かなり前に書いたものなので文法やら台詞やら今よりも更にごちゃごちゃしてて読みにくいかもしれないです。すみません。懐かしくなったので載せてください。






本丸には主、もとい私に忠実な刀は多い。

短刀は前田や平野始め、「あるじ!あるじ!」と素直で可愛い子が多いし、(決してショタコンではない。あの子達が可愛すぎるのがいけないんだ…よくお菓子をあげてしまうのは私のせいじゃない…!)大きい子だと小狐丸や一期一振や光忠も慕ってくれているというか、何かやる事はないかよく聞いてきてくれたりする。

…いや小狐丸はセクハラまがいの事が多いな、三日月もか。

元より皆良い子ばかりだから嫌われていないと思うし、大倶利伽羅や山姥切国広も口数は少ないけど根は良い子だって分かる。この前生理で苦しんでたとき2人からチラチラ視線感じてたし、その後部屋に戻った時に置いてあった薬は大倶利伽羅が置いていったらしい。何でも薬研に頼んだとか。その話を薬研から聞いたときは余りのいじらしさに笑ってしまったし、大倶利伽羅にはちゃんと頭をわしゃわしゃしてやった。めちゃくちゃ嫌そうな顔してたけど。あれでバレてないと思っているのが面白い。

話が逸れてしまったが、刀の本分からか主君に忠誠を誓う者は多い、の、だが。

厄介な刀が1人いる。

「主、おはようございます。お顔の調子があまりすぐれないようですが大丈夫でしょうか?昨日夜分遅くまで報告書を書かれていたせいでしょう。蒸しタオルを持ってまいりました。
それと、いつものお召し物にほつれがあったので勝手ながら縫わせていただきました。ついでにアイロンもかけさせていただいたので気持ちが良いと思います。お着替えは手伝いましょうか?」

「主、おやつを持ってきて参りました。いえ、先程短刀達と召し上がられていたのは拝見しました。ですが今日のおやつは主の好きなまかろんでしたので、勝手ながら食べたりないと思いまして、私のも食べていただけたら、と思い持って参りました。ですから私の分のまかろんもどうぞ、主」

「主、寝る前にハーブティーをどうぞ。最近寝つきが悪いようなので…。何で分かるかって?主の寝返りの回数を把握しておりますので。それより、こちら本場イギリスから取り寄せたものなので質はとても良いと思われます。毒見もいたしましたので大丈夫ですよ、安心してお飲みください。
よろしければ報告書の手伝いもいたしますか?あぁ、そういえば今日ほらぁ映画というのを見ていたそうなので、もし厠に行くときはいつでもお呼びください。この鈴を鳴らせばいつでも駆けて参ります。むしろ、部屋の外で一晩中待機していましょうか?」

言わずもがなこれは全てへし切り長谷部。まさにおはようからおやすみまで、長谷部に見守られているのだ。

いやライオンじゃねーよ。

いやいやいや、長谷部も可愛いよ?全然良い子だしちゃんと仕事はしてくれるし、嫌がる子が多い内番も主のためなら…とか言って積極的にやってくれるし。
料理だってよくやってもらってるし。私の好きなおかずばっかり作っててこの前光忠に怒られてたけど。
でも何か、忠実すぎて最近stk気味…コホン、ちょっと私に構いすぎじゃないかなーと思っている。このままだと厠行くときまでついてきそうな勢いなのだ。いやまじで。どこかへ行こうとすると、「主、お買い物ですか?荷物持ちいたします」って何処からともなく出てくるし。お前いたのかよって突っ込みたくなるほど気配消してるし。助かるけどもほんとに荷物全部持ってしまうのも困りものだ。私の手荷物まで取るからすれ違う人達に怪訝な目で見られる私の身にもなってほしい。違うからね、私そんな女王様みたいなキャラじゃないから。

何が言いたいかと言いますと、私としてはもっと長谷部に自由になってほしい。自分の時間をもっと楽しんでほしいといいますか、自分の気持ちをもっと尊重してほしいのだ。
他の刀達というと遊びは勿論、読書をしたり、料理だったり、最近本丸にTVを導入したのでTVを見たり、お昼寝をしたり、内番や出撃がない子はそれぞれ自分の時間を楽しんでいる。
私もずっと出撃を命じているブラック本丸じゃないし、ちゃんとオフを与えているつもりだ。神様にだって休みの時間がないと。

ただ、長谷部だけはその自分の時間を私の世話に費やしているようで、お前いつ休んでんの?って言いたくなる位の社蓄なのだ。違う、私はそんなのを求めているんじゃない!!!





