perfume

 仕事を終えてようやっとマンションに辿り着いた時にはもう二十一時を超えていた。明日が休みだとは言え少々疲れたなと背中を丸めつつ玄関を開け、草臥れたブーツを脱ぎながら「ただいま」と言えば爆豪が出迎えてくれる。
あぁこの瞬間が一番癒されるんだよなと朗らかな気持ちで顔を上げて、――固まった。
「……珍しいな、お前が体を張ったギャグなんて」
「ギャグじゃねぇ。死活問題だわ、クソ」
 相澤が一等気に入っている顔は不機嫌に歪められているが、それはそう珍しいことじゃない。珍しいのは不機嫌な顔の中心部。すっと通った形の良い鼻に装着されたノーズクリップである。よく聞けば、鼻が塞がっているため声も愉快なことになっている。
「今日の現場で何かあったか?」
「敵に嗅覚敏感にされた。クソうぜぇ」
「あー、お前にはキツイな、それ」
 元々匂いに敏感で、人混みでは相澤が気付かない匂いを察知しては気分が悪くなることもある爆豪にとって天敵のような個性だろう。そりゃ不機嫌になるわけだ、とツンツン尖った髪の毛をわしゃわしゃと撫でてから一緒にリビングへと向かう。
「キツイなんてもんじゃねぇんだよ。個性かけられた瞬間周りの奴らの汗の匂いで死ぬかと思ったわ。思い出しただけでも腹立つ」
「戦闘中だったのか」
「ん。一瞬でぶっ飛ばしてやった」
「怪我に繋がってないようなら良かったよ」
持っていた荷物と捕縛布をリビングの定位置に置いて、今度は脱衣所へ。機嫌の悪い爆豪は相澤に話を聞いてほしいのか珍しく後ろを付いて回っている。
個性をかけられた瞬間から死にそうな思いをしていたのであれば、ノーズクリップを装着するまで文字通り地獄だっただろうなと心底同情する。
爆豪の愚痴に付き合いつつ、その傍らで自身のコスチュームを脱いでいく。今日は放課後に生徒に付き合って演習場でひと暴れしてきたのだ。学校でシャワーを浴びるよりも早く帰りたいと言う気持ちが勝ってしまったせいで、汗が冷えて気持ち悪い。ジジ、とコスチュームのジッパーを下ろせば、喋っていた爆豪の口が急に止まった。
「ん? どうした?」
 話が途中で止まったことに違和感を感じて、コスチュームと靴下を洗濯機に放り込みながら声を掛ける。すると、唐突にペタンと座り込んだ。
「おい、本当にどうした、お前」
 爆豪に何が起こったかが分からずに近寄って肩を掴もうとしたところで、今度は勢いよく立ち上がり、無言のままで走り去っていく。伸ばした手は宙ぶらりんで行き場がない。
訳の分からない行動に呆然としつつ、しかし一つの答えに行き当たってハッとした。
 もしかして、この反応は。例えノーズクリップをしていたとしても……。
「そんなに臭うのか、俺……」
 嗅覚を敏感にされているとは言え、かなり強く鼻を封じられていそうに見えたのに。それでも足りないくらいに臭うとは。相澤は落ち込み具合に比例するように肩を落とした。こんなことなら学校でシャワーを浴びれば良かった。今更後悔したところでもう遅い。
 兎に角先にシャワーを浴びてしまおうと、それから謝ろうとアンダーシャツに手を掛けたところで、床が抜けそうなくらいの足音がリビングから玄関に向かっているのが聞こえた。嫌な予感が脳裏を掠めたと同時に「実家に帰る!」という声が聞こえて慌てて脱衣所を飛び出した。
「待て、爆豪!」
 それはもう必死だった。折角話し合いの場を設けて爆豪の両親に交際を認めてもらったと言うのに、臭いが受け付けないから帰ってきましたなんて言われてみろ。恥ずかし過ぎて二度とあの両親に顔を合わせられない。なんだったら関係の全てが振出しに戻るだろう。それは駄目だ、勘弁してくれ。
 普段から愛用しているバックパックを背負ってスニーカーを履いて、今にもドアノブに手を掛けて出て行きそうな爆豪になんとか追いついて肩を掴んだ。
「すまん、待ってくれ。今すぐに風呂に入るから家に帰るのだけは……!」
 言いながら強制的に振り向かせれば、顔を真っ赤に染めて眉を下げ、強気な眦に涙を引っ掛けた爆豪を目が合った。
(……ん?)
