ライラもデンジに対し相当な頻度で地震を使っていたという事は棚に上げている。
そしてルカリオは地震に耐え切れず倒れてしまった。
ダイゴのボスゴドラは先にルカリオが倒れたおかげでインファイトをくらわなかったためまだその足で立っている。
その後ガブリアスを倒され、ギャロップを瀕死に追いやられたライラは思いもよらぬ展開に崖っぷちだった。

「もうライラの手持ちはフリーザーとゲンガーだけ。僕にはまだエースもアーマルドも残ってる。どう足掻いてもライラに勝ち目はないよ」

「…私は、デンジさんが好きなんです。一分一秒たりとも離れたくない。だから、私は絶対に負ける訳にはいかない!」

「ライラ…」

堂々と思いを告げる姿に思わずデンジはライラの名を零す。
自分は好きだと気づいても避けていただけだった。ライラからも、自分の気持ちからも、これからどうすれば良いかを考える事からも『わからない』を理由に逃げていた。
きっと普段と変わらない様子であったがライラは寂しかったに違いない。そう思うと何か底から込み上げてくるものがあった。

「ライラ!」

「え?」

「一回しか言わないからよく聞け!」

「な、なに?」

「お前なら絶対に勝てる!というか勝たないと許さねぇ!俺にあんな変態行為ばっかして何の責任も取らないで帰るなんて死んでも許さん!」

「デンジ、さん…?」

「言うの遅くなったけど、俺、相当お前の事好きみたいなんだ。だから勝て。勝ってずっと隣にいろ」

言えた。
やっと伝えられた。

「っ……わかりました!このバトル必ず勝利します!」

高鳴る心臓と紅潮した顔を収める事もままならない状態でライラは返事をする。
しかしその光景を快く思わない男が一人。

「少女漫画ばりの告白シーンどうもご馳走様。でも残念だね。ライラは僕に負けてホウエンに帰る。そしてこの恋も終わりだよ」

「何言ってるんですか?デンジさんが勝てと言ったんです。勝たない訳に行かないでしょう?」

そう言ってゴウカザルをフィールドに出す。
デンジはそのゴウカザルに見覚えがあった。そう彼の親友、オーバのポケモンだ。
予想外の炎を目の当たりにし、ダイゴは動きを止めた。

「…ライラ、パーティー変えたのかい?」

「そろそろダイゴが来るってシロナさんに言われたんで炎タイプ使い手の四天王さんにちょっと借りてきました」

「なっ…じゃあまさか…」

「残る二匹はゴウカザルにリザードンですよ」

炎の他にそれぞれ格闘と飛行のタイプを持つポケモン。
ダイゴの顔が歪んだ。

「ゴウカザル!瓦割り!」

「ボスゴドラ避けろ!」

「逃がしません!火炎放射からのインファイト!!」

砂埃を舞上げながらボスゴドラはその巨体を倒した。
さすがは四天王のポケモンと全リーグ制覇の廃人だけある。無駄のない動きだった。

「…ありがとうボスゴドラ。お疲れ様」

「これでお互いに残り二匹ですね」

「そうだね。だけどこれから君は苦戦するんだよ」

ライラの手持ちはゴウカザルとリザードン。
そしてダイゴはアーマルドに厨ポケ代表のメタグロス。
勝負はまだまだわからない。