──関東ラストマッチ◈結◈




さて、ここは鑑別所。

羽宮姉と佐野真一郎がランニングをサボってフェンスの中のベンチに座っている。



真一郎「……なんで男用の施設にいるんだ?」
羽宮姉「職員が学んだんだろ」
真一郎「何を???」


「学んだんだろ」じゃねぇ、反省しろ。



羽宮姉「……アタシさぁ。」
真一郎「なんだ?」
羽宮姉「正直死んだと思ったんだよ、1発目金属バット、2発目チェーンカッター、3発目鉄パイプで頭イかれてたから」
真一郎「何で即死じゃなかったんだ?」
羽宮姉「さぁ?……昔から石頭なんだよ」
真一郎「……確かにな」


佐野真一郎はchapter1で羽宮姉のパチキにより病院送りにされているから納得してしまった。
羽宮姉の頭は、可愛い鉄太の分、可愛い弟の分、そして佐野真一郎の分の罪を頭で受け止めたのだ。
いくらなんでも重すぎる。



羽宮姉「アタシ、黒川にバチギレられたくないンだけど。なんで佐野サン嘘の供述したん?」
真一郎「…………」
羽宮姉「チャカ用意したの、アンタじゃなくて鉄太なのに」
真一郎「……もう立証できねぇけど、オレは捕まらないとなんねぇんだ」
羽宮姉「何したん?コッワ」


ホームレスを鉄パイプで撲殺しました。
もう立証できないから、そんなこと言って逮捕されようとしても病気扱いで病院送りになるだけである。




羽宮姉「前の時もそうだったんだけどさ」
真一郎「うん?」
羽宮姉「前院入った時も、昔のこと聞かれて答えらんなかったんだよね。今回も。」
真一郎「昔のこと?」
羽宮姉「そう。昔のこと。…具体的に言うと、中学上がる以前の記憶があんま無いんだ」
真一郎「中学ってと、…」
羽宮姉「佐野サンに会う1年前。1999年の8月以前の記憶が無い」
真一郎「………へぇ?」






ここで、この世界のメンバー誰もが知り得ないネタバレを読者のあなたにだけ教えよう。



羽宮姉は、黒い衝動の化身である。




元々そんな人間存在しなかった。
羽宮一虎に姉は存在しなかった。




武道が未来に行って羽宮姉を見つけられないのは当たり前なのだ。

この世界ではたまたま、マイキーを助けるための真一郎の1999年7月30日のタイムリープによって生まれた黒い衝動が、羽宮姉という形を成して、生活に溶け込んだだけ。

だから、一虎も姉ちゃんの記憶にはスモッグがかかっていて、1999年8月より前の姉の記憶が思い出せない。

一虎も姉ちゃんも、DVされてた弊害で精神保護作用として思い出せないだけだと思っているが、1999年の8月以前の記憶は思い出せないんではなく元々存在しないのだ。

一虎が、最初の友達である場地に会うのは羽宮姉がネンショーにぶち込まれている間である。
そして、羽宮姉がパイセンと出会うのは中学1年2学期、つまり1999年の8月以降。

どこにも、羽宮姉が降って湧いたことを証明する人間が居ないのである。




羽宮姉「あぁ、ここ出たらどうしよっかな」
真一郎「イザナが法人創ったらしい」
羽宮姉「ホント仲良いよな、ハガキ屋も儲けもんだわ」
真一郎「経理のポスト、空いてんだってさ」
羽宮姉「アタシ以外に金の勘定できるやつが居ないだけだろバカ集団」
真一郎「はは、間違いない」
羽宮姉「……世間は共働きが流行ってるらしいから、」
真一郎「ん?」
羽宮姉「りんどと結婚して、パートくらいならやってやってもいい」
真一郎「そうか、ウチの確定申告も手伝ってくれ」
羽宮姉「絶対ェヤダ。」
真一郎「そこをなんとか」




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今日は羽宮姉の出所日。

前と違って一虎と場地は迎えに来てない。

というか、日にちを聞かれたけど答えなかったのだ。
一虎と場地にも、パイセンにも、りんどにも、王にも秘密にした。
「自分で歩いて帰るから、帰ったらおかえりって言って。」
この言葉で黙らせた。


なぜかって?



