夢の中でも君にあいたい




心地よい身体の疲れと、幸せなまどろみの中
白く浮かび上がったユイちゃんの身体を引き寄せる。

「・・・どうしたの?」

眠りに落ちかけていたはずのユイちゃんが、腕の中から柔らかな笑みを浮かべ俺を見上げた。

クソ可愛いじゃねェか。

「ちょ、ちょっと痛い・・」
「あ、ごめん」

思わずきつく抱きしめた腕を緩める。

好きで、好きでたまらない。

何度身体を重ねても、それでも足りなくて

このままだと、いつかユイちゃんを壊しちまうんじゃねェかと

時々そんな風に思うこともある。


「ふふ、くすぐったいよ。」

無意識に触れていた腰のライン。
ユイちゃんが小さく笑いながら身をよじる。

その逃げようとする身体を
今度は痛くならない程度に、また引き寄せた。

「だめ、離さねェよ。」

俺の言葉に、ユイちゃんはくすり、と笑った。

「離れろ、って言われても離れない。」
「ぜってェ言わねェ」

コツン、と額を合わせる。

ユイちゃんの瞳がまたゆっくりと、静かに閉じた。

「サンジくん、起きて一番に見るの・・サンジくんがいい・な・・・。」

眠そうな声を聴きながら、抱きしめた腕でユイちゃんの頭をなでる。

「ずっとここにいる。だからおやすみ」
「う・・・ん」

すぅすぅと、静かな寝息が聞こえる。

風邪をひかねェように
晒しっぱなしの肩まで、布団を引き上げた。

「サンジ・・く・・・」

小さくつぶやかれた自分の名前。

ユイちゃんは幸せそうな笑みを浮かべている。

俺の夢でも、見てくれているんだろうか。

胸の内に広がる、暖かな感情。

「愛してる」

思わず、口から言葉があふれ出す。

そうか、これが愛してる、ってことか。

ずっと胸の内にあった感情に、やっと名前がついた。

「・・・愛、か・・・。」

父親、兄弟たちから与えられなかったもの。
ずっと、探していたもの。

あった、ここに。

「ユイちゃん・・・」

軽くリップ音を立てて、額にキスを落とす。


ずっと隣にいられますように。


小さな身体を抱き寄せて、俺も目を閉じた。


夢の中でもにあいたい







2019.06.01

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