新宿エンカウント-後編




さて、後編に移ろう。




半間修二をゲーーーット!!した稀咲少年はまず長内を愛美愛主のトップに動かすところから始めた。


その傍らで、あのぶっ飛んだワガママ娘2人がやりたいことを思い通りにやるための舞台を動かし続けた。
稀咲の頭良かった点はここだ、「あの2人を止めるのではなくあの2人をサポートする」作戦を取ったところである。

「危ねーから止めろ」タイプの男は一虎の姉ちゃんとパイセンの周りに腐るほど居る。聞き飽きているのだ。なぜオマエらの言う事聞かにゃならんと思いながら笑ってガン無視キメている。
止めること自体は間違いではない、2人とも何回も危ない目に遭いかけている。
しかし夜遊び上等のこの不良娘達は親父との遺恨がエグいのだ。だから過干渉な親父に似たこと言うやつはウザイの一言に尽きる。「選ばれたのは斑目でした」になるのは、モッチーとムーチョが基本自分たちのやりたいことを止める側だからである。蘭(とそれにくっついて動く竜胆)とイザナは気分屋の猫みてぇなもんなんでノーカンとする。
お友達としては好きだけど、やりたいことは止められたくないからイイコのフリをしている。バレてるけど。しかもバレてるって分かってるけど。笑って黙らせている。

スパダリに調教された稀咲は、女のワガママを叶えてやる甲斐性を身につけたのだ。一虎の姉ちゃんに気に入られたこの状態を保つために真面目な格好のまま真面目に勉強しつつ半間を使って新宿にオレの権力を広げる、知将かオマエは。もともとの頭の良さとミラクルイリュージョンを起こしエラいことになっている。





こうして、道化師が創ったカラフルな舞台を死神が動かし、バチバチ発光する悪魔2人が最っ高の笑顔を浮かべて踊りたいように踊り続けるという永久機関が完成した。




もちろん、一虎の姉ちゃんとパイセンは鉄太と修二がウラでなんかしていることに気がついているが、邪魔をしないので黙っている。「あるものは使うだけだろ」「気づかないフリも可愛さの1つよ♡」なのだ。







「ねぇしゅうちゃん」
「ん?🚬」
「タバコって美味し?」
「…吸ってみっかァ?」
「んー、」
「パイセン。それだけは。」
「……ん。」
「あん?なんか吸っちゃマズいン?」
「アタシ達、体が資本だから」
「お嫁さんになった時使い物にならなかったら大変でしょ?」
「タバコって顔も老けっからな、ヤクもそう」
「ばはっww、アンタらからお嫁さんなんて単語が出てくると思ってなかったワww一生遊んでそーじゃんwwww」


半間的には軽く言った言葉だった。



「今だけなの、コレは」
「アタシ達はやらないといけないことがある」


どこを見ているか分からないほど遠くを眺めた横顔でそんなことを言い出すから気になった。


「やらないといけないこと?」
「リベンジ」
「………なんの?」
「マトモな家庭」
「…へぇー?」
「だから未来にヒビくことはできない、目玉商品からハズれるわけにいかないの♡」
「目指せ3高との結婚掲げてンだよ」
「ふーん、アンタらなら正直、自分で働いてのし上がったほーが幸せに慣れそうなもんだけどな」


この半間の意見はド正解である。2人とも最悪の環境をどうにかしようと戦ってきた強い人間なので、むしろヘタな付属品がない方が幸せになれるのは自分でも分かっている。
しかし彼女達は自分たちの過去をさっさと払拭したいのだ。「「私達は全力を尽くしたのに幸せを摘み取られた。悪いのは私じゃない」」その確信が欲しい。母親が男選び失敗したから悪いことを証明したいワケだ。
「「よし分かったオマエらの文法で戦ってやるよかかってこい」」の気持ちで回りくどい方の幸せへの道を歩いている。



過去を葬り去る為に前を向いて未来に猛ダッシュし、でもできるだけしっかり現在も楽しむ。それが彼女達の人生なのだ。





「私たちはね、血で血を洗いたいだけなの」
「暴力男の下劣の血が半分も混ざったこの体を塗り替えてくれるやつを探してんだよ」
「下劣wwどこのエーミールww」
「最高の旦那餌食見つけないと♡」
「一発目はなんも悪ぃことしてないのに失敗しちまったからな、さっさと次だ次」
「今のゴミは断捨離してチェンジよ♡」
「コッッエー女ぁ〜!!wwww」


この胆力、半間の目にコイツらが発光して見えるのはこの不屈の負けん気が理由である。稀咲も一虎の姉ちゃんもパイセンも、半間にはない地獄の業火みたいな熱をもっていて、その熱は半間を捉えて離さなかった。
















