買ったものではなく、連れ込み宿に備え付けの借り物なのだから壊すんじゃねェぞとゾロは苦く笑う。
「うあ、ぁ、あ゛、イく、イく、ぅ……!」
「我慢しろ」
痛いくらいに腫れ上がって勃起しているペニスから手を離せば、ばちんと音がする勢いで腹に当たる。もうその刺激ですら気持ちいいのだろう。ヒッ、と息を詰めるような嬌声がひとつ。
「あと一回だ。気合い入れろ」
「む、ちゃ、言うなよ」
黒い革の手枷が付いた手首を、ゾロはローションとカウパーで汚れた手で撫でてやる。この男が許可したとは言えどうしたってここに枷を付けるのは気が引けてついついジッと見てしまう。
「……そっちは平気だ、クソマリモ。そんな柔じゃねェよ」
息を切らしながらも、ゾロの視線には気付いている。
「じゃあどっちがダメなんだよ」
「ちんこに決まってんだろうが。あー、クソ、もうイきてェ……」
駄々を捏ねるように体を揺すれば、両手首と両足首を繋ぐ鎖がガチャガチャとまた音を立てる。右手と右足。左手と左足。膝を曲げた状態で四肢の自由を奪われ、みっともなく秘部をゾロに向けて丸出しにしている。
「てめぇも乗り気だっただろ」
「そうだけどよォ、……結構キツイんだよ、出すの我慢すんの」
「十回くらい余裕だって言ってたくせに」
「今度はてめェにやってやるからな……!」
「おれァそういう趣味はねェよ」
されたかったんだから、文句ばかり言うな。
「さっ、され、たかったとか、別に……」
「顔に全部書いてんだよ、エロコック」
「っ、うう……」
今度は汗と唾液で汚れた頬を撫でてやる。ついでに耳孔に指を滑り込ませて、弱いそこを擽ぐる。きゅっと眉を寄せて目を瞑り、いやいやと可愛らしく首を横に振って抵抗しているが、チラリと覗く瞳はやっぱり好奇心に塗れている。
とことん甘やかに仕置きされることが好きな男だ。
フッと小さく笑って、ゾロは赤い耳へと舌を這わせた。たっぷりと唾液で濡れた舌で耳の輪郭をなぞり、ちゅうと音を立てて吸った。
「っ、ぁ……!」
サンジは耐えるようにそろそろと息を吐き出して、肩を震わせる。
「そろそろ再開するぞ」
体を離してローションのボトルに手を伸ばす。容器を逆さまにしてサンジのペニスに垂らしていく。
「ひ、ん……っ」
用が済んだボトルを放ってペニスを握り、ゆっくりと上下に動かした。何度も射精を我慢したペニスはすぐにでも暴発しそうだ。ぱく、と鈴口が口を開けては震えている。
「あ、うあ、や、いやだ、ゾロ、ゾロ、ぉ……♡」
もう勘弁してくれ、なんて鼻をぐずぐず鳴らしているくせに声は甘ったるい。ダメだ、我慢しろ、と。間髪入れずに低い声で言い聞かせると、どぷり、とカウパーが更に溢れた。
涙と快楽で蕩けた眦に淫らな色がついて、ハーッと吐き出す息が熱い。
「今出したらまた一から数え直しだからな」
「ッ、ひでェこと、言うなよっ」
「……」
本当に酷いと思っている奴はそんな顔しないんだよ。
酷いことを期待しているような緩んだ口元に突っ込みたかったがやめた。
それに。
(いい加減挿れてェ……)
サンジの体を弄ぶのも楽しいが、ゾロの目の前にはひくひくと淫らに蠢くアヌスがあるのだ。ペニスを弄る前に散々遊んだそこは既にふっくらと縁が腫れていて、中に入れたローションがとろとろと溢れている。
あそこに自分のペニスを突っ込めばどれほど気持ちいいか。知っているからこそ挿れたくて堪らない。
「エロコック。最後なんだから出ないように腹に力入れとけよ」
滑りのいい亀頭を親指でくるくると撫でれば腰が浮いて、部屋に響くは鎖の悲鳴。
「最後はお前が好きなやり方でやってやるよ」
「え、あっ、ま、待て、いやだゾロっ!」
「待たねェ」
ゾロはペニスを掴む手を逆手に変える。根元から先端まで容赦なく扱いて、張り出したカリ首を弾くようにして感触を楽しむ。
「ッ、ああ゛ぁあ゛ッ♡それだめ、っ、だめ、イく、すぐ、っ♡出ちまう……ッ♡」
「もっと強く握られんのがイイんだったか」
「〜〜〜〜っ♡♡っひ、ぃあっ♡あ゛っ♡出る、でるでる、ッ♡もうむり、漏れる、せーし、もれちまう、ぅ……♡♡」
漏れるとまで叫んでいるくせにやっぱり従順に我慢しようとしている体は面白いくらいに跳ねている。けれど、内腿がガクガクと大きく痙攣し、嬌声も切羽詰まってきたので本当に限界はすぐ目の前なのだろう。
