ベッドの上で男が女を押し倒している。
どうみてもデンジがライラを襲っているようにしか見えない。
そんなところにライラの実の兄(極度のシスコン)が現れたらどうなるか。そんな事は火を見るより明らかでだった。

「ライラを探しに来て、でもリーグは何故か休館で誰もいなくて、シロナには着信拒否されてて、風の噂でナギサジムにライラがいるっていうから来たら……これはいったいどういう事なんだろうね」

「デンジさんが私を襲ってる真っ最「お前は余計な事を言うな!」」

ゆらりと殺気を放ちながら睨みつけるダイゴにデンジは頭が痛くなった。
素早くライラから離れてみたものの、ダイゴの視線は未だ突き刺さる。

「(逃げたい……)」

ダイゴのくろいまなざしの効果でデンジは逃げられない!▼


「いや、あの。とりあえず誤解ですから、お兄さんも落ち「誰がお義兄さんだって?君にお義兄さんと呼ばれる筋合いはないよ!」」

「(何この人めんどくさい)」

「いや、合ってますから大丈夫ですよ!近い将来、私とデンジさんは同じ苗字です!」

「お兄ちゃんはそんなの絶対に許さないからね!」

「うるさい。ダイゴには関係ない」

「何度言ったらわかるんだ!ダイゴじゃなくてお兄ちゃんだろ!?」

「黙れ」

「(ライラ、キャラ違うだろ!)」

ここにきて新たなキャラが立ってきたライラに心の中で突っ込む。
何でもいいがこの兄妹かなり面倒だ。

「言っときますけど絶対に家には帰りませんからね!」

「いーや、今回は僕も本気だ。若い女の子がふらふらと……僕も親父も心配で堪らないんだよ」

「過保護すぎるんです!10歳から旅してる子だって沢山いるじゃないですか!」

「でもライラは可愛いから誘拐されるかもしれないだろ!?」

「(ひどいシスコンだ…)」

「だいたい、ホウエンを出たいって言った時にダイゴは僕に勝ったらジョウトにでもカントウにでも好きなところに行けば良いって言ったじゃないですか」

「言ったよ。それに僕は負けた。だけどマツバ君の家には出入りしてるし、グリーン君とは随分仲良くしてるみたいだし?どこの馬の骨かもわからない男にひょいひょい着いて行っちゃうライラが本気で心配なんだよ!」

「うっざ。あとグリーンとは別に仲良くない」

「(ライラ顔!モザイクかかるぞ!)」

「今回だって彼に隙を見せたからあんな事になってたんだろう!?」

「あれは互いの合意の上での事です!」

「ライラにはまだ早いよ!だいたいこんなニートみたいな男ダメだ!」

「(好き勝手言いすぎだろ。しかも合意ってなんだ。俺が被害者なんだけど)」

先程から口を挟めず黙っているデンジだが、何も言わないでいたらこの二人はいつまでも争い続けるであろう事は感じとれた。
それから貶されすぎてか、なんだか目頭が熱い。そしてはっきり違うと言えないのが辛い。

「デンジさんはニートじゃないです!ちゃんとジムリーダーやってますから!それを言ったらダイゴの方がニートでしょう!?」

「僕だってチャンピオンやってるからニートじゃないよ」

「シロナさんから聞きましたー!ダイゴはチャンピオン投げ出して今ホウエンのチャンピオンはミクリさんだって。それに会社を継ぐつもりもなく毎日りゅうせいの滝で石掘ってるって」

「シロナめ、余計な事を…」

「あの」

勇気を振り絞ってデンジは挙手をする。
二人の視線がこちらに向いた。

「やっぱり二人ともトレーナーな訳ですし、ライラが帰る帰らないはポケモンバトルで決着をつけたらどうですか?」

「敬語のデンジさん!?レアものじゃないですか!!!」

「お前は少しは空気読め」

「……そうだね。君の言う通りだ。ライラ、バトルでこの話の決着をつけよう」

「良いですよ。これで私が勝ったらもう干渉しないでくださいね」

バトルフィールドに向かうツワブキ兄妹の後ろを着いていく。
あれ?これって俺が審判すんのか?バトルの進行の仕方とかあんまわかんねぇんだけどな。

まぁいっか。