01


 

博愛主義者みたいな誰にでも優しくて、誰にでも良い顔をするような人間が私は嫌いだ。


「…梅宮さん!連絡先を、教えてもらえませんか…!」


彼と見知らぬ少女のやり取りをたまたま通り掛かりに見かけた私はその場で立ち止まり、そそっと身を隠すようにしてふたりの様子を眺めた。

その少女は頬を少しばかり染め、連絡先を知りたいのだと彼へ伝えると「おう、じゃあ今日から友達だな!」などとあっさり受け入れる梅宮に私は表情を無にした。

梅宮の目線の先にいる彼女はとても嬉しそうで、その笑顔はキラキラしている。


『( …馬鹿馬鹿し )』


大して知りもしない人間の事をあっさり友達と言いのけられる薄っぺらさに梅宮一という男を冷めた目で見つつも来た道をそっと引き返したのだった――。







『私、梅宮さんきらーい』
「何よ来て早々」
『……なんであんな天然タラシのボケナス天然バカがあんなにモテるの?意味わからなくない?』


橘ことはの働く喫茶店、喫茶ポトスへ駆け込むなりひとり荒々しくカウンターテーブルを叩きながら悔し涙に暮れ始める。ゆったりとして温かみのある店内の雰囲気には似つかない様子だ。


「でも好きなんでしょ?」
『………』
「いい加減素直になんなさい」
『でも!あの人絶対メンヘラ製造機よ!なんでこの私があんな奴なんかに…っ、』
「もう既にメンヘラみたいなもんじゃない?」
『確かに拗らせてるかもしれないけど私はメンヘラではない!』
「まあ…沼に沈められたアンタの負けってことね」
『いやああああ!!』

まるで全てに絶望したかのように頭を抱える名前を今度は呆れた眼差しを向ける。

「もう少し素直に生きれないもんかしらねえ…」
『それが出来たらこんな事になってないの!』


名前は風鈴に通うひとつ上の学年の梅宮へ好意を寄せていた。
それはもう大いにである。


片想いを拗らせに拗らせている名前は中々彼の前で素直になれず、どうしてもツンケンしてしまう。
しかし、そういう態度をより加速させているのは梅宮という人柄にも起因している。

社交性が高い梅宮の周りには人が沢山集まってくるうえに人付き合いの幅が広い。
故に誰に対しても態度を変える事なく、そして分け隔てなく接する事が出来るのはひとつの才能と言えよう。

そんな梅宮とは対照的に名前は特に同性から反感を買ってしまうタイプの人間で、人間関係では苦労する事が多々あったからこそ、梅宮の行動は読めず理解出来ない事も多く、それが恐ろしくもあり苦手であった。


『全然タイプじゃないのになあ…』



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