羽宮姉「おう、久しぶり」
?「………久しぶりだな」
羽宮姉「元気してたか?鉄太。」


「院出る日、1日開けてくれ」って誰より先に手紙送ってきた、先約があったからである。








羽宮姉「で、話って?」



出会った公園。
稀咲鉄太の第2の恋はここから始まった。

出会った時とおなじ季節。
お互い歳だけとっていた。
出会った時は小6と高1。
今はもう、中3と社会人。





鉄太「……………」
羽宮姉「あ、チャカの件は謝んねぇし、謝らせないからナ」
鉄太「違う。」
羽宮姉「wwww、ならどしたん。怒んねぇから言ってみ?」


相変わらず鉄太に甘い姉である。
いくつになっても可愛いんだから仕方がない。



鉄太「アンタのこと、好きだ。」
羽宮姉「・・・ヘ?」
鉄太「初めて見た日からずっと、アンタのことが、好き。」




時が止まる。道路走ってる車の音だけがやけに大きく聞こえる。



羽宮姉「……え?鉄太って、ヒナチャンのこと、」
鉄太「橘のことは好きだったし、橘もオレのこと好きだって思ってた。理由もない、ちょっと話しかけられただけで。」
羽宮姉「…………うん、」
鉄太「けど、一目見た時からアンタに目が奪われて動けなくなった。気づいたら、橘の事よりアンタのことの方がよく知ってる自分がいた」
羽宮姉「……………、」
鉄太「今ならわかる。橘は別にオレのこと好きじゃなかったし、アンタはオレを大事にしてくれるけど、…弟か何かだと思ってる。」
羽宮姉「……………」
鉄太「オレに、正しい恋を教えてくれたのはアンタ達だったから、アンタ達の言ったようにする。フラれるって分かってても、言う。愛してる、羽宮愛美。」
羽宮姉「鉄太……」
鉄太「………さっさと帰れ、彼氏のとこでも天竺でも。」
羽宮姉「っ"、」
鉄太「クフww何でフった方が悲しそうな顔してんだよw」
羽宮姉「だって、お前、……なぁ、また会えるよな…?」
鉄太「あーあ。もう2度とアンタみたいな鈍感女と会わない。こんな事なら橘に惚れてたままだったら良かった。アンタみたいな、…あんなにアピールしてたのに、あんなに可愛がってくれたのに、オレのこと弄ぶだけ弄んだくせに、告白されて簡単に他の男にコロッといく酷い女のことなんか早く忘れてやる」
羽宮姉「…………」
鉄太「あんなチャラ男より、オレの方がよっぽどイイ男になってやる」
羽宮姉「……え、」
鉄太「明後日からアメリカの高校に行くんだ。だからもうアンタとは会わない。

大好きだった、今も愛してる。
じゃあな、羽宮。」

羽宮姉「っ"、鉄太!!!」
鉄太「…………。」
羽宮姉「\頑張れよ!!世界で1番、応援してっから!!!/」





鉄太のパーフェクト恋愛教室、
これにて卒業試験を修了する。

生徒である稀咲鉄太の成績はもちろん、
100点満点である。




ああ、半間?
半間いま頭バグるほどスピードラーニング聞いてる。アメリカに連れていかれるらしい。ダリィ〜♡



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さて、一虎の姉ちゃんは現在ホームレスである。
なぜかって?

院入る前まで住んでた()ラブホが無くなってた。

そう、無くなってた。空き地になっててクソビビった。
は?アタシの家は?

場所間違えてんのかと思って何回も周辺探してみたけど、間違えてないことは、昔からお向かいにある便所が汚ぇラーメン屋が証明している。


ど、どど、どうしよ……



出る時教えろって言われてたのはコレが原因である。





さぁ、どこに帰ろうか。

一虎が居る実家?
パイセンが居る大寿の家?
黒川が作った天竺の事務所?
竜胆が居る六本木のタワマン?





この時の羽宮愛美は知らない。
院出たばっかりなのに、羽宮とサウスに証人欄の記入して欲しいパイセンと大寿が3日後に籍入れることも、モッチーとムーチョと獅音が解体されるラブホから羽宮の荷物全部天竺の事務所に移して保管してくれてることも、竜胆との結婚式で黒川とバージンロード歩くことも、蘭がめちゃくちゃ兄貴ヅラしてくることも、一虎が高校サボって留年して場地と千冬と同じ学年になっちまったことも、場地の獣医学部の受験勉強手伝わされることも、まだ、知らない。