君をのせて


関東圏のライブハウスでの対バンライブに呼んでもらい、そんなに遠い距離ではなかったため、プロデューサーが車で送迎することとなった。

ライブ終わり、助手席に隼人が座る。最近はプロデューサーが運転する時には“助手席は隼人”と暗黙の了解がHigh×Jokerの中では為されている。

「みなさん、お疲れ様でした。近くなったら声を掛けますから、お休みになってて下さいね。」
と告げるとプロデューサーは車を走らせた。


「プロデューサー、チョコ食べる?」

と、信号が赤になり停止した時を見計らって隼人が声を掛けた。
「ありがとうございます。一ついただけますか?」
そう伝えると、隼人がプロデューサーの手に一つ、丸いチョコを乗せた。

そうして時々お菓子を渡したり、適度にライブの話をしたり…と隼人は常にプロデューサーを気遣っていた。

「隼人くん、眠っても大丈夫ですよ?」
「ごめん、うるさかった?」
少しシュンとした気配を感じた。
「いいえ、とんでもない!お話が出来て嬉しいのですが、明日学校ですよね?今日たくさん頑張ったから、少しでも体を休めて欲しいな、と思って。」
「だって、プロデューサーだって今日一日、超がんばってんじゃん!なのに俺達のこと送ってくれてて…」
「ふふっ、ありがとうございます。隼人くんの気持ち、とっても嬉しいです。でも皆さんをサポートするのが私の役目ですから、大丈夫ですよ。」

隼人の頬が赤くなるが、車内は暗いためプロデューサーには気付かれない。


早く大人になりたい。支えられるだけじゃなくて、プロデューサーを支える男になりたい。

最近、心の中で呪文のように何度も何度も唱えている。時間を飛び越えられないのはわかってるけど、今日ももどかしい気持ちでいっぱいになるだけだ。


「は〜ぁ、俺も早く免許取りたいなぁ…」
窓の外の夜景を見ながらぼそっと呟いた。

「それは楽しみですね。今までとはまた違った行動範囲が広がりますしね。どこか行ってみたいところとかあるんですか?」
プロデューサーはふふっと笑うが、何やら隼人は不満気味の様子。

「…プロデューサーを乗せて走りたいって意味もあるんだけど……」
と言い終わる頃に丁度大型トラックとすれ違ったため、プロデューサーには上手く聞こえず、

「ん?何ですか?」
と聞き返されてしまった。

「な、何でもない!!」


後部座席では他メンバーが寝た振りをしつつも必至に笑いを堪えていた。