ハッピーバースデー

手の中のスマートフォンがメッセージの着信を知らせる電子音を奏でた。
僅かな振動も相まって、沈みかけた意識がふと浮上。次いで寝ぼけた頭が都合のいい幻を見せて心臓がドクリと跳ね、しっかりと目が覚めた。急いでスマートフォンを確認して、落胆。
『ハッピーバースディ、ショータ! 来週飲みに行こうぜ。あと今年のプレゼント期待してろよ!』
ディスプレイに表示されたメッセージは嬉しいものなのに、送信主が十五年以上の付き合いになる旧友の名前だということに嘆息をひとつ。
派手な見た目から軽いように思われがちなプレゼント・マイクは、毎年日付が変わると同時にお祝いのメッセージを送って来てくれる律義な男である。メッセージだけではない。職場で会えば笑顔で祝われ、食事に誘ってくれる。大人になればなるほど温度が無くなっていく誕生日だが、マイクがいる限り冷めきった誕生日を迎えることはないのだろうという身勝手な自信があるほどだ。
友好関係を広げたり深めたりすることが得意ではない相澤にとって有難く、稀少な友人。毎年口には出さないけれど、きちんと感謝はしているのだ。
ただ寝惚けた脳が勝手に見せた幻に夢を描いてしまって、勝手に落胆しただけで。
『肉、お前の奢りな』
相澤は礼もなく、そっけなくそれだけを送信する。マイクにはこれだけで十分だ。
先程まで突っ伏していたデスクで開いたままになっていたノートパソコンをシャットダウンしてベッドへと移動した。明日も仕事で朝が早い。アラームがセットされていることだけを確認してそっと目を閉じた。
せめて誕生日くらい、あの子どもが夢に出てきてくれればいいのにと頭の隅で考えながら。


***


「相澤先生、お誕生日おめでとうございます!」
いつもと変わらない朝と教室。それから無駄を省いたホームルーム。
例え自分の誕生日だろうとなんだろうと寸分違わず行動しているにも関わらず、生徒たちは何処からともなくその情報を拾ってくる。
「……誰に聞いたんだ」
聞いたところで発信源は分かっている。
「マイク先生です」
やっぱりそうだ。あの歩くスピーカー男め。
忌々しく舌打ちをして、それから「ありがとうね」とだけ返した。クラスの盛り上げ役は今にも歌い出しそうにしていたので、先手を打って止めておく。三十四歳にもなってハッピーバースディを歌われるのは気恥ずかしいし、そろそろ次の授業の準備をすべきだ。
「気持ちだけ受け取っておく。ありがとう」
言って、日誌を日直に渡して教室から出て行く。
「先生おめでとう、いい一日を!」
歌の代わりのお祝いの言葉と盛り上げるための口笛は戸を閉めるギリギリまで聞こえてきた。
高校一年生の子どもはどこまでも元気だ。素直で純粋で、屈託のない笑みで、日ごろの恨み辛みを忘れて相澤が生まれてきた今日という日を祝う。時々生徒から感謝の手紙やプレゼントを貰うこともある。いつもより業務を手伝ってくれることもある。そこでもやっぱり生徒は笑顔だ。まだ発展途上の幼く丸い顔で、柔らかく、優しく笑う。
でも、相澤が忘れられないのは不機嫌に眇められる石榴色の瞳だ。
お祝いしてくれている生徒たちの一番後ろで、眉間に皺を寄せて睨んでくるあの顔だ。