「で、俺っちに相談しに来た、というわけか」
「困ったときの薬研なのですよ先輩」

誰が先輩だ、とこつんと私の頭をたたくのは目の前にいる薬研藤四郎。悩みがあるときはよくこの子に縋り付いてしまうのだ。いつもごめんね、今度団子でも買ってきてあげよう。
本を読んでいたところを私が突撃したから眼鏡をかけている。あぐらをかいてるとこが男らしい。
…このくらいのラフさが、長谷部にも少しはあってくれたらなぁ…。

「ま、頼られてるってのはいい事だ。…大方、同じ主に仕えてたから、ってのも考えたんだろ?」
「ばれてましたか…。薬研は長谷部と同じ主のとこにいたって聞いてたし、他の人より長谷部の事分かってるかなーって」

もし宗三に相談したら、そんなこと知りませんよ、ってばっさりと言われそう。

「うーん…でも俺っちが知っているのも大将が知っている事とそう変わらないぜ?あんま自分の気持ちを言わない人だからなぁ…」

「だよねぇ…。私はそこもふまえて、自分の気持ちをもっと言って、私だけじゃなく他の事や自分の事に目を向けてほしいんだよねぇ…。
私に迷惑がかかってる、って訳じゃないから余計に言いづらいしさ…」
「確かになぁ。悪いことをしているわけじゃないってのが厄介だな。だけど俺っちら他の刀から見ても思うぜ。長谷部の旦那は大将を独り占めしすぎだってな」
「そこぉ!!??」

そういう問題なの!?と言う私に薬研はくすくすと笑う。

冗談だ、と薬研は言うけど、そういえばこの前小狐丸に「主は長谷部だけでなく私のことも構ってくだされ!」って強制なでなでさせられたっけ…。
冗談じゃすまなくなるかもな…ていうか冗談じゃないんじゃ…?

でも、と薬研は言葉を続ける。

「大将は優しいから絶対しないと思うけどよ。…怖いんだよあの人は、主に捨てられるってのがさ」

少し目を細める薬研。その目に映っているものを、私は知らなくて。

「だから、主に捨てられたくなくて、忠誠を表してるってのもあると思うぜ?…ま、大将はそんなことしないって俺っち達は分かってるけどさ」

だからそんな顔すんなよ、と薬研は私の頭にポンと手を乗せた。




命名までしておきながら、直臣でもない奴に下げ渡す。そういう男だったんですよ、前の主は。




その言葉が私の頭から離れずにいた。


**********


「長谷部、ちょっと座って話がしたいんだけど」
「はい、何でしょうか。家臣の手打ち?寺社の焼き討ち?御随意にどうぞ。」
「どれも違う!!」

私は息を思いっきり吸う。

「この際言わせてもらうけど!長谷部は私を気にかけすぎなの!気持ちは嬉しいけどもっと自分のことを考えて!」

そう告げれば、長谷部は口をぐっと噛みしめ、悲しそうな、何かを耐えているような顔をした。

「それは…私はもう用済み、ということでしょうか…」
「だーかーらー!」

私はぐい、っと両手で長谷部の頬を挟んで自分の顔に近づかせる。

「私は長谷部を捨てたり誰かにやったり折らせたりもしないって言ってんの!どんなにあんたが心配して私に忠誠を見せてもね!私が長谷部を大事な自分の刀だって思ってるってことは変わらないのよ!こんだけ私のそばにいて分からないの!?

