いつものお客さん

 きゅうりが豊作の年には必ず、妙な客人が訪ねてくる。見上げるほどに背が高くて、前をきちりと閉じた立襟マント姿のその人は、緑深い田舎風景からすると二三層浮いていて、そのせいか高圧的であったが、うわぜの割に薄い体と、ごわつい。子供が野遊びでやるような葉っぱの面で顔を隠しているのも和みどころかと思えなくもないが、恐ろしさすら感じられた。前後左右にゆらゆらと揺れながら、今にも転んでしまいそうな危うい足取り。

祖母は取り損ねて巨大化したきゅうりを麻袋にたくさん詰めて、その人に手渡していた。
水かきのある足跡と、ぷんと匂う川臭さから河童なのではと検討をつけてみたが、祖母に聞いてもはぐらかすだけで教えてくれなかった。
それでもしつこく食い下がると「はっきりさせてなんになる」と私の方を見ずに私はそれ以上なにも言えなくなった。
流行っているらしくて、裏庭の柿がたくさん実った年にも。膨れた尻尾が三つ見えていて、私は慌てて視線を下げた。


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