今にも「くだらねぇ」と吐き捨てそうな顔でじっとこちらを見てくるのが記憶に刻み込まれて消えてくれない。忘れられないのはきっと、それが嫌だったからではなく寂しく思ってしまったからだろう。何せその不機嫌な石榴色を持つ子どもは相澤の中で特別だったのだ。贔屓目で見ないように自分を律しなければならないほどに好きだった。
結局あの子どもに「おめでとう」と祝われたことは一度もない。当然祝ってくれと催促する訳もなく、三年間ただただ不機嫌なまま。
(あぁでも)
今年はその不機嫌な顔すらもう見られない。きっと今日が相澤の誕生日だということも認識していないだろう。あの子どもにとって今日は特に何の意味もない、至って普通の十一月八日。
長い廊下を歩いていた相澤はぴたりと足を止めた。
冬の始まりの日に相応しく、窓の外に広がる景色は秋から冬へと移り変わろうとしていた。空気は冷たく澄んでいて、空の色がいっそう綺麗に見える。小さな雲が所々に漂っているだけの広く大きな青い空に、あの子どものコスチュームはよく映えるのだ。空中に躍り出る、目を惹くオレンジ色の装飾を相澤はひっそりと気に入っていた。
今日も何処かの空を飛び回り、地面を駆け回り、困っている人に手を差し伸べているだろうところを想像する。
「……ば、」
懐かしむように名前を呼ぼうとしたが、止めた。
(……名前を呼んでどうする)
少し前までは、この学校で好きなときに好きなように呼べていたというのに。今は名前を呼ぶ理由が見つからない。呼んだところで返事はない。声は届かない。姿も見えない。胸に仕舞ったままの感情は、もっと奥底へと追いやられて埃を被っていくだけだ。
卒業したら簡単に会えなくなるのだから本能のままに想いを伝えておけばよかったかと考えて、ゆっくりと首を振った。どんなにチャンスが転がってきたとしても、あの子どもが自分の生徒である以上、教師であるという言い訳を並べて伝えることはしなかっただろう。容易に想像がつく。
所詮自分など、大人のふりをした、ただの意気地なしなのだ。
(簡単に言えたらどんなに楽か)
止まっていた足を動かして職員室へと向かう。余計な時間を過ごしてしまった。急がないと一時間目に間に合わなくなってしまう。
(誕生日なんてさっさと終わっちまえ)
そして、非合理的なこの感情も誕生日とともにどこかへ行ってしまえ。


***


相澤が望んだ通り、誕生日はあっという間に過ぎていく。教師陣に祝われたり、交流があるヒーローからメッセージが届いたりはしたが、凡そ他の日常とさして変わりはなかった。
ただ。
(アイツ、絶対に高い肉奢らせてやるからな……!)
マイクの我儘が発端で、日付が変わりそうな遅い時間帯に校外に構える自宅へと帰らなければならなくなったくらいで。
カンカン、と音を立てながら古いアパートの鉄骨階段を上っていく。上着を羽織ってきたものの流石に冬の夜は想像以上に冷え込んで自然と背中が丸まってしまう。ポケットに手を入れていてもちっとも温まらない。冷たくなった鼻先をふわふわとしたスヌードに埋めた。
(なァにが今すぐにあの本が読みたい、だ。お前今日ラジオで朝まで帰って来ねぇだろうが!)
