プリン

幸福というものは、奪い奪われるものだ。無防備に冷蔵庫なんかに入れておく方が悪い。大吉は奪い取った幸福の味を噛みしめながら、考えていた。
 最後の一匙をすくい上げ、つるりと口の中へ落とし込む。カラメルのほろ苦さを堪能していると、草介が買い物から戻ってきた。
「ああ! それ僕のプリン!」
「おや、君のだったのか」
「僕以外いないでしょうよ。もう何てことするんですか。買って返してくださいよ、今日中に」
 どさりと床に置かれた買い物袋からは青ネギが一本、飛び出していた。


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