それでは新宿エンカウント後編に移ろう。





本命童貞竜胆クンがまだ灰谷竜胆って呼ばれてるのに、半間がいつの間にか「修二」って呼ばれるようになったあたりでやっと長内が愛美愛主の総長になった。

本当は暴力振るうヤツ嫌いなのだが、昔から知ってるしなによりコイツ馬鹿だあらケンカ以外ないんだろーなって思ってる一虎の姉ちゃんは長内を止めることは無かった。

長内も、チームの中ではイキりアクセル全開だったが一虎の姉ちゃんに偉そうになったりはしなかった、だってちょっと怖いので。









「は?……誰だテメェ」


一虎の姉ちゃんとパイセンの住んでいるラブホには、一虎の姉ちゃん達の部屋の前に直通する非常階段があり、S62及びその他関係者はその非常階段から上がってくるのだがその非常階段でタバコ吸ってた半間が斑目とブッキングした。




目と目があったら次には拳なのでフツーにボコりあいになり、外がうるさかったので黙らせてやろうと出てきた姉ちゃんがまとめて両方階段から転がそうとした。死んだら黙るかなと思って。転がして殺そうとすな。







「んー、こんなことになるならもう出入りする人全員決めておきましょうか♡」


パイセンと一虎の姉ちゃんが座る貝殻のベッド中心に無駄にデケェ男が1.2.……9人と小学生が2人集まっている。知り合いだったら仲良くするでしょう♡などと呑気に笑っている。


「ここに居るヤツは入ってきてオッケーだから。あとアタシと同じ顔した弟は入っておっけー」
「いやコレどういう繋がりなン??」
「S62+αとパイセンのお供2人とオマエら」


よくここまでカタギじゃ無さそーな男集めて来たなみてぇなヤベェ空間の完成である。人殺しが4人も紛れ込んでやがる。


「名前言ってけ、知らなかったらややこしーだロ」
「「「……………」」」


基本全員反抗期で人見知りなので誰も話そうとしない。




「てかなに、ソコのノッポが知り合いなのはわかったけど、あっち座ってるガンギマリのチョンマゲ誰」

半間にボコられた獅音が尋ねる。ガンギマリのチョンマゲ野郎は柴=チベットスナギツネ=大寿の横に座っている。

パ「さっちゃんのこと?」
?「オレか?」
パ「♪さっちゃんはねー、サウスって言うんだ本当はね♡」
蘭「どんなさっちゃんだよ」
モ「ちっさくねぇよバケモンデケェよ」
ム「さっちゃん(2m超)」
サ「寺野南だサウスって呼べ」
イ「しかも本名ミナミかよ」
パ「ん〜、じゃあ、、、みっちゃん?でもさっちゃんはさっちゃんだし…」
鶴「なんだろう、オレ多分この人と会話通じたと思ったこと無い」

寺野南さっちゃん。ヴィイヴォオ!!!と鳴くソイツはパイセンがストリートピアノを弾いていた時一本釣りして飼いだしたらしい。以降大寿と一緒にパイセンに付きまとっている。ちなみに大寿はサウスをデケェし邪魔だなって思っている。姿見を柚葉に出してもらった方がいい。




イ「オマエどっからこんなヤツら集めてきたんだよ」
姉「勝手にたまり場になってるだけだからな」
イ「は?勝手ってなんだよこのオレがわざわざ来てやってんだろーが」


周りの奴が一応胡座で座っているというのに、長ソファ1人で占領して寝っ転がりながら煎餅食ってるイザナが「引くわー」みたいな顔で見てきた。
イザナ的に羽宮は極悪の世代の1人だと思っているのでオレの言う事聞けよの態度で接しているのだが、そんなこと一虎の姉ちゃんの知ったことでは無いので今日も今日とてガキのケンカみてぇな言い合いばかりしている。


ムーチョはもうこの暴走暴れ馬女子勢がいまさら何をやっても驚かないし、彼は優柔不断で誰かに統率を取られることを悦に思うタチなのでやりたいようにさせている。ヒマな時は車で一緒にショッピングまで繰り出してくれる優しい男(院経験アリ)だ。もう何回この部屋にIKEAのサメ運んだかわかんねェ。


大寿は死んだ顔で横のヴィーヴォ!!!の質問にテキトーに相槌を打っている。


竜胆は元々タレ目ガチな目尻を心配そうに下げて稀咲少年を睨んでいる。アイツだけなんか贔屓されててズルい、そんな弟ヂカラがムクムク湧き上がっている。
ソレを察したブラコンの蘭が「(しっかたネェなぁ兄ちゃんがちょっと助けてやっかー)」の気持ちでパイセンに向かって「で?結局どれが本命?」なぁんて聞きやがった。恋バナの流れを作ってやろうと思ったらしい。とばっちりで大寿の心臓にクリティカルヒットした。