昼休みに擦り寄ってきたと思ったら唐突に、何か月か前にマイクに押し付けられるようにして借りた一冊の本を返してくれと言ってきたのだ。特に興味がある本ではなかったので二つ返事で了承し「あの本はアパートに置いてるから月曜日に返す」と付け加えた。するとマイクは「この週末に時間が取れそうだからすぐに返してほしい」と言い出した。そこからは押し問答である。どうしても本が読みたいマイクと、寒いからわざわざ帰りたくない相澤。
今夜はラジオがあるし、仕事も立て込んでいるのだからせめて土曜日に取りに帰らせてくれと言っても聞く耳を持たない。いやだ、今すぐ読みたい、今日じゃないといやだ。なんて全力で駄々を捏ねられた。あの男の声は個性を使わずとも十二分に大きい。あっという間に「相澤がマイクを苛めている」という間違った解釈の空気が流れ、その重圧に相澤が負けた。
経緯を思い出して嫌になる。疲れが増した足を止めて、はぁと溜め息を吐けばスヌードの中に籠ってしまったので口元を外に出した。もう一度溜め息。直に切れそうな蛍光灯がチカチカと辛うじて光っているだけの夜空に白い靄が広がって消えていく。
(なんで本一冊のためにこんなに寒い思いしなくちゃなんねぇんだ……)
丸まった背中を更に丸めて、さっさと回収して雄英に戻ろうと足を踏み出した。残り二段を上り切って、一番奥の自分の部屋を目指す。
しかし。
(……誰だ)
自分の部屋か、その手前か。どちらかの部屋の前で人が座り込んでいる。時間も時間なので用心しながら、まさか死んでないだろうなと嫌な予感を抱えつつ近寄っていく。せめて蛍光灯が切れかけていなければ人の姿が確認できるのに。言ったところで仕方ないので必死に目を凝らす。これ以上の厄介事は遠慮したいと思いながら距離を詰めて、――目を見開いた。
「爆豪……?」
都合のいい夢でも見ているのかと思った。
相澤の声に応えるように影が動いて顔が持ち上がる。懐かしい顔と目が合った。
「帰ってくんの遅ぇんだよ」
静かすぎる夜に爆豪の声が響いて慌てて駆け寄った。彼の真正面に膝をついて腰を下ろし、躊躇無く血の気のない頬に触れる。思っている以上に冷たいそこに眉根を寄せて自分のスヌードを押し付けた。相澤の体温が残るスヌードで首元を温めて、どうして此処にと聞く。
「俺の家なんて知らないはずだろ」
「……聞いた」
「誰にだ」
「……」
相澤の質問を誤魔化すように体を小さく丸めて両膝を抱え込む。その拍子に爆豪の影に隠れるようにして置かれていた、可愛らしい紙袋がガサリと音を立てた。
黙秘を決め込んでいる爆豪に少しだけ語気を強めて呼べば、きっちり十秒迷った挙句、スヌードに口元を埋めたまま籠った声でとある人物の名前を出した。
「プレゼント・マイク」
大きく深い溜め息を吐いて、またお前か、あの野郎と苦々しく吐き捨てた。これは高い肉だけでは許してやれないかもしれない。沸々と沸き上がってくる怒りをそのままに表情に出していたらしく、こちらを見上げてきていた爆豪の瞳が不安そうに揺れたのが分かった。
「怒ってんのか」
「怒るに決まってんだろうが」
即答すれば肩が跳ねて、また小さくなっていく。勝手に来て悪かったと、そう謝ってくる声はスヌードに殆どを吸収されているせいか小さく弱々しい。
相澤は自分が寒くなることも厭わずに上着を脱いで爆豪の肩に羽織らせた。潔癖の気がある子だという認識は持っていたが、これ以上寒い思いをさせたくなかったのだ。出来る限り上着を引っ張って小さくなっている全身を包み込み、体温を上げる手伝いをするように腕や肩を擦る。
「こんなに冷たくなって、風邪でも引いたらどうする。風邪をひかなくたってお前の個性は汗をかかないと使えないんだから。今もしここで敵にでも遭遇したら危ないだろうが」
勝手に来たことに対しては怒っていないと言外に伝えて、乱暴に頭を撫でた。スヌードと上着で少しは体温が上がったのだろう。爆豪は血色が悪かった頬を赤くさせた。その反応に安心する。
