警告
「―――。」
聞き慣れた声が聞きたくない言葉を発した。顔はよく見えなかったけれど、たぶん泣いていた…。
バチンと目を開けると見慣れた天井がそこにはあり、“夢”だと気付いた。
「ちっ、なんなんだよ…。」
夢で聞いた声が耳にこびり付いて離れない。とても不快に思い、思い切り髪を掻き乱した。
「お!漣、起きたのか?おはよう!」
「……。」
いつもなら小さい声で返事があるのに、今日は全く返ってこず、道流は不思議そうに“いつもと違う”漣を見つめる。それでも朝食はしっかりたいらげて、1人先に道流の部屋を出た。
○ ● ○ ●
プロデューサーと事務員の賢が静かに、穏やかに事務仕事をしている中、プロデューサーが“あ、誰かが階段を上っているな”と思った瞬間に勢いよく事務所のドアが開かれた。
「おい!!下僕はいるか!!!」
先程までの静かで穏やかな空気が吹き飛ばされる様な、大きな声が事務所に響く。
「漣さん?どうされましたか??」
驚いてパソコンを打っていた手を止め、立ち上がる。お目当ての人を見つけた漣はその人を目がけてツカツカと近付くと、
「下僕は、俺様のことだけ見てればいいんだよ!ばぁあか!!」
「??!」
言い放たれた言葉は理解出来たものの、状況が飲み込めずに困った顔をしていると、
「返事は!?」
ぐっと顔を近づけて訊く漣に思わず、
「は…はい…。」
と返事をしてしまった。
少しの間、漣はプロデューサーの目をジッと見つめていたが、その言葉を聞いて満足そうに口角を上げる。
「ふんっ、それでいいんだよ!」
事務所に入ってきた時とは反対に、鼻唄交じりで部屋を出てレッスンルームへと向かった。
嵐が去ったあと、ドアの閉まる音がとても静かに事務所内に響いていた。
あとから来た道流に先程あったことを説明すると、どうにも嫌な夢を見たらしい?とのこと。それでもやはり「?」マークが頭から消えず、お互い苦笑いしてそれぞれの仕事に向かった。