140字SS*amaryllis
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※CP混合ご注意(主にサクラ受)
 『お題』と書かれたものは、Twitterのお題機能で作りました。












*ネジサク


「だから待てと言っている。話を聞け」
「別に話なんてありません」
もうしつこい。話すって今更何を?
ネジさんには彼女がいた。ただそれだけでしょう?
振り返らない私を必死になって追い掛けるネジさんに、私は気付いていなかった。
ああもうという苛立たしげな声の後、後ろから思い切り抱き締められた。

『I Know You Have A Girlfriend』





*ネジサク


「や…だぁ…やめて」
息が出来ないくらい強く抱き締められて、身動きが取れない。
どうして?彼女がいるのに、どうしてこんなことするの?
どうして追いかけて来たの…?
押さえきれない感情で、涙が込み上げてくる。
声を詰まらせる私に、ネジさんは耳元に唇を寄せると、はっきりと言った。
「やめない」

『I Know You Have A Girlfriend』(2)





*カカサク


「サクラ、下がれ」
また、先生の背後に隠される。正直先生でも、この状況で私を庇いながら戦うのは厳しい。
また、お荷物になった。
「いやです」
だから、先生を押し退けて、私はクナイ一つで前へ出た。
私だって、片目だけでは補えない、先生のもう一つの目になりたいの。

『私だって』





*カカサク


「サクラ」
「止めないで、先生。私もくノ一なんだから、戦えます」
絶対に、引く気はなかった。こんな私でも、力を合わせれば、先生一人分の力になれる。
後ろで黙っていた先生が、急に笑い出して、私と背中合わせになる。
背中越しに、にやりと、先生の左目が不敵に細められた。
「サクラ…暴れるぞ」

『ふたりでひとつ』





*ネジサク


「…もう良いです」
「…サクラ」
面倒臭そうに溜め息ついて、何それ。私が悪いって言うの。
急にネジさんが手を伸ばして、拗ねた私の顎を持ち上げる。
吸い込まれそうな瞳が、私をじっと見つめて―。
「…これで直ったか」
瑞々しい音を立て、唇が離れる。
直ったっていうか…もう、不機嫌どころじゃないんですけど!

『ネジがサクラにキスをすると「ちょ…っ…!…こんなことされちゃ、好きになるしかないでしょぉ…!」と困り顔です』(お題)





*ネジサク


スルリと浴衣の襟が緩み、白い肌が月明かりに晒される。
「ネジさん……あのね」
精一杯の、お誘いのつもり。やわらかくはだけた胸元は、意外にもネジの目を釘付けにした。
あと、少し――。距離を詰め、ネジを背後の柱に追い込めば。
――そういうのは、まだ早い。
口早に言うネジに、緩んだ襟をきつく閉じられた。

『乱れた浴衣姿で上目遣いで誘っているネジサクを妄想してみよう』(お題)





*カカサク


二人きりで、気まずいのは分かるよ。
でもこんな雨の中、誰も来やしないって。
今から誰か呼ぶなんて、そんな無粋なことは言わないで頂戴な。
式を飛ばそうと試みる彼女の手を押さえて、耳元で一言。
「サクラを、独り占めしたい」
…ああ、真っ赤になっているな。
まあオレも、同じようなものかもしれないけれど。

『大粒の雨が窓を叩く夜、何でもないように「独り占めしたい」』(お題)





*ネジサク


「どうして、私を選んでくれたんですか?」
唐突なサクラの質問に、オレは彼女の包み込むカップを見つめる。
冷えた指先を温めながら、彼女なりに悩んで、漸く切り出せたのだろう。
「…色々、考えてはみたが」
それでも、こんなものしか浮かばない。
だがオレには、最上だった。
「単純に、好きだからじゃ駄目か?」

『暖かい部屋の中、首を傾げて「理由なんてあれこれ考えてはみたけれど、」』(お題)





*サイサク


泣くほどのことなのかな、と。その時はそんなに気にしていなかった。
グラスに添える手が震えて、さよならと言った君の、覚悟を感じた。
…どうやら焼き餅と言うのは、そう甘く見てはならないらしい。
言わせたのは、君だからね?
あまり恥ずかしがらないように。
「サクラ」
君だけを。
「愛しているよ」

