やばい……完徹だ。いつもに増してクマが酷い。
俺がこんな事になってる原因はわかりきってる。ライラだ。

「ヤキモチって何だ」

この四つの文字にもう何時間悩んでる事か。

【やきもち】
自分が愛している人や心を引かれる人の愛情が他の人に向けられることを恨み憎むこと。

いやいやいやいや。愛してるって何だ。違う、断じて違う。

「……オーバんとこでも行くか」


□□□


久しく訪れていなかったシンオウリーグ。
受付でオーバに会わせてくれと頼み、四天王の三番目の部屋に入る。相変わらず暑苦しい場所だ。

「おーデンジ、おひさ!」

「ん」

「どうしたんだよ急に」

「ちょっと、な」

「ライラか?いや、聞くまでもないな。ライラだろ」

「……」

こいつ勘だけは鋭いんだよな。
てか聞くまでもないって何だ。俺=ライラっていう方程式やめろよ。

「で、何かあったのか?」

「……やきもちって何?」

「は?」

「だから、やきもち」

「……自分が愛している人や心を引かれる人の愛情が他の人に向けられることを恨み憎むこと」

「てめぇ、この赤マリモ!辞書と同じ事言ってんじゃねーぞ!」

「何キレてんだよ!?つか赤マリモって俺の事かこらぁ!!」

赤マリモは赤マリモだろ。何だよアフロとかブロッコリーとか呼べばよかったのか?
しかし、やっぱアレはそうゆう意味か。愛して…愛し、……

「だからそんな訳ねぇって!!」

「おいデンジ、お前が何に悩んでるかは何となくわかったから落ち着け。端から見たらマジで不審者だ」

「は?お前マジでエスパータイプか?ユンゲラーになれるぞ」

「(普通にわかるだろ……)」

とりあえず何があったか話せと言われ昨夜(というか今日の真夜中か)あった事を話した。
一週間も他の男のとこ行って俺をほったらかしにした事にイラっとした事や、ライラが微笑んだ時に一瞬息が止まった事。
そしてライラが帰ろうとした時に引き止めようと腕が動いた事。

「……お前さ、自分でそんだけ言っててまだライラの事好きじゃないって思うか?」

「思う」

「あ、ありえねぇ」

「考えてみろ。ジムのスタッフルームはもちろん、住居侵入罪はしょっちゅうの事。人のベットの匂い嗅いでたり、風呂覗こうとしてきたり、あんな変態を好きになる要素がどこにある?」

「ないわな」

「だろ?」

『でもさ』オーバが続ける。
その後に言うであろう事など容易に想像できるが耳を傾けた。

「好きじゃなかったら悩まないだろ?」

「……」

「特に、お前みたいな面倒くさがりはさ」

「……」

「認めるも認めないもお前次第だよ。ただ、後悔はすんなよな」

「……ああ」


(オーバに話したのは正解だったかもしれない)
(だが悩みは増えた)