拝啓、七代目火影様


ようナルト、面倒だけどよ、急に手紙を書くことになった

もちろん、お前宛てだ

とりあえず、七代目火影就任おめでとう

夢、叶えたな

まぁ、俺も明日からは火影補佐だからよ、また宜しく頼む

そういや、ヒマワリは元気か?またボルトも連れて俺の家に来い、シカダイも喜ぶ

ヒナタとウチのテマリも仲良くやってるみたいだ

ちょっと意外だよな、テマリはキツイから不安だったんだけどよ、ヒナタはハッキリものを言うから好きだってよ



.........なんか、ハズいな

本当にしたい話はこんな話じゃねーけどよ、いざ改めてってなると、どうにもむず痒くて仕方ねー

まぁ、恥ずかしがっててもしゃーねーから腹括るわ

ナルト、俺は正直言ってアカデミーの頃からお前が気になってた

勉強も忍術も、俺と同じようにダメダメだったお前がどうしようもなく気になってな

同じドベだから気になってたんじゃねぇぞ

でも、その頃からお前しか持ってない何かってーの感じてた

下忍になって、中忍試験でのお前みてよ、俺は確信したんだ

お前は火影になれるって

これは誰にも言ったことはねー

言ったってあの頃のみんなじゃ信じてくれなかっただろうしな

それに、俺もお前が火影なれるって思っただけで、俺自身は平々凡々の人生を送るんだと思ってた

ガキの俺はメンドくせーの一言で努力なんて少しもしなかったからよ

あぁ、やっぱりナルトと俺は違うんだなって

お前、俺と同じドベでも努力は人一倍してただろ、素直にスゲーなって、何であんなに頑張れるんだろうなって...

中忍になって始めての任務でよ、大変だったよな、俺、ずっと不安だった

自分が仲間の命を握ってるってことが怖くて仕方なくて、本当は任務なんて早く終われば良いって、早く終わりますようにって心の中で祈ってた

結局、サスケは行っちまうし、お前とチョウジとネジは重傷、キバと赤丸も無傷では済まなかった

んで、肝心の俺はピンピンしてた

手術室の前で待ちながらよ、お前らを失うかもしれねぇってなって、自分の所為だと思った

たまたま中忍になれただけで、お前みたいに努力してこなかったツケがまわってきたんだって

この時初めて、努力しなかったことを後悔した

だから、もう後悔しないように、お前が里にいない間、俺なりに強くなろうって決めた

俺はお前みたいに力技はできねーからよ、戦力にはなれねーけど、任務を成功に導く作戦を考えることはできる

特にお前は俺の命令なんか聞かねーで突っ走るだろーから、それもフォローできるぐらいになんねーと

...そう思ってたんだけどよ、それだけじゃ足りねー、前回の戦争でそう感じた

俺はもっと強くならないといけねぇって

お前のその諦めないど根性ってやつ、いつの間にか俺にも伝染したみてーだ

それに、らしくねーけどよ、あの戦争で、この面倒くさがりで逃げ腰No.1だった俺にも夢ができた


お前を火影にするって夢


本当、らしくねーよな、自分でも驚いてる、まぁ、それは今日叶ったけどよ

でもな、俺、本当はずっと前から言いたかったんだぜ

うずまきナルトはスゲー奴だ、って

サクラやサスケには劣るかもしれねぇ、けど、同じドベだった俺もずっとお前を見てきた

どんどん強くなるお前を見て、無意識に焦って、珍しく親父に修行みてもらったりしてよ

お前の隣に立つことは無理でも、お前が倒れそうになった時には後ろから支えてやろうってずっと思ってた

お前は危なっかしいことばかりするからよ、俺が面倒みてやらないとダメだって暗示みたいに心の中で唱えてた

俺がガキの頃から描いてた平々凡々人生設計が台無しだぜ

嫁さんは美人だし、火影補佐にもなった、1人目の子は男だったしな、何もかも正反対の未来だよ

でも、それでよかったと思う

ナルト、お前がいたから俺は強くなろうって思った、お前が諦めないから俺も信じようって思った

俺の人生はお前が中心だ、今までもこれからも

お前は長い間一人きりで辛い思いをしてきた分、人一倍優しい忍になった

優しさは忍にはいらねぇって口うるせぇ爺さん婆さんは言うだろうけどよ

そんなことはねぇ、胸を張れ、お前のその優しさが世界を救ってきたんだ

そしてこれからはその優しさで里の人々を守るんだ

安心しろ、お前が迷った時は怒鳴って一発お見舞いしてでも正気に戻してやる

お前のことは俺が守るから、俺にお前の背中を預けて欲しい

お前を支えて守ることがこれからの俺にできることだから

七代目火影就任、本当におめでとう



真新しい火影専用の文机に置かれた手紙。最後の最後で照れ屋な性分が出たのか、差出人の記述は無い。

(シカマルくん、ナルトくんのこと大好きだから)

そういえばヒナタがそんなことを言っていた。その時は、男同士で変だって言って笑い飛ばしたのだが...

「.....................これは反則だってばよ!!シカマル!どこだー!!」

その日一日、新任の火影は顔を真っ赤にして、同じく新任の火影補佐を里中探し回ったとさ



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