「あ、そこの奥の角の向こうの部屋の中に風間さんが見えた。と、私のサイドエフェクトがそう言ってる」
「俺の真似しなくていいですから。それにしても、いつも思うんですけどサイドエフェクトがあるとはいえ風間さん見つけるの早いですね」
後輩の悠一と共にボーダーの廊下を歩いていれば、私の憧れの先輩であり、私の所属している隊の隊長であり、私の想い人である風間さんの姿がサイドエフェクトによって発見出来た。このサイドエフェクトを持って嫌な思いをした事もたくさんあったが、こうして風間さんを誰よりも早く見つける事が出来るのならば持っていて良かったと言えるだろう。
「風間さんを見逃してなんかいたら風間さんファン失格だからね。そう言って、悠一も視えてたんでしょ」
「あ、いや俺は…いや、やっぱ何でもないです」
「え、何めっちゃ気になるんだけど」
「いや、何でもないですほんとほんと。気にしないでください。確かに今風間さんに会う未来が視えましたよ」
「む、むー…。そこまで言うなら聞かないけど…。まぁ、これで確実に風間さんに会う未来になったってことだね」
「ま、そういうことですね」
それにしても、透視のサイドエフェクトを持つ自分が言うのも何だが、サイドエフェクトというものは本当に特殊な力である。隣にいるこのちゃらんぽらんな男だってこんなアホそうな顔をしておいて、未来が視える、だなんてチートなサイドエフェクトを持っているし。
「ふと思ったんだけどさ、いつか心を読むサイドエフェクトが生まれてもおかしくなさそうだよね」
「うーん、心を読むとまではいかないけど、そんな感じのサイドエフェクトを持つやつは入って来る気がしますよ」
「悠一のサイドエフェクトがそう言ってる?」
「そうです」
「へぇ。なんかそれちょっと羨ましいかも」
ま、サイドエフェクト持ちからしてみたら、きっとそのサイドエフェクト持ちなりの苦労があるんだろうな、とは思うので、ただ単純にその力が欲しいとは言えないが。でも心を読むサイドエフェクトがあれな風間さんが私の事をどう思っているのかも…いや、そんな卑怯な真似をして風間さんに嫌われるのは…!と1人で自問自答をしていれば、角まで差し掛かったところで予想通り風間さんが現れる。
「こんにちは風間さん」
「風間さん今日もかっこいいですね、こんにちは!」
「迅に#name#か。2人でいるなんて珍しいな。何かあったのか?」
「ふっふっふっ、実はデートで「違います。サイドエフェクト持ちが集まる会議の帰りですよ」びっくりするほど否定が早い」
「風間さんの前で変な事言わないでくれるかな〜」
この男は直ぐにこうしてふざけた事を抜かすので、変な誤解をされる前に彼の言葉を遮って訂正をする。
会議、という言葉をちゃんと受け取ってくれたらしく、風間さんは思い出したという風に「あぁ」と言葉を続ける。
「そういえば菊地原も朝そんなことを言っていたな」
「ダルそうにしてましたけどね。まぁ、菊地原は何だかんだ真面目なんでちゃんと出席してるのは偉いですよ」
「途中うたた寝しそうになった人がよく言いますよ〜」
「あっこら悠一!ち、違います風間さん!ちょっと目を休めてただけで…」
「まぁ#name#も疲れてるんだろう。昨日も夜まで開発部に付き合ってたと聞いた。#name#のサイドエフェクトは便利だから色々と頼まれる事も多いと思うが、無理はするなよ」
「え…あ、は、はい…!?」
お咎めの言葉が降ってくるかと思いきや、風間さんから発せられたのは私を労わるような言葉で、怒られると思っていた私は拍子抜けして間抜けな声を出してしまう。珍しく口角を上げている(少しだけだが)風間さんに顔を赤らめてしまうのは仕方ないだろう。
「そういえば、#name#、昼ご飯は食べたか?」
「いや、まだですが…」
「そうか、丁度良かった。今日は歌川も菊地原も本部に居ないみたいだから2人で昼食べるか。迅も来るか?」
「いやいやいや。こんな空気の中2人の邪魔出来ないですよ。お二人でごゆっくりどーぞ」
「?そうか。#name#、それなら俺たちは食堂に行くとしよう」
「は、はい!風間さんとのお食事楽しみです!」
「行ってらっしゃ〜い」
風間さんと2人きりで食事だなんて実質デート…!?と心を躍らせていると、「あ、そうだ#name#さん」と悠一が振り返り、私を呼ぶ。
「?どうしたの?」
こちとら早く風間さんとデ…食事をしたいんだけど…と少しご機嫌斜めで悠一に駆け寄れば、彼はこそっと小さな声で私に耳打ちをする。
「さっき、#name#さんが風間さんとキスしちゃう未来が視えましたよ」
「…!?!!」
「ま、それが故意なのか事故なのかいつの事なのかも分からないんですけどね。じゃ、俺は行きますんで。ごゆっくり〜」
風間さんには聞こえない声量でそう言った悠一は、にやにやとした顔で私から離れる。
「な、な、な…」
「どうかしたのか、#name#」
「何でも無いです風間さん!!!決して!!決して風間さんをそんな!!!目では!!!見てないですよ!!!」
「ははは、さよなら〜」
「(#name#は相当腹が空いているんだな…。俺のカツカレーも少し分けてやろう)」
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