貴方の吐息

恋を孕んだ貴方の吐息を聞く度に、私の心はだんだんと黒ずんで、だんだんと歪になっていく。
 ああ、貴方の想い人が死んでしまいますようにだなんて。裂けるほどに泣き喚く貴方のことを誰よりも近くで慰めてあげたいだなんて。思ってはいけないのに。願ってはいけないのに。

 貴方の吐息に侵された私の心は、あと半月もすれば形を失い、ドロドロに溶けてしまうのだろう。汚い汚い液体になって、元の心なんて跡形もなくなって。

 それまでにどうか、どうかわたしを、すくいあげて。だれでもいいから、わたしをすくって。


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