 思っていた反応と違う。もっとこう嫌悪に溢れた顔をされると思っていた。これは嫌悪と言うより、どちらかと言えば――……。
 ぐるぐると脳内で考えながら、ひょいとノーズクリップを奪った。
「ひっ」
 相澤にそんなことをされると思っていなかったのだろう。爆豪は小さく悲鳴を上げて腰を抜かしたように座り込んだ。力が抜けている足は小さく震えながら、両膝を擦り合わせるようにしている。慌てて両手で鼻を覆っているがもう遅そうだ。相澤は玄関だとか、汚れるだとか関係なく膝をついて、弱々しい足に手を掛けながら距離を詰めた。
「っぅ、ん、うう……っ」
 鼻だけでなく口まで加減なく覆っているのだろう。苦しそうに呼吸をしながら、頭を振って抵抗している。それでも隠れていない目はどこかうっとりとしていた。うっとりとして、徐々に近付いてきて、手の下ですんすんと鼻を鳴らす。途中何度か我に返って頭を振って離れていくけれど、すぐに近付いてきては更に顔を赤らめている。
「――……先生はお前の将来が心配だよ……」
 ここまで分かりやすい態度を見て爆豪がどう考えているかが分からないほど馬鹿ではない。
相澤は深々と溜め息を吐きながら容赦なく震える膝を掴んで左右に開いた。案の定、股座の部分が大きく膨れていて、よく見れば色が変わっている。
 加齢臭がするとか、近寄るなとか。そんなことを言われるよりよっぽどマシだとは思うが、おっさんの体臭でこんなにも興奮されるのもそれはそれで心配である。普段から、特にセックスの最中に「消太さんの匂いが好きだ」と言われたことは何度かあるが、ここまで気に入られていたのだと誰が想像するものか。
「しょ、うたさ、おれ、もうむりぃ……っ」
 腰を抜かすだけでなく、体を支えているのも難しくなってきたらしい。へにゃへにゃと軟体生物のように崩れ落ちていく爆豪を慌てて捕まえた。
「なんか、におい、しょうたさんの、においで、あたまおかしくなる」
 だから実家に帰ると、とうとう涙を流しながら訴えてくるので、何度もキスをして言葉を奪う。
「だめ、帰らないで」
 相澤は落ち込んでいたことをすっかり忘れた上機嫌な声でそう意地悪に言って、スニーカーを脱がせ、バックパックを取り上げる。身軽になった爆豪を抱えて、ノーズクリップのせいで赤くなっている鼻にキスをして、そのまま寝室に直行。
「あとで一緒に風呂に入ろうな。シーツも俺が洗うから、な?」
 甘やかすように言いながらベッドに下ろし、足を曲げて小さくなっている爆豪の服を脱がせていく。ゆったりとしているトップスも、股座が濡れているボトムスもポイポイと放り投げる。
「やだ、かえる、出てく……」
「あんまりそう言うこと言わないでくれ」
「だって、アンタが、いじわるするから」
「うん、まぁそうなんだけど。でも言わないで、悲しくなる」
「ううぅ」
言いながら下着一枚になった爆豪の全身にキスをして、すでにぷっくりと膨れて主張している乳首に舌を這わせた。ぴくん、と背中が跳ねる。
「んっ、待てって、なぁほんとにすんのか……?」
「うん。だめ?」
 ちゅう、と乳首を吸い上げながら聞けば、小さな声で準備をしていないのだと言う。確かに明日が休みなのは相澤だけであって、爆豪は午後から出勤で昼前には出発する。そういう時は、基本的にセックスはしない約束である。
「じゃあ挿れるのは後にしよう。とりあえず一回出しておかないと辛いだろ」
