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北海道の根室にて、名前は初めて宇佐美と対面した。

第一印象はお顔は美形だが怖そうな人、である。
初めの方こそ緊張してうまく接する事が出来なかったが、数日経つと少しずつ慣れてきて、普通に喋れるくらいにはなった。

彼らが一体何をしているのかは詳しくは分かりかねているが、細々とした雑用などをこなしつつ、出来る事は積極的に行動し、なんとか過ごしていた。






『あれ?宇佐美さん、棒人間の落書きまだ残してるんですね』
「あー、これね。入れ墨にする予定なんだ」
『めちゃくちゃ気合い入ってますね…!』
「でもさ〜、鯉登少尉が洗って来いって毎回煩いんだよねえ。ちょっと黙らせて来てよ」
『え…!私ですか!?』
「だって君、鯉登少尉の恋人でしょ?それくらい…『ち、ち、違いますよ!』
「違うの?」

からかっているとか、冗談を言っている様子は無く、本気で名前と鯉登が恋人だと思っていたようで、宇佐美はきょとんとした様子で彼女を見る。

『ぎ、逆にどうしてそう思ったんですか…』
「だって距離近いし、何かとすぐふたりで居るし、あとなんか君らの雰囲気?」
『ん〜〜…!』

そんな風に見えていたのかと言う驚きと恥ずかしさで名前はなんとも言えない気持ちになる。
次に鯉登に会った時にどういう顔をすればいいのか分からないと頭を抱えるも、結局は狭い範囲でしか行動していない為、会わないようにすると言うのは無理な話しで、鯉登とは割とすぐにエンカウントする事となる。


「苗字、少し手伝ってくれ」
『あ、はっ、はい…!』
「……?何をそんなに慌てているのだ」
『い、いえ…!そんな事は…!』
「………」

いつもならしっかりと目を合わせてくる名前が、今は何故か目を白黒させていて、一向にこちらを見ようとしない様子に鯉登は少しばかりの苛立ちを見せた。

「おい、先程から目を逸らしてばかりではないか。ちゃんと私を見ないか」
『……す、すみません!』

いつもより数段落ち着きのない彼女の様子に鯉登は更に眉間の皺の数を増やす。

「…何かあったのか?あったのなら話せ」
『いえ、そんな事は…』
「話せ」

整った顔がぐぐっとこちらに近付いて、変に意識してまった名前は思わず下を向く。その行動に鯉登は眉をぴくりと動かし、片手で名前の顎を掴むと強制的に自分を見るよう上を向かせた。

『…っ、…!』
「私に隠し事は無しだ」








結局、全てを話してしまった。


「…で、お前と私が?周囲の人間から恋人同士に見られているのではないかと思ったと?それで変に意識してしまった…と言う事か?」
『…………はい』

顔から火が出そうだった。出るわけはないのだが、出そうなくらい熱かった。

「宇佐美から言われただけだろう?」
『………はい』
「………」

鯉登はしばらく考えるような素振りをすると、再び名前を見下ろし口を開く。

「…言わせておけ。私はそう思われていたとしても構わん」
『え…?でも……』
「構わんと言っている」
『…っ、』

ああ 顔が熱い
自分の心臓の鼓動が早くなった気がした。



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