「これが20銭、こちらは10銭」
『わあ…これが明治の貨幣ですか…』
「ちなみに10銭はパン一升が買えるくらいだな」

名前は早くこの時代に順応する為、鯉登から様々な事を教わっている最中であった。更に彼の説明は大変分かりやすく、どんどん新しい知識を吸収して行き名前にとってはとても有意義な時間となった。

「金に関してはこんな所か」
『お陰様でお札や小銭、物価についてなどもある程度頭に入れる事が出来ました』
「これに関しては最初からあまり詰め込まなくても良いだろう。その内自然と覚えて行くものだ」
『そうですね、ありがとうございます!』






『鯉登さん、達筆すぎて何が書いてあるのか読めません……』
「は?」

今度はこの時代の読み物が見たいという名前に、鯉登は自分の日記帳を手渡した。
数ある書物の中からなぜ日記だったのかと問われたらそれしか読ませられるものが無かったからであり、特にこれと言った理由は無い。
そしていざ読ませてみれば「読めない」と来たものだ。

「……貴様正気か?お前も日本人だろう」
『違うんです鯉登さん!未来では基本、簡略化された漢字にひらがなの組み合わせが主流なので、旧漢字にカタカナと言うのは読みづらくて…あとなんかにょろにょろしてますし…』
「失礼な奴だな」
『す、すみません…』
「まあ、軍で付けている日記だから畏まって書いてはいるが、日常では簡略化された漢字を使うし、ひらがなも使うぞ」
『そうなんですか!?』
「うむ」
『それならあまり難しく考えなくて良かったですね…!安心しました。』
「お前は少し詰め込み過ぎだ。勤勉なのはいいが、最初から飛ばすと疲れてしまう」

頭にぽんと鯉登の大きな手が置かれると、名前はちょっぴり恥ずかしそうに目元をほんのり赤く染めた。



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