相澤は少しだけ目を細めるようにして見つめて、それから腰を上げて手を差し伸べた。
「何か話があるんだろ? こんな時間に訪ねてくるくらいだからな。飯は食ってるか? まだなら近くのファミレスか、少し距離はあるが居酒屋もある。どっちがいい?」
「……は?」
「いや、だから、立ち話もあれだから一緒に飯でもって。……あ、腹減ってないのか?」
じゃあどうしようかと思考を巡らせても、滅多と帰ってこないこの辺一帯はあまり詳しくない。しかも時間が時間である。殆どの店が閉まっているだろう。さてどうしたものかと顎鬚をザリザリと指先で撫でながら思案していれば、爆豪が立ち上がり、置いてあった紙袋を押し付けてきた。
「? これは?」
「……」
「爆豪、黙ったままだと分からん。ちゃんと喋れ」
無言でグイグイと押し付けられて、こちらを見てくる目が段々と不機嫌なものになっていく。
あぁ懐かしいと、相澤は呑気に口元を緩めた。奇しくも今日は自分の誕生日で、目の前の子どもは去年までと同じ顔をしている。今年は見られないと思っていたから思わず嬉しくなってしまう。
一つ去年までと違うのは可愛らしい紙袋を強引に押し付けられていることくらいで。
そこまで考えて、まさかと淡い色をした期待が頭を擡げる。
「……これは俺にってことか?」
今日誕生日の自分に。不機嫌な顔の子どもからのプレゼント。
「ケーキ、買ってきた」
追い打ちをかけるように爆豪がポツリと呟いた。驚いて重たい瞼が持ち上がる。
「甘いもんがあんま得意じゃねぇっつうのは知ってっけど、あったほうがそれっぽいだろうが」
「ケーキ」
「あと欲しいもんは分かんねぇから適当に猫っぽいもんを見繕ってきた」
「ね、こ……」
「……い、いらねぇなら、適当にアンタが処分しろ!」
爆豪の言葉に、淡い色の期待で寒いはずなのに体温が上がっていくのが分かった。ぱか、と間抜けに口が開く。
きっと仕事で何か嫌なことや、一人では消化しきれない何かがあったから相談に来たのだと思っていた。なのに、こんなことをされてしまっては、誕生日だからとわざわざ寒い中会いに来てくれたのではないかと勘違いしてしまうではないか。
「な、んか、言えや……!」
三年前から不機嫌だった瞳がじわじわと滲んでいって、しかしそれでも泣いて堪るかと言わんばかりに唇を噛み締めて堪えている。でも目の前の現実が受け止めきれなくてうまく言葉が出ない。
「っ、無視、すんなら、」
紙袋を押し付けてきている手がとうとう震え始めたところで、ハッと意識を明瞭にさせた相澤は慌ててその手を掴んだ。何を考えるより口を動かせる。
「おっ、お前も、ケーキ、食べていかないか」
出来れば今。今日。俺の家で。一緒に。二人で。
伝えたい感情は文章になんてならなくて、途切れ途切れの単語だけを伝える。
すると。
「……ケーキ、食ったら帰れっつうのかよ」
「あ、え、」
「ケーキ食ってたら、終電なくなっちまう、」
……かもしれない、と拗ねたような声色で、目は逸らされてしまう。
だから、掴んだ手を力いっぱい握り締める。反対の手で紙袋だって包み込んで、誕生日の奇跡に縋りつく。ここで帰してしまえば一生会えなくなるような気がしてしまうくらい必死だった。
「終電がなくなっちまったら泊っていけばいい。明日も仕事なら服くらい貸してやるし、コンビニだって近くにある。だから、もし、良かったら……」
年上としての矜持や余裕なんてものはかなぐり捨てて、どうにか爆豪を引き留める言葉を探す。石榴色が恐る恐るといった感じでこちらを見てくる。それを真正面から受け止めて名前を呼んだ。呼ぶ理由が見つからなくて、昼間は声に出すのを諦めた子どもの名前。でも、今は。
「……ンだよ」
名前を呼ぶ理由があって、呼べば返事をくれる。相澤の声は届いて、姿は目の前だ。胸に仕舞ったままだった感情がいとも簡単に表に出てくる。言ってもいいんじゃないかと、許されるんじゃないかと、乾燥した唇から今にも溢れていきそうだ。
冬の冷たい空気と一緒に、どうにかそれを一旦飲みこんで、出来る限り冷静に、最後の一欠片の理性と意気地のなさを先に差し出す。