『グラスの氷が溶ける真夏の午後、震える指先は見ないふりをして「君だけを愛している」』





*カカサク


「これが最後ですよ、先生」
そう呼ぶのは、最後。
もうお別れなの。私の優しい先生。
先生は私の決意をまっすぐに見つめて、やっと微かにうなずいた。
唇が頬に下りてかなしみをたどる。
柔らかな口付けを受けながら、その代わりに失ったものが惜しかった。
私はあなたの出来の良い生徒でなくなることが、少しだけ残念なの。

『露が草を濡らす朝、大粒の涙を流して「これが最後」』(お題)(旧拍手文)





*カカサク


これが最後だと、彼女は言った。
オレだって少しは寂しいと思う。もう君に先生と呼ばれないなんて。
だけどね、サクラ。
この口付けの意味が、分かる?
オレがどんなに君を想っているか、分かるね?
君は、オレの生徒でなくなった代わりに、それよりももっと大切な存在になったんだ。

『露が草を濡らす朝、大粒の涙を流して「これが最後」』(kakashi side)(旧拍手文)





*サイサク


「サクラ。空が綺麗だよ」
いつも元気なサクラは、俯いたまま気のない返事をする。
今、君の好きそうな流れ星が光ったのに。勿体ないな。
繋いだ手から、君の中の何かが零れていく。
ねえ、悲しいのならボクを見て。ボクを呼んで。
「ねえ、名前を呼んでよ」
澄んだ声で紡がれるこの名前が、とても好きになったんだ。

『星降る夜に、首を傾げて「名前を呼んでくれないか」』(お題)(旧拍手文)





*カカサク


「私のこと、信じてくれますか?」
サクラは最後になるかもしれない言葉を投げ掛けた。
追い詰められた局面で、彼は当然のように囮役を買って出た。
ああ、と儚く微笑むカカシが、起爆札を持ち震えるサクラの手を取る。
信じているよ。神様よりも。
切なく絡み付く指を、サクラはしっかりと握り返した。

『戦地のI love you』(『I love youを、神様よりも君を信じると訳す』)(お題)(旧拍手文)





*サイサク


百のバラなんて、何故こんな無計画なことをと、君は怒ったけど、ちゃんと意味はある。
黄色いバラの花言葉、知っているかい? ボク達にぴったりだと思うんだ。

ボクの願い。
年を取っても、君と共にありたいということ。
そして先にボクがいなくなっても、それが悲しい別れにならないようにと。切に。

『百本の黄色いバラを、君に贈る』



 ※100本…年老いても共に
  黄色いバラ…笑って別れましょう(お題)(旧拍手文)





*カカサク


「花の命は、儚いねぇ」
風に流される花弁を見つめる、あなたはそう悠長だった。
あれに何を重ね見て、何を秘めていたのか、あの頃の私はひとつも分からなかった。
あなたは何を見て、何を感じていたの。
もう当分答を貰えていない問いは、眩しい青空に滲んでゆき。
ひらりと白く私をかすめ、幾度も巡る花盛り。

『花守』





*サイサク

手入れされたきりの新品のような絵筆の束が、首を長くしてサイを待っていた。
白いキャンバスに向き合うことが、こんなに耐え難いなんて。
いつのまにかこの心を占める、彼女はどうしても無邪気で憎めない。
「分かった、認めるからサクラ」
だから。
愛していると認める代わりに、ボクに絵を描かせてください。

『愛をかえして』

(サイからサクラへ悩ましげに眉を寄せて、『愛してる』と言いました。その言葉の意味は『愛をかえして』)(お題)





*カカサク

「先生、ニーとローどっちがいい?」

綺麗な貌にどす黒い影を纏って、そう詰め寄る彼女は何か怒っているに違いない。
「え、そうだなあ、はは」
「どっちがいい?」
更に凄まじさを増す語気にカカシは背筋がひやりとする。
怒っていることに違いはないのだろうけど……それ以外の選択肢ってないんですか?

『二文字以内で答えを聞かせて』@(お題)





「どうせ私は子供だし、色気もないし」
乱暴だし、と告げる涙の絡む声色にカカシは息を詰めた。
二択を免れたというのに心がキリキリ痛んだ。
「先生、もうはっきりして。私のこと好きなの、きらいなの」

ああ、そんな簡単なことなら、お安い御用だよ。
ほら、きっと何か勘違いしているサクラの、そういう純粋なところ。

『二文字以内で答えを聞かせて』A



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