「そうか、残念だな」
これを我慢すればもっと気持ちいいことが待ってんのになァ。
「っ、え」
ぱちり、とサンジが瞬きしたことには気付かないふり。
「いいぞ、もう。好きなだけ出しちまえ」
「や、ぁ、」
「先っぽぐちゃぐちゃにされんの好きだろ?」
「いあ゛、っ♡♡ま、まって、それだめっ♡本当に漏れるか、らぁ……ッ♡♡やあっ♡あっあっ、——ッ!」
きっと拘束具がなければゾロを手を掴んでいたことだろう。けれどそれは叶わない。シーツを掴むことが精一杯な手は真っ白になる程力んでいて、どうにか快楽を逃そうと必死である。
それほど心惹かれるのだろう。ゾロが言う、もっと気持ちいいことが。
「ぞろ、ぞろ、ぉ……っ♡♡」
揉みくちゃにされる亀頭からカウパーが止まらない。いっそう水音が重くなって、ゾロが扱く速度を早めると金色の髪を振り乱して首を後ろへと反らせる。だらしなく舌を突き出して、声にならない声で叫んでいる。
「イく、イ゛くイく……ッ♡も、むり、ぃ♡」
「あーあー。残念だ」
白く濁ったローションの塊を指で掬って亀頭に塗り込む。綺麗に整った腹筋が痙攣し、下腹部にぐうと力が入っていることが分かる。
ゾロはゆったりと話ながら痙攣する体に覆い被さり、唾液で濡れた顎髭をザリザリと舐める。僅かに緩めた手の動き。しかし泣いて腫れぼったくなっている目に余裕が戻ることはない。
「コック」
眦を舐めて耳に声を吹き込めばようやっと絡まる視線。
知らず物騒な顔をしていたのだろう。ひぃ、と短い悲鳴が上がったが気にしない。
「想像してみろ。あとちょっと我慢して、ケツん中をおれのちんこでいっぱいにしてイけたら、気持ちいいと思わねェか?」
涙と快楽でボヤけてしまっている脳に刻むように問いかける。ゆっくりと、でもしっかり伝わるように。乱れた前髪の隙間から覗く右目すらも全部視線で射抜いて、ダメ押しのように呼称を呼ぶ。
腹の中を満たされて、弱い部分を押し潰されて達する快楽を嫌と言うほど知っているサンジは、わあっと泣く寸前の顔で「ずりィんだよ、てめェは……!」と喚いた。
「そう思うなら勝手にイけ」
「っや、ばか! あ゛、あ、あ、あ、っ、イく、イッちまうから、やめ……ッ」
「イきたいんだろ? さっさとイけよ」
「が、まん、する……! するから、手、とまれ、よぉ……ッ!」
えぐえぐ、と喉をひくつかせながらも懸命に下唇を噛むいじらしさに、どうしたって口角が持ち上がる。表情も態度も声色も。全部が全部ゾロの心を煽って仕方ない。
「あぁ、じゃああと十秒で止めてやる」
「え、」
すぐにでも止めてもらえると思っていたのだろう。大粒の涙がぽろりと溢れて、震えるように首を左右に振る。
「十、九、八、」
やだ、いやだ、もう出ちまう、だめだ。懇願は聞こえないふりをしてゾロはゆったり十秒数えながら扱き始める。
「——ッ、ア゛」
五秒もしないうちに、ぴゅる、と何かを吹き出していたが、残念ながらカウパーだ。
「三、二、一」
サンジはもう嬌声をあげる余裕すらないようで、ただただ鎖が引き攣る音ばかりが部屋に響く。
「っ♡ぅ、あ゛……っ♡」
「やれば出来んじゃねェか」
「ん、ん♡」
そうして十秒我慢できたご褒美に、白く濁ったローションをアヌスに塗りたくり自分のペニスを当てがった。
「ぁ゛♡ぞ、ぞろ、はやく、はやく……っ♡」
「焦んな」
「だってもう我慢できねぇよ、ぉ……!」
途端にちゅうっと吸い付いてくるアヌスに腰が重くなる感覚。それだけでも気持ちよくて、しかしサンジからのおねだりを無視するわけにもいかない。
「挿れるぞ」
カウパーが滲む亀頭馴染ませてから、力強く捩じ込んでいく。サンジが大好きな前立腺を押し潰して奥深くまで。
「ア、ア、ア゛ァ、ッ————!」
ゴリゴリと音がしそうなほどにしこりを押し潰し、そのまま精嚢も掠めて犯していく。サンジは逃げるように尻も腰も浮かし、背中と首を引攣らせて反らす。抜けてしまわないように力づくで引き締まった腰を掴んで更に奥へと差し込む。
「ァ゛、ッ」
ぶちゅん♡と重い音を立てて突き上げたのは最奥の窄まり。媚肉の唇に容赦なく亀頭を押し付ける。
ガチャン、ガチャン、と鎖の音が止まらない。嬌声は、途中から音になっていなかった。掠れた空気の音だけが響く。
「っ、ハァ、挿れただけで出したな、エロコック」
そんなに気持ちよかったか?