「あのな、爆豪。俺はお前が思ってるほどしっかりした大人でも、いい人でもなんでもないから、一緒にケーキを食べてほしいけど、お前がそうしてくれたら期待してしまうし、離し難くなってしまう。……担任だった奴にこんなこと言われるのは気持ち悪いかもしれんが、俺はお前が」
好きなんだ、と続けようとして、しかしそれは叶わなかった。
その先は言わせないと言わんばかりに爆豪の冷たい唇が相澤のそれを塞いで、二人の間で紙袋がガサリと音を立てる。
「――……今日はアンタの誕生日だろうが。俺を喜ばすんじゃなくて、俺に祝われ殺されとけ」
近過ぎる距離に爆豪の顔がぼやける。言葉の意味を考える間もなく、二回目のキスが迫ってくる。ちゅう、と可愛らしい音が鼓膜を揺らして、唇が離れると同時に点滅を繰り返していた蛍光灯が最後の力を振り絞るように灯りをともした。人工的な光を吸収した石榴色の瞳が水分を含んだままで煌く。不機嫌の奥に見えたのは、照れ隠しと眩いくらいの感情。
「やっとアンタが抱えてる生徒としてじゃなくて、俺個人として言えるようになったんだからな。グダグダ言ってねぇでちゃんと聞けや」
三年間俺がどれだけ祝いたかったか鈍いアンタは何も知らねぇだろ、と爆豪が零す。
次いで、しょうたさん、と初めて呼ばれた名前の響きに理性なんてものは焼き切れてしまった。折角のケーキが潰れてしまわないように気を回す事が出来たのを褒めて欲しいくらいだ。皺が出来始めた紙袋は右手で持って、空いた手で自分の上着ごと爆豪を抱き締めた。伝わってくる鼓動が紛れもない現実であることを教えてくれる。
「誕生日おめでとう。俺、アンタが好きだ」


***


二人分の体温で温まったベッドの上、放り投げられたままだったスマートフォンが電子音を奏でた。メッセージ、というよりも音声データが一件届いていた。送信主は例の如くプレゼント・マイクである。どうやら昨夜放送されていたラジオを自分のスマートフォンでも一部録音していたらしい。データを再生すれば彼のラジオでよく使われているBGMが流れ始めた。
『ここでちょーっとプライベートなメッセージを送らせてくれ。ラジオを私的に使うのはあんま好きじゃねぇんだが、今日だけは許してくれると助かるぜ、リスナー。なんせ俺の大事な大事な親友のバースディだからな。一緒に祝ってやってくれ』
HEY! 親愛なるイレイザーヘッド。
そう電波越しに声を掛けられて、名前を出すんじゃねぇよと苦笑い。それでも停止ボタンを押すことはなかった。マイクのメッセージが続く。
『今年のプレゼントは期待してろって言っただろ? 気に入ってくれたか? 今まで色んなプレゼント渡して、色んな場所行ったけど今年は最高で特別で別格だっただろ? 照れてないで今度ちゃんと話聞かせてくれよ! 絶対だからな!? 忘れんなよ!? すぐ電話するからな!?』
必死に話を聞きたがっている声のトーンに思わず笑ってしまった。これはプレゼント・マイクではなく、ただの山田ひざしの声だ。
確かにマイクの言う通り最高で特別で別格だったけれど、毎年感謝しているんだということもきちんと伝えなくてはいけないなと省みる。
『あと、昨日言い忘れてたけどお前の有給勝手に申請しておいたからゆっくり堪能しろよ。世界の平和とデスクワークはボイスヒーローにお任せあれ。ジャストトラストミー! イェア!』
それから誕生日を祝う歌が流れて、スタッフを巻き込んだ拍手の音が聞こえて音声データは終わった。同時にひょっこりと布団から顔を出した爆豪におはようのキスをひとつ。
「礼を言わないとな」
「ん」
高い肉を奢らなければいけないのはこちらのほうだったようだ。
話を聞きたがっている自称親友と今度三人で出かけようか、とベッドの上で計画を立てて、用意された平和な休日を心いくまで満喫することにした。

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