不安定な羊




好きです

好きです

好きです




何度その背中に向かって
その言葉を投げかけただろう



「どうした?ユイちゃん。そんなに見つめられると穴が開いちまうなァ」



柔らかく笑いかけるその視線に

私はぎゅっと胸がつまって



背中に向けて何度も投げかけた
あの短いフレーズさえ



少しも声にならなくなる



「ぇ・・と・・っ・・・」



こんなに想いは溢れてくるのに

何も言えずにただ口をパクパクとさせる私の姿は
どれほど滑稽にうつっているのか


それでも視線を外すことすらできない

サンジくんの引力



「ゆっくりで大丈夫だよ。」


ふわりとほほ笑んで隣に腰を下ろす君。

私はもっと胸がつまって


息がつまって




もし今敵が攻めてきたら
私は何もできずにやられるのだろう




不安定な




あぁでも今はそれもいい


倒れた私の身体は
きっとサンジくんの引力に引かれていく















***あとがき***

久々の更新がこんなのですみません・・・!
最近どうも物語より
こういう言葉ばかりが浮かんでしまいまして。

これはそのうちサンジくんサイドとかも書こうかな。

2020.06.10


title:OTOGIUNION


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