 しかし、だからと言って今夜は止めてあげられるほど大人ではない。爆豪の性欲に火が点いているのを見て興奮しないわけがないのだ。
「ほら、脱いで」
 絶対に逃がしてあげないと意思表示するように爆豪の下着に指を引っ掛ければ尻が持ち上がり、抵抗なく脱がす事が出来た。何だかんだと言いながらも、爆豪もその気なのだ。あんまり言ってしまうと拗ねてしまう場合もあるので心の中で小さく笑って、相澤は自身のアンダーシャツに手を掛けて脱いでいく。動くたびに匂いが舞うのだろう。爆豪は何かを追いかけるように顔を動かしながら鼻を鳴らす。それならば、と試しに爆豪の体を大きく包み込むように抱き締めてみる。
「っ、ぁあ、あっ、はぁ、はぁ、ん……っ」
 それだけで上擦った声が出て、もじもじと足を擦り合わせている。
「すぐイッちまいそうだな」
 出来るだけくっ付いたままで爆豪のペニスに手を伸ばす。ローションでも垂らしているのかと思うくらいにドロドロになっているそれをゆっくりと扱くだけであられもない声が響く。
「アァッ! だめ、しょうたさん、本当にイッちまう、出る、からぁ……っ!」
「イッてもいいよ。出せば少し楽になるだろ」
「だめだって、ぇ……! あんっ、そこ、先っぽ、グリグリすんなっ、ぁ、ひぃっ」
 全体を扱きながら、時折親指でしとどに濡れた亀頭を捏ね繰り回せば、堪らないと言わんばかりに体をくねらせる。それから、もう限界だと訴えながら相澤の肩口に鼻を擦り付け、肺腑いっぱいに匂いを吸い込んでいる。鼻息が擽ったくて逃げても追いかけてくる。
「あっあっあっ、だめ、でる、でちまう……ッ」
 そして匂いに埋もれながら勢いよく射精した。びゅるるる、と自身の腹筋に精液を撒き散らした後も、余韻に浸るように少量の精液を漏らしている。相澤は一旦体を離して搾り取るようにペニスを何度か扱き、手に付いた分はしっかりと舐めとった。
「…しょ、た、さ……」
 ハァハァと深く大きく息をしながら名前を呼んでくる爆豪は、気怠げに手を動かしたと思ったら相澤のアンダーシャツを徐に掴み、口元に持っていく。
「何やってんだ」
 汗と匂いが染み込んだそれを恍惚として嗅いでいる姿は下腹部を更に重くさせる。あぁ早く挿れてしまいたい、奥の奥まで犯してやりたいなどと考えながら、飛び散った精液を爆豪の綺麗な腹筋に塗りたくっていく。
「しょーたさんの匂い、すき。なぁどうせなら、もっとくれよ」
 相澤が撫でている下腹部を犯される想像でもしているのだろうか。ビクビク、と時折大きく震えている。一回の射精で興奮が収まっていないのは見て取れた。寧ろいっそう火が強まったようだ。
 でも。
「じゃあ風呂行くか。立てるか?」
「……ん」
 これ以上続行するのならばやはり一度風呂に入らなくては。洗浄のためというのもあるが、汗だくの体では落ち着かない。これ以上手を出すと止まれない自信があるからこそのインターバル。
 アンダーシャツを取り上げて体を起こしてやれば匂いを嗅いでくるのは変わらないが大人しく従ってくれるので良かったと、ひっそりと胸を撫で下ろす。抱えて風呂へと連れていこうとして、しかし大人しかった爆豪の手が相澤の股座に伸びた。
「こら…っ」
 膝立ちになっていた相澤のそこに躊躇なく顔を寄せて布越しにキスをして甘噛みしてくる。爆豪のことを言えないほどに張り詰めていたペニスは簡単にカウパーを吐き出して布の色を変えていく。
「もっとくれよ、って、言っただろ?」
 挑発するように見上げてきてはニヤリと笑う。