返事が返ってこないことくらい分かっていたが、聞かずにはいられない。
粘り気が強く、色濃い精液は下腹部だけでなく胸の辺りまで飛んでいた。余韻に浸ってぴくぴくと震えているそれをゆるりと撫でれば、今度は勢いのない精液が溢れていく。
「おい、意識飛ばすなよ。こっからだろうが」
ぺちりと軽く頬を叩くと、深い絶頂から帰ってきた瞳。
「……ぞ、……ろぉ……♡」
甘い声に満足したゾロは早々に腰を掴んでペニスを引き抜き、ずんと大きく突き上げる。
「っ、あ゛! っんん、うそ、や、やすませ、——っ、ア゛、あぁっいく、い゛くっ♡〜〜〜〜っ♡♡……っ、ハァッ、ぁ゛、待て、なぁ……!! きもちいいの、止まんなくなる、ゾロ、ゾロ……ッ♡」
「言っとくが、てめェがイッても知らねェからな。まぁ頑張れ」
「や、あ゛あ゛あぁ——ッ♡♡だめ、ぁあっ、とまんな、とまんない……っ♡やだ、っ、こわれる、ちんこ、おかしくなる……!」
サンジが呼吸をする度に畝る腸壁に、ハァと熱い息を吐く。
何度も何度も射精を我慢した影響か、一突きごとにペニスからは精液が溢れている。おかしくなる、とはあながち間違えではなさそうだ。
「ひ、ぃあ゛っ♡あっ♡また出る……っ♡」
鎖がガチャガチャ音を立てて煩い。聞きたいのはもっと淫らに蕩けたこの男の声である。
「あんなに出したいって言ってたのはお前だろうが。空になるまで全部出せ」
段々と吐き出される量が少なく薄くなっていくことに満足感を覚えつつも、もっと乱してしまいたいという欲が顔を出す。もう出ないイけないと泣き叫ぶサンジの言葉には耳を貸さず、ゾロは力を無くしていくペニスを握る。
「〜〜〜〜ッやめ、♡」
柔らかい亀頭を親指の腹で容赦なく擦れば、サンジは声も出せずに身悶えた。シーツに振り乱れる髪の毛が当たってパタパタと軽い音が響く。
「ッ、ナカ、すごいな……っ」
体全体が痙攣すれば、連動するように腸壁の襞がゾロのペニスを扱く。絡みついてくる。根元から先端までねっとりとしゃぶられて腰が震える。
誘惑に抗うことなく射精してアヌスの奥の奥まで精液で濡らせば、
「ヒィ……ッ!?」
小さな悲鳴とともに、ゾロの手の中にあるペニスがしょろしょろと粗相をする。
本当に漏らしたのかと思ったが、違う。色味のない体液——潮を見下ろしながらゾロはやんわりと扱いてやる。
「ぅ、あ、ぞろ、やぁ……っ」
手の動きに合わせて潮吹きの勢いは増し、下腹部や胸に飛び散った精液を洗い流していくようだ。
「だめ、だめだって、ぇ……っ♡それ、おかしくなる、ずっとイッてて、あたまおかしくなる、っ♡♡ぞろ、そろ……♡」
好き放題にされているサンジの瞳はまた虚になって、そうかと思えばビクンと大きく跳ねた。嵌めたままのペニスに絡みついてくる襞が、もう一度突いてほしいと強請っているようだ。
——やめてと言う以外、抵抗の術も持たないくせに。
グル、と獰猛に喉が鳴って、再び硬くなり始めたペニスで奥を突いた。