アナタ色に染められて


アスマが好き。

届くはずのなかった思いが受け入れられたことは今でも信じられない。ずっと夢見てたアスマの無骨な手が自分の体を弄り刺激していく、俺から漏れる甘い吐息に満足そうに笑ったアスマの目に愛おしさがあふれていて、思わず泣いてしまいそうだった。

俺だけを見てくれている。なんて幸せなんだろう。俺は男で、叶うはずのない恋をしていた筈なのに、隠していた恋心はとうとう暴かれてしまった。きっとダメだと思っていた。勿論、思いを告げるなんて面倒なことするつもりもなかった。それにアスマの隣にはあの人がいたから、女と男じゃ勝負にならない。

「…っ、あ…んぅ」

「どうした、なんで泣きそうな顔してるんだよ…幸せ過ぎて死にそう、とか?」

無言で頷く。その反応が意外だったのか弄る手を止め、まじまじと見つめられた。あぁ、全く鋭いのか鈍感なのかわからない人だ。

「こんな面倒なことしてるんだ、わかるだろ?」

普段と変わらない生意気な物言いをしてから首に手を回し、反論できないように唇を塞ぐ、今は愛を囁いて欲しいわけじゃない。もっと乱れさせて頭が真っ白になるぐらいに溺れさせて欲しいのだ。

唇を離し、アスマを見つめた。

「余計なこと考えるなよ…今は俺のことだけ考えて」

そう言った瞬間に今度はアスマが唇を塞いできた。まるで動物のように唇に吸いつかれ息が出来なくなる。何度も角度を変え、舌を絡め合う。唇を割って口内に侵入してきた舌が歯をなぞって動き回った。まるで体の隅々まで調べあげられているようだ。

「ふっ、ん…あす、まぁ…」

「煽ったのはお前だからな…後で文句言うんじゃねーぞ」

「ひっ、あ…はげ、しっ、あぁっ!」

昂った熱をそのまま押し付けられ一緒に擦り上げられる。女のような甲高い声が部屋に響くが、そんなことを気にしている余裕は無かった。アスマの大きな手が尻に添えられ、思わず体がぴくり、と反応してしまう。目で「待って」と訴えてみたが、逆に火をつけてしまったようだ。固く閉じられている入口に指が一本、押し入ってきた。

「ぁ…く、あ…あ、す…ま」

初めての圧迫感に思わず逃げようともがくが、アスマはそれを良しとせず空いている手で胸の突起を摘む。摘まれると何とも言えない快感が背中を駆け抜け、足が張ってしまう。アスマは俺が別の快感に溺れているのをいい事に次々と指を増やしていった。

くちくち、と聞こえるか聞こえないかぐらいの音が耳に届く、まるで女になった気分だ。アスマは女にするのと同じように優しく丹念に俺の中を広げていく。あの人にもこんな風にしているのだろうか。そう思っていると俺の中にある一番敏感な部分を思い切り抑えられた。

「ひ、ぁっ!!!あっ、あすまっ!そんな、んっ、きゅ、う…にっ、あんっ!」

「余計なこと考えるなって言ったのはお前だぞ…面倒なことなんか忘れちまえ、黙って俺に抱かれてろ」

「やぁっ!あ、んぅ…あすまぁ、ひぁ、あ、ん、あぁん…」

怒ったアスマがジロリと俺を睨む、それは怒っていると言うよりもまるで拗ねた大きな子供のようで、俺は少女漫画のようにときめいてしまった。要するに年甲斐もなく拗ねるアスマが可愛かったのだ。それでも指は容赦を知らず先ほどの敏感な部分に軽く触れながら中を掻き回していく。もう俺の中にある三本の指は根元までしっかりと入り込んでいた。大きく足を広げ、快感を堪能する。腰が勝手に震え、俺の中はどんどんアスマの指を締め付けていった。

「っ、すげぇ絡みついてくるぞ、どれだけ俺のこと好きなんだよ」

「ぁ、ひ…いっ、ぱ、い……すき、だ、ひゃ、う、ぁ…」

「そーかよ、そりゃ嬉しいね……俺も好きだよ」

耳元でそう囁かれ鼓動が早くなる。ジッとアスマを見つめると、ニコリと笑い優しく口付けてくれた。今度は自分から啄むようにアスマの唇に噛み付いていく。

「ちょっと痛いかもしれないけど、我慢しろよ?」

指を引き抜き、俺の乱れた髪をかき分け、そっと額にキスをする。当てられている部分からじんわりとした温かさが伝わり、期待で胸が一杯になった。

「おいおい、シカマル顔ヤバいぞ、すげぇエロい…後ろもこんなにヒクヒクさせて、淫乱だな」

「……いんらんで、かまわねぇから……はやく、いれてくれよ、な?」

再びアスマは黙ってしまった。ぱちくