そんな態度も嬉しいんだ。
昔から男女問わずアイドルが好きなことは重々承知しており、そんな彼にきた、アイドルがアイドルを語る番組企画。
生き生きと語る彼の姿に、出演アイドルやスタッフ達も感心していたり、インパクトは絶大だったようだ。
収録後、出演者がみのりを囲んで、まだまだ話足りない様子で楽しそうに会話している。
とある女性アイドルがみのりの腕に触れて親しげに話し始めると、少しだけ場の空気が変わったのがわかる。
たぶんそれはみのり自身も感じた様子で、髪を直すために腕を動かして離そうとするが、彼女は負けじとまたみのりの腕に掴まった。
「渡辺さん、そろそろ時間が…」
様子を見ていたが、プロデューサーの判断で声を掛けた。
そう、プロデューサーの判断で……。
「ああ、プロデューサー、わかりました。それではみなさん、失礼します。」
笑顔でその場を切り抜け、プロデューサーの元へ駆け寄る。
周囲のスタッフへ挨拶をして、そのまま足早にスタジオを出た。
「助け舟、ありがとうございました。」
「いいえ。…大丈夫でしたか?」
前を向いたまま、話し続ける。次の仕事がそんなに切羽詰まったスケジュールではないため、そこまで急ぐ必要はないのだが…みのりの顔が見れなかった。
「はい。ポケットに何かメモを入れられましたけど。」
“いりますか?”と言うように、笑ってポケットに手を入れてポンポンと叩いてみせる。
自分の感情ではなく、プロデューサーとして、スキャンダル的なところは抑えておきたかった。
あくまでプロデューサーとして…!
「…仕事に支障が出ないようにしていただければ結構です。」
「はーい、プロデューサ!」
声が笑っているのがわかる。
「…何ですか、何か嬉しいことでも?」
ふふふっと笑いながらみのりは顔を覗き込んできた。
「いいえ、何か怖い顔してるから、妬いてくれたのかなぁって思ったら嬉しくて。」
「そ、そんなことは、ありません!」
早歩きがさらに早くなって、担当アイドルを置いていく勢いだ。
「あっははは、待って下さいプロデューサー!」
そう言いながら、引きとめるようにプロデューサーの手に一瞬だけみのりの指が触れた。
次の現場で会ったピエールに
「プロデューサー、どうしたの?何かあった?みのりみたいにハッピースマイル!だよ!」
と、心配される姿を見て、みのりは我慢出来ずに声を上げて笑ってしまった。