生き残るのは、私か貴方か

見渡せば死屍累々。志半ばで倒れた仲間たちを一瞥し、私は彼と向かい合う。彼が浮かべる表情からは焦りが見て取れた。まさかこんな小娘と一騎打ちになるだなんて予想していなかったのだろう。
 私は微笑んだ。余裕があるからではない。体に纏わりつく疲労感をごまかすためだ。今にも逃げだしそうになる己を鼓舞するためだ。この場にいる愚かな自分を嘲りたいがためだ。
 馬鹿みたいだ。こんな勝負を受けた私も、勝負を仕掛けた貴方も、嬉々として参加した誰もかも。
 私はナイフを握り込み、目の前に待ち構えている三十五皿目のハンバーグに切りかかった。残り時間はあと一分。
 この勝負、絶対に負けてたまるか。生き残るのは、私だ。


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