ここは……え?
「私の家……?」
昨日は確かに杏寿郎さんと眠ったはずだ。
色んな話をして、抱き締め合って寝た。
しっかり覚えてるけど、今目の前に広がる風景は2019年のカレンダーが掛かった私の家。
枕元に置いてあったスマホは3月25日の月曜日を示している。時間は午前7時。
「……どういうこと?」
戻ってきてしまったのだろうか。
でも私は死んだはずじゃ……。
いや、事故に遭うのはバスに乗る前だから8時過ぎのはずだ。
頭が混乱したまま仕事に向かうべきか、休みを貰って頭の中を整理して考える時間を取るべきか悩んでいると、家の中の違和感に気付く。
「え……?」
テレビ台の横に置いてある本棚に並べてあるはずの鬼滅の単行本が1冊も無い。
間違いなく14巻まで揃えていた。
しっかり刀鍛冶の里で上弦の鬼と対峙している途中までという事も覚えている。
余計に混乱して、本棚の近くまでよたよたと歩いて行くと、ピンポーンと軽快な音を立ててインターホンが鳴った。
こんな時に、こんな朝早くに……と思ったが、一度誰かと会話して落ち着いた方が良いかもしれない、と玄関まで向かってドアを開ける。
「友里!遅くなってすまない!今朝起きた時に全て思い出した!」
「きょ…じゅろ、う……さん?」
ドアの向こうには赤い薔薇の大きな花束を持ったスーツ姿の煉獄杏寿郎。
ギョロっとした大きな目、獅子のような金系の髪には紅が散らばり、見上げるほどに大きな体躯。両眼とも開いているが間違いなく杏寿郎さんだ。
「迎えに来た!結婚しよう!」
「ええぇぇえぇっ??!」
朝早くに私の絶叫がこだました。
END