私は確かに長谷部が傍にいてくれる事も嬉しいけどね!長谷部が自分の好きなことして笑ってるだけでも嬉しいの!分かった!?」

言いたいことを一気に言ったせいで息切れがすごい。ごめん長谷部、多分めっちゃ息かかってるよね。私あなたたちみたいに体力無いからすぐ息切れしちゃうよ。てか苦しい。

当の長谷部はぽかんと口を開けて何が何だか分かっていない顔をしていた。何だよその顔は。初めてそんな顔見たよ。元がイケメンだからなんか阿呆っぽくて笑ってしまいそう。睫毛長いなぁ。てか顔近かったわ。

そのとき、長谷部の綺麗な瞳から、ぽろっと一粒涙が溢れた。

「ちょ、ちょっと何で泣いてるの!!!」

まさか泣くとは思わず、私はあたふたと慌てる。こんなイケメンを泣かせたのは初めてだ。というか大の男を泣かせた事すら初めてだよ。この状況を他の人に見られたら刀を泣かせている鬼畜主って思われるじゃないか。だからそんな趣味はないんだって。
慌ててティッシュを探す私に、長谷部は口を開いた。

「主が、そんな風に私のことを思っていただいていたのが、嬉しくて」

ぽつりと、呟くように、弱弱しくも嬉しそうにそう言ったのだ。

「主の言っていたように、私は恐れていたのかもしれません。あなたがそのような方ではないと分かっていつつも、前のように捨てられてしまうかもしれない、という恐れが、頭の何処かにありました。主に捨てられないように必死になっていたのかもしれません。

…でも、もうそのように馬鹿な考えは捨てます。私の…、俺の好きなように、自分の考えで主に仕えましょう」

まっすぐ私の目を見ながら、そうはっきりと告げた長谷部は、ちょっと前とは違う顔立ちになったような気が、する。

「やっと分かってくれた?長谷部は何でも出来るのにそういうのは鈍いというか…」

やっと見つけたティッシュで長谷部の涙を拭く。主に拭いてもらうなど…と抵抗しようとするが、そんなの知らない。止めようとする長谷部の手を無視し、無理やり拭う。

「私が拭かないとただ長谷部を泣かせただけのひどい人に見えるでしょ?それに、もっと甘えていいんだからさ。あ、あと」


いつも色々ありがとうね。お疲れ様。


そう言ったときの長谷部の笑顔を、多分私は忘れることはない、と思う。


************


「……ていう事が、昨日あったよね?」
「はい、ありましたとも」
「じゃあ何でまたずっと着いて来てるのかな!?」

今までのように、当たり前の如く朝から私についてくる長谷部に我慢が出来ず私は発狂した。後ろで長谷部はすごいすっきりした顔してるけどこっちは疲労困憊だよ!

というかますます頻度増えてきてない!?おはようからおやすみどころか夢にまで出てきそうなくらいなんだけど!おかしいな!?昨日の君の涙はなんだったのかな!?

「昨日、ありがたいお言葉をいただいて自分の気持ちを再確認いたしました。主に言われた通り、自分のやりたい事は何なのかを考え直しました。そして主への思いも再確認したのです。私が思っていた以上に主は素晴らしいお方だと…」
「うん?」
「主に惚れ直したのでございます!そしてたどり着いた答えは、我が素晴らしき主のお傍でもっと忠誠を誓うと!勿論これは捨てられてしまう恐ろしさからでは無く、私自身がやりたい事、です。改めて考え直して、私のしたい事は主のお傍にもっといる、という事でした」
「いやいやいや!それ全然分かってない!私がしたかったのはそういう事じゃないから!」
「主はアールグレイとダージリン、どちらがお好みですか?」
「ちょっといきなりお茶会繰り広げないでよ!どっから出したのそのティーセット!てかそれ高いやつでしょ!自分のおこづかいでまーたそんな高いの買ったんでしょ!」
「私のお勧めはアールグレイです。スコーンも買ってきたんですがいかがですか?」
「話を聞けぇええ!」

私の叫びを聞いてかけつけた薬研に、苦笑いされるまであと1分ーーーーーー。

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