相澤が止めるより前に、膨らんだペニスに頬擦りをして下着を下げていく。思わず目を覆いたくなるほどに血液が集中して堅くなっているペニスに爆豪の瞳が輝いて、それから目が細まった。とろんと瞳が蕩けて零れていきそうだ。可愛いと言いかけて、そうじゃないだろと頭を振る。
「ぁ、は、すっげぇ濃い……ッ♡」
 ごきゅん、と唾液を飲み込む音。それから心底嬉しそうな顔で敏感になっている鼻を下生えに摺り寄せて、ハーッ♡ハーッ♡と荒い息を繰り返す。開いたままの口から唾液に濡れた舌が出ている。
 相澤は思わず、
「お前ね、本気で将来が心配だよ、俺は……」
 と、項垂れて本気で嘆く。
だが、爆豪は相澤の嘆きなど無視して大きく口を開く。手を添えて亀頭を咥え込んで、溜まっていたカウパーを自分の唾液ごとじゅるじゅると音を立てて啜っては飲み込んでいく。たったそれだけで幹の部分の血管が更に浮き上がったのを手の平で感じたのだろう。ペニスを咥えたまま相澤を見上げては、言葉もなく爆豪が「気持ちいい?」と聞いてくる。ここまで来るとお互いもう止まれないので、匂い問題は早々に諦めて「気持ちいいよ」と言って頭を撫でた。
「んっ、んんっ♡」
 たったそれだけで嬉しそうにフェラを再開させるものだから可愛いなぁと思ってしまう。しかし時々口を離して鼻を擦り寄せてくるのだけは頂けないので、それは軽く窘める。
そのうち、フェラをしながら腰がカクカクと動き始めたのが見えた。
「我慢できなくなったか?」
 再び勃起し始めているペニスをシーツに擦り付けているのだろうと察しがついたので聞けば、素直に頷いている。
「しょうたさんの、ちんこの匂い、いっぱい、で、おれ、イきそう……っ」
 唾液で濡れているペニスに頬を擦り寄せて、言ってくるものだから相澤の理性がぶつりと切れた。
「両手で自分のちんこ扱いてろよ」
「んっ♡」
 小さな顔を右手で掴みながら言えば、爆豪は大人しく相澤のペニスから手を離して自分のものを掴んだ。それから限界まで口を開いて舌を出す。相澤は差し出された舌の上にペニスを乗せて最初はゆっくりと喉の奥まで突っ込んでいく。抵抗されないのをいいことに両手でしっかりと頭を掴んで腰の動きを早める。奥に溜まった濃い唾液を攪拌するように何度も何度も突き入れて、ぎゅうと締まる喉奥に熱い息を吐き出した。
「は、こっち見て、かつき」
 自分のペニスを懸命に扱きながら相澤のペニスを喉の奥深くまで受け入れ、苦しさから生理的な涙を流す爆豪と目が合えばいっそうゾクゾクと腰が震えた。
「んっ、ん゛ん゛っ、う、ぐ…ッ、ん゛ん゛ん゛っ」
「っ、はぁ、出すぞ……ッ」
 ぐっと膨らみの増したペニスを喉奥に差し込んだまま小刻みに揺すって精液を流し込んだ。
爆豪は唸りながらも零すことなく全部飲み干して、そうかと思えば何度か体を痙攣させた。どうやらきちんと射精が出来たらしい。相澤は大丈夫かと声を掛けながらペニスを引き抜いて、しかしそれを追いかけるように爆豪が亀頭に吸いついてくる。残滓まで一滴残らず啜られて、それだけでまた勃起してしまいそうになる。だめだ、風呂に入らないと、と邪念を振り払う。
「んっ♡せーえきのにおいも、すっげぇ濃かった……♡」
「…………お前は本当に……」
 こちらの気も知らないで煽ってくるものだから、相澤はこれ以上余計なことを喋られる前に抱え上げて風呂へと走ることにした。途中、放り上げていたノーズクリップも回収して装着。匂いが嗅げないと怒る爆豪には嗅がなくていいとぴしゃりと返して、ボディーソープで念入りに体を洗ってシャンプーだって二回した。これなら匂いが上書きされているはずだ。