パ「えっと…?本命??ここに居る子はみんなお友達だから違うよ?」
蘭「えー、じゃあそろそろオレのこと意識してくれねー?」
大「っ"!!」



港区に住んでいる蘭も元のパイセンをちょっとだけ知っている。だからこの高嶺の花を味見してみたいのだ、丁度いい。



パ「ふふ♡灰谷君は綺麗なお花だから、そういうことは蝶々さんに頼んでね♡」


パイセンはにじり寄って来た蘭の手を取ったかと思えば、自分の息がかかった"そういう店"の名刺を握らせやがった。


「──っ、」


蘭は人生において初めての対応に目ェ見開いて停止した。どこぞの帝よろしく「オレがこうすることで喜ばぬ女はいなかった」とか思っているので仕方がない。




「どした眉間にシワ寄ってんぞ灰谷竜胆」「…何でもねーよ」「お腹痛いンか?トイレ行くか?」「痛くねーよほっとけ」「はぁ?なに、ウンコ恥ずいヤツ?誰も笑わねぇって」「なんでオマエはオレがほっといて欲しい時だけ絡んでくンだよ!!」「オマエがスネて構って欲しそうだからだろーが」「もっと他のタイミングあるだろーが!!普段岩塩みてぇなクセに…!!」「まったく手ェかかるヤツだな〜、一虎かよーー(頬っぺたを突く。なお竜胆のことは完全に弟だと思っている。)」「ミィ゙…っっ!!」




「(灰谷って灰狂戦争の灰谷だよな?やっぱとんでもねぇなアイツら♡)」なぁんて思いながら半間がニヤニヤ笑っている。



鶴蝶と稀咲は同い年なのだがお互いまったく興味が無さそうだ、メッチャ大人しい。稀咲は関係性の把握に忙しい、マーケティングの戦略を立てにゃならんので。自分の保護者(イザナと半間)にベッタリである。まぁ前者は保護者というより要介護人物だし、後者に至っては道具なのだが。









「よし顔合わせたな、もうメンドクセーことすんなよ。アタシ達はもう寝るから出てけ。さっさと全員帰ってクソして寝ろ」などと自分から呼んでおいて追い出されたので全員帰路につこうとした。

地上に降りたその時、天竺のウワサをしっていたサウスが横にいた斑目に掴みかかった。


ラブホの下で大乱闘が始まった。半間はメンドクセェのでしれっと稀咲と一緒に帰った。乱闘中が好きとは言ってもあれは乱闘中(致死)だ。別に死にたい訳では無い。
大寿はここで暴力振るってパイセンに見つかったら嫌なので無視って帰った。


つまり、天竺とサウスが熾烈に殴り合いを始めたわけだ。天竺四天王と親衛隊のムーチョをボコボコにしたサウスはその勢いを止めずイザナに向かって殴りかかった。当たり前だがイザナはバカ強いのでフツーにサウスをノした。


「オレとやりたいなら万全の状態で来い」


カッケェ。極悪の世代はイザナのこういう強さに惹かれるのだろう。あのバケモン相手に「万全の状態で来い」だって。オレの最強の王にどこまでもついて行くという鶴蝶の忠誠心がまた今日も上がった。





「つまり何?あん中で大将が1番強くて、それとはバイク持った羽宮が同レベで、その次がサウスってこと?」「全員がバケモンなことしかわかんねェ」「1番やべーのバイク握って迷いなく轢き殺そうとしてくるバカだろ」「ストグラであの小回り効くライテクもってんのアイツくらいじゃね?」「灰谷ん家のマンションの立体駐車場ヤベェことになったもんな」「さすがに怒られたからなアレ」「オレも兄貴もなんもしてないのにオレらが謝らされたんだからな」「は?オマエらが謝るのなんか当たり前だろ」「もー大将〜」「羽宮ん家の前で四天王決めたの懐かしいな」「ちょうど1年くらい前じゃね?」「今日と全く一緒、急に呼び出されてボコりあいが始まる」「抗争でも何週間か前に予告あるンだワ」「一番修羅ってんのどう考えても急に呼び出してどうにかなると思ってる女2人だろ」「無視ったらメンドクセーしな」「は?羽宮は可愛いだろ」「「「出たよ」」」「ハイハイ可愛い可愛ブォッッ!!」「ま、斑目ーー!!」「また斑目が死んだ!」「この人でなし」「この場に人でなしじゃない奴いねぇだろ」「テメェ羽宮のこと狙ってんのか殺す」「オマエが可愛いとか言い出したから賛同してやったんだろうが面倒くせぇな…」「オイ」「「「「ハイ」」」」「オマエら何サウスに負けてんだよ殺すぞ」「無茶言うな大将」


明日もガッコーがある天竺一同は仲良く家に帰って行った。




以上、斑目と半間が非常階段で殺、……転がされかけてから一虎の姉ちゃんの周辺の謎メンが全員招集され、ヤベー男天下一武道会(非公式)でイザナが優勝するまでが新宿エンカウント(後編)である。




前編に出てきた長内の影が富士山頂の空気より薄くなったところで今回の記録を終了する。


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