※謎時間軸
「こんな時間に脂っこい食べ物か、マスター」
「うげ、アスクレピオス先生…」
深夜のカルデアの食堂。何時もはサーヴァントやスタッフで賑わっているそこは寂しいほどに静けさを見せていた。
何か食べる物はないかと泥棒のようにごそごそと冷蔵庫を漁る#name#にアスクレピオスが声を掛ける。一番見つかりたくなかった医療系サーヴァントに見つかってしまった、と思わず女の子らしくない声が出る。
「お腹空いちゃって眠れないので。何かあるかな〜と思って…」
あはは、と苦笑いする#name#。前にナイチンゲールやサンソンに見つかった時は有無を言わさず部屋に返された。医療系サーヴァントは深夜のつまみ食いの最大の敵なのである。アスクレピオスはどうなのかはまだ分からないが…。
アスクレピオスは最近来てくれたサーヴァントである。まだ話した回数も少なく、マスクをしている事もあり、表情が読み取りづらくて何となく近寄りがたい雰囲気を漂わせている。静かだな、と思えば#name#や他のサーヴァントが怪我をした時は嬉々として治療しているし、サディストではないらしいがもっと色んな怪我や病気の症状を見せろ、と言う彼は普通に怖い。
「止めはしないさ。好きなものを好きな時に食べるといい」
「先生…!」
意外と物分かりいい人じゃん…!と#name#は顔を明るくさせる。他のサーヴァントのように小言を言われると思っていた。それじゃあ、と遠慮せずにベーコンに手を伸ばす。
「健康に害を及ぼす食事ばかり取るとどうなるか知っているか。現世では生活習慣病なるものが横行しているらしいじゃないか。欲望に負けたマスターがどんな姿になるか気になるからな。僕の事は気にせず存分に堕落してくれ」
ぴたりと#name#の動きが止まる。この人は優しさで言ったわけではない。私が病気になるのを楽しみにしているだけだ。やっぱこの人は理解出来ない…。
「…先生それ無自覚で言ってるんですか?」
「どういう事だ」
「…はぁ、いいです。もう食欲失せたので。残念ですが健康的な生活を送らせていただきますー」
「チッ、まぁいい」
舌打ちする先生だが、そのせいで病気になって目を輝かす先生など見たくない。#name#は諦めてベーコンを冷蔵庫に戻した。
「折角なら寝るまで付き合ってくださいよ」
「…僕は君のように暇ではないのだが」
「今度私の過去の怪我のレポート見せてあげますから、ね?」
「それならそうと早く言え。で、何が聞きたい?」
この人はほんとに怪我や病気の事になると目を輝かせるな…と若干引きながらも、これもいい機会だと#name#は考える。アスクレピオスは他のサーヴァントとあまり交流を図ろうとしない。ケイローン先生も、慣れた事だが少し寂しいと漏らしていた。実際、#name#も他のサーヴァントと比べるとアスクレピオスは話した事が少ないし、これを機に少しでも仲良くなれればいいのだが、と考えを巡らす。
「うーん…。とりあえず私の部屋行きますか。ここだと声を聞きつけて叱りに来るサーヴァントもいるかもしれませんし」
叱りに来るサーヴァントとは、主にエミヤや他の調理を担当しているサーヴァントだが。前科持ちはつらいなぁ、と何故か被害者面をする#name#は場所を移動しようと提案する。
「…お前は女だろ」
「え?そうですよ。え、いやいや今まで知らなかったとかではないですよね?」
流石に自分の見た目は女にしか見えないはずだ。色気があるかどうかは別だが、男に間違えられる事は流石にないのだが…と#name#は自分の姿を思い返す。
そう言い返せば、アスクレピオスは言いにくそうに、少し溜めてから口を開いた。
「…女なのだから、そんな簡単に男を部屋に誘うような真似はよせ」
そう言ってアスクレピオスはふい、と顔を背ける。もしかして、私を女だと認識していたからこそ心配して…。
「もう先生ったらー!私の事心配してくれていたんですね!それならそうと言ってくださいよ!確かに私みたいな可愛らしい女の子が男の人を部屋に誘うのはいけませんよね!」
「そこまでは言っていない」
先生ったら照れちゃって、と#name#はアスクレピオスの肩を叩く。マスクをしていても迷惑がっているのが分かるが、興奮している#name#は気にしていない。アスクレピオスもそんな事を考慮するんだな、と好感度が上がった。何時もの言動が少しおかしいいだけで倫理観はまともなのだ。これだったら他のサーヴァントと打ち解けあうのも時間はいらないのではないか、と一安心する。
すると、何処からかドタドタと走るような音が聞こえてくる。
「マスター!またつまみ食いをしているのか!」
「エ、エミヤ!誤解だよ!私は決して明日のメインのベーコンに手を付けたりしてないから!」
「何故ベーコンの事を…む、本当に食べてないみたいだな。君がマスターのつまみ食いを阻止してくれたのか?感謝する」
「いや僕は…」
「何やら声が聞こえましたが…母の言いつけを破ってまたつまみ食いをしてるのですか?」
「キャットのお手製のベーコンは駄目だぞ!」
「ますたぁ、眠れないなら私が添い寝をしてさしあげると言ってますのに…」
「み、みんな…」
声を聞きつけて何だ何だとサーヴァントがぞろぞろと集合する。人が人を呼んで子供のサーヴァントまで起きてしまった。うぅ、まさかこんなにも集まってしまうなんて…しかもつまみ食いはしていないと言っているのに…。
「…お前はどれだけ他のサーヴァントから信頼されていないんだ」
「…はは」
呆れるアスクレピオスに、返す言葉はないと#name#は苦笑いする。これからはなるべくつまみ食いはしないようにしよう、と心に決める。なるべく、というところに#name#の甘さが見えるのは言うまでもない。
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