むむむ、と分かりやすく不貞腐れていく爆豪には続きがシたいから早く出て来いよと素直に伝えることで機嫌を取った。


♡ ♡ ♡


 いつもより長い気がする風呂から出た爆豪は未だノーズクリップをしたままだったので外してやれば、一目散に匂いを嗅ぎに来た。ベッドに寝転がっていた相澤の上に圧し掛かるようにして首筋などに鼻を擦り寄せて、しかし気に入らなかったのか唸る。
「チッ! 消太さんの匂いが薄いじゃねぇかよ」
「当たり前だろ。風呂に入ったんだから」
「じゃあまたいっぱい汗かけや」
「ええぇ……、あのな、匂い問題には敏感なんだぞ、おっさんは」
「だから、俺はアンタの匂い好きだって言ってんだろ。問題ねぇ。それに、」
 嗅がれるの意外と嫌いじゃないくせに、なんてお互い緩く勃起し始めているペニスを擦り合わせる。下着越しに擦れるのが気持ち良くて、どちらのとも分からないカウパーでしっとりとしていく。
「ふっ、匂い濃くなってきた」
 興奮指数が上がればどうやら匂いが濃くなるらしい。爆豪に茶化すように言われて、勘弁してくれと頭を掻いた。しかし口ではそう言ってもきちんとやる気はあるので、さっさと体勢を反転させて、下着を脱がせた。
「風呂場でいっぱい慣らしたから、もう挿れてもいいぜ……♡」
 爆豪は誘うように自分で足を抱えてアヌスを曝け出す。呼吸に呼応してパクパクと口を開けるアヌスは言う通りローションで濡れていて美味そうだ。しかし少々残念な心持ち。
「……出てくるのが遅いと思ったら」
「なに。俺のケツ弄りたかったんか?」
「うん。でもまぁそれはまた今度ゆっくりするよ」
「ゆっくりっつうのが嫌な予感しかしねぇな」
「俺の楽しみ奪ったお前が悪い」
言いながら、誘われるがまま下着を脱いで亀頭を擦り付けた。一気に突き上げないようにだけ理性を保って、馴染ませるように浅く出し入れを繰り返しながら奥まで挿れていく。
「ぁ、んん…っ♡消太さんの、今日、いつもよりでけぇ……ッ」
 荒々しくしないようにと気を付けているのにそう言うことは言わないでくれと奥歯を噛み締めながら、ようやっと根元まで埋め込んで深く息を吐いた。
こちらのペニスをいつもより大きいと言うけれど、爆豪のアヌスもいつもより熱くて小刻みに締め付けてくる。不規則に与えられる締め付け感に、早々にギブアップするのは嫌なのでゆっくりとピストンすれば爆豪の声色が甘ったるくなっていく。
「はぁ♡ん、ぁああっ♡♡しょ、たさ、はよ、いっぱい突けってぇ…っ♡♡」
「だぁめ。傷でも付いたら大変だろう?」
「んっ♡んっ♡だいじょーぶ、だって…! いたくないから、ゆっくりやだぁっ」
「我儘言わない」
カリ首で腸壁をわざと強く擦りながら引き抜いていくとナカだけじゃなくて体も小刻みに震えている。ゆっくりと、ダイレクトに味わう感覚が堪らないらしい。碌に触れていないペニスからは止め処なくカウパーが漏れて、臍の窪みに溜まっていく。
相澤は窘めるように言いながら、引き抜いたままアヌスの縁で遊んでやる。ぐぽっ♡と音が立つくらいに亀頭を引っ掛けて弾くように抜いて、元の形状に戻ろうとしているそこを押し広げるように挿入する。
「やっ、やだ、おく、挿れてくれよ……っ」
何度も繰り返して浅い部分で遊んでいれば切なそうに眉を寄せていた。ぐず、と鼻を鳴らして、今は遠い相澤の代わりに相澤の枕を引き寄せて抱き締めている。そして離れていくペニスをどうにか飲み込もうと腰を浮かせて追いかけてくる。
「しょーたさ、しょうたさん、奥、おくが、さみしいから、はよ……! ちんこ挿れてくれよ、お願いだから、なぁ…っ!」
 うっすら涙が滲んだところで相澤は悪戯を止めて、浮いた腰をしっかりと掴む。
「あとで怒るなよ、お前」
 それだけ言って、爆豪の体ごと引き寄せるように腰を強く打ち付けた。
「ア゛ア゛ア゛ァァ――ッ♡♡♡はっ、ぅああ、おく、きて、ぁっ、あああっ♡♡」
 されるがまま奥まで一気に貫かれた爆豪の太腿に力が入って、ぶわりと汗が噴き出しているのが分かった。彼の最大で最強の武器である両手の平から甘い匂いが舞う。害が無さそうな可愛らしい匂いなのに、それは相澤の脳を麻痺させていく媚薬のようなものだ。分かっていても吸いこんで、嗅ぐ度に理性が崩れていく。
 相澤は崩壊していく理性を拾うことなくガツガツと腰を打ち付けて畝る腸壁を穿つ。角度を変えて前立腺を押し潰して、悲鳴のような嬌声が上がれば距離を詰めて唇を貪った。じゅるじゅるとはしたない音を立てて、唾液が零れようと関係なく食らい付く。
「んっ、ん、んんぅ…っ♡ちゅ、っあ、すげ、腹ン中いっぱいになってる♡♡」
「腹ン中いっぱいになるまでハメで欲しかったんだろ?」
「うんっ♡んっ♡ひい、ぁああっ♡もっと♡♡しょうたさん、もっと♡いっぱい、さっきみてぇに、ぎゅって、しろやぁっ♡♡」
「……匂い嗅ぐなよ?」
「嗅ぐっ♡アンタの、濃いの、嗅ぐに決まってんだろ♡」
 だからもっと近寄ってと強引に髪の毛を掴まれてしまって、大人しく従うことにした。
先程のように全身を使って覆いかぶさって、そうすると爆豪の甘い両手が背中に回る。絶対に逃がさないと言う強い意志を持った足が腰に絡みつく。こんな時でも勝ちにこだわるのだろう。離れられなくなった相澤を見上げてふふふんと悪戯っ子のように笑う。勝った、と顔に書いてあるのが見える。
(ガキかよ)
 こういうところは変わらないなぁと、そして変わっていないことにどこか安堵しながら、短い前髪を掻き上げて真ん丸の額にキスをする。すると真似をするように無精髭だらけの口元や、顎、頬にキスをしてくれる。淫らにペニスを咥え込んでいるくせに、キスは随分と可愛らしい。
「しょうたさん」
 顔に書いてある文字が変わる。好き、好き好き。なんて、都合がいいかもしれないけどそう書いてあるように見えて。何とも言えない照れと嬉しさが心臓辺りで混じり合って、それを隠すように強めに鼻を噛んでからぎゅうぎゅうと抱き締めた。
いい歳した大人が、十五も年下の青年にこんなにも嵌ってしまうなんて。そう苦笑いしながらも、そんな自分も嫌いではないと思ってしまうのだ。
「動くぞ」
「んっ♡」
 爆豪の足が絡みついているから強引に動くことはなく、痙攣を繰り返す襞を掻き分けて結腸へと続く窄まりに亀頭を擦り付けてキスをする。力強くピストンをせずとも軽く揺するだけで爆豪の体温が急上昇してあられもない声が上がる。
「ヒィッ! いっあぁっ、ぁああ゛あ゛っ♡♡そこ、それっ、擦んな、♡」
「ココにキスされんの好きだろ? 嫌なら離れようか?」
「やっ! やだ、離れんのやだ…! い、いっぱい、ぅ、ちゅうしていいから、もっとぎゅって♡」
 お許しが出たので加減なく何度もちゅぱちゅぱ♡と音がする程に押し付けてカウパーを馴染ませていく。時折窄まりを開くように奥へと亀頭を押し込めば体が跳ねるほどに痙攣して首を反らす。
「ア゛ア゛ァッ! おくっ♡奥まで、入ったらイく、いっちまう、ぅぅ…っ♡♡はっあぁあ、ひぃ、いっあっあっ♡あ゛ああぁあっ♡♡♡」
 かは、と掠れた呼吸を間に零しながら限界を訴える爆豪が一際大きく嬌声を上げたと思えば、腹筋辺りがじわじわと熱く濡れていく。どうやら奥を擦られるだけで達したらしい。それに連動するように腸壁が大きく跳ねて畝って相澤のペニスにしゃぶりついてくる。
「っ、く、ぁ…ッ」
 更に窄まりが亀頭に吸い付いてくるものだから堪らない。脳幹まで痺れてしまいそうな快感が体中を走って、それに抗うことなく相澤も射精した。しかし理性などとうに崩壊しているために腹の中で渦巻く欲望がまだ足りないと訴えてくる。
「かつき……ッ」
 アヌスだけで射精してしまった爆豪は力がうまく入らないのだろう。腰に絡みついていた足が離れて、しがみついていた両腕はベッドに落ちている。相澤は丁度いいと言わんばかりに体を離してペニスを引き抜いて何度が扱いた。次いでくったりとしている爆豪を反転させる。尻だけを高く持ち上げれば察した爆豪が慌てて名前を呼ぶけれど、それを無視して赤く色付いて泥濘んだアヌスに再び勃起したペニスを突き立てる。
「ひっ、あっあああぁぁあっ! ぁあ、が、ァッ、あああっ!」
 ガツ、と腰を打ち付ければ萎えて縮こまったままのペニスが可愛らしく揺れる。
「ッ、はぁっ、すまん、もう少し…っ」
「うあっ、あぁあっ♡だめっ♡おれ、イッたばっか、なのに、ぃ…! はうっ、あっああっ♡♡」
 シーツに顔を擦り付けて嫌々と首を振っているが、きちんとアヌスは相澤のペニスを飲み込んでいく。さっきは揺するだけだったので今度は強引に。尻たぶを両手で持って左右に開き、皺が伸びきって大口を開けているアヌスを余すとこなく観察しては貫いていく。そのうち中で攪拌された相澤の精液とローションが混じり合って白く濁った泡が立つ。
「はっ、はっ♡あう、うううっ、ケツ、んなかっ、ビリビリするぅ…!」
「痛いか?」
「い、たくね、痛くねぇけど、ビリビリって…ッ! っ、またクる、あうっ♡あ゛っあ゛ぁ゛あ゛っ♡」
 爆豪の言うタイミングで強く締め付けてくるので、アヌスだけで絶頂を何度も迎えているのだろうと察しが付く。更に、爆豪が逃げ場を求めるように相澤の枕を掴んで顔を埋めるといっそう声が上擦っていく。残り香を敏感に嗅ぎとって、それにすら感じているらしい。
「しょうたさ、しょうたさん…っ、おれ、も、むりぃッ♡♡ケツおかしくなる、ビリビリして、止まんねぇ……ッ♡♡♡」
「大丈夫、かわいい、かわいいよ」
「〜〜〜っ♡♡そ、そうじゃ、ぁ、ねぇだろうがぁっ♡♡」
 ばかだろ、と呂律が回っていない口で怒られたところで痛くも痒くもない。
どちらかと言えば、可愛いに反応するようにアヌスがキュン♡と跳ねるので相澤は執拗なくらいに言葉にする。隙だらけの背中に覆いかぶさって、首を捻ってこちらに向いてくる爆豪にキスをして。それからへにゃりと下がった眉にも唇を寄せる。
「イッてもいい?」
 腰の動きは緩めることなく強請れば、爆豪は何度も頷きながら口を開けて舌を出した。
「しょーたさん、おれの、かおに、かけてっ♡」
 もう一回雄の濃い匂いが嗅ぎたくて仕方がないのだと、目の中にハートを浮かばせて言われてしまっては断れない。
それに、爆豪には言っていないが顔射は嫌いじゃない。誰にも汚されず屈せず、強気で勝気なこの顔を汚せるのは自分だけだと思うと胸が躍る。これは自分だけが許された特権。誰にも譲らない。自分だけが、求められて許されている。それだけで全身の血液が沸騰してしまいそうなくらいに色んな感情が昂っていく。
「あとでちゃんと飲めよ…ッ」
「のむっ♡飲むからかけて、しょうたさんっ♡♡」
 心臓の鼓動がこれでもかと早くなって、目の前が眩む。腰も下腹部もいっそう重たくなる。息が荒くなって、冷静な自分などもう取り繕えない。きっと直視できないほどに怖い顔をしてしまっている自覚はある。
 それでも。
「しょーたさん…っ♡」
 そんな自分でも甘やかすように爆豪はうっとりと見つめて、熱い息を吐きだすのだ。
「あっあぁああっ♡しょうたさ、おれも♡♡またびりびりってしちゃ…っ♡うあ、あああっ♡♡はぁ、はぁっ♡ひっ、は、ぁああ゛あ゛あ゛っ♡♡♡」
そして一際大きく跳ねた爆豪の体を抑え込むようにして最奥を穿ち、一気に引き抜いた。ガクガクと可哀想なくらいに震えて、爆豪の全身がベッドに沈む。
相澤は即座に顔のほうへと移動してペニスを近付けた。ドロドロに汚れているそれを二、三回扱くと精液が溢れ出す。三回目だと言うのに勢いよく精液が飛んで、半開きになった唇も、敏感になっている鼻も、涙でぐずぐずになっている眦も白く汚れていく。
「っ、は、ぁ……はっ、かつき……っ」
色濃い精液と汚れた亀頭を顔に塗り付けて、名前を呼べばゆっくりと爆豪が頭を持ち上げた。そして何の躊躇もなく、緩やかに勃起したままのペニスを咥える。掃除をするように全体を舐め回して、尿道に残った残滓まで綺麗に吸い取っていく。
すると。
「――……んん゛ん゛っ♡♡♡」
ペニスを咥えながら唸ったと思えば、萎えたまま体の下敷きになっているペニスの部分から透明の液体がじわじわと広がってシーツを汚していく。粗相しているかと思うほどに量の多いそれは潮だ。
かつき、と呼びながら頬に手を添えれば、凭れ掛かるようにして顔を預けてくる。ゆっくりと綺麗になったペニスを抜き取った。
「ぁ、おれ、しょーたさんの精液の匂いで漏らしちまったみてぇ……♡」
ペニスで塞がれて口呼吸が出来なかったから、と絶頂に達した余韻に浸りながら言い、そして指先で精液を掬っていく。約束通りに全部飲んでくれるようだ。いい子、と頭を撫でてやる。
額に付いた精液は自分の指で掬って爆豪の口元へと持っていく。大口を開けるのではなく、舌先でチロチロと舐めて、こちらを見上げてくる。猫に餌をやっているような感覚だが、やたらと視線は熱っぽい。その視線の意味に気付かないほど馬鹿ではないので、応えるようにニヤリと笑う。
「もう一回?」
「する」
「明日仕事だろ?」
「片付けはやってくれんだろ?」
「当たり前だ」
「じゃあ問題ねぇよ」
 問題ないのか、と若さの偉大さを痛感しながら了承した。
しかも、ついさっきまでへたり込んでいたくせに、今度は俺が上だと言って押し倒してくるものだから恐れ入る。在学中からずっとタフネスと称されていただけのことはある。
爆豪は寝転がった相澤にぴったりと寄り添うようにくっついて、すうと鼻で大きく息をした。
「いいにおい」
でも。
「もっと、欲しい」
強請ってくる爆豪に相澤は形ばかりの難色を示しながら、仕返しだと彼の甘い匂いをめいっぱい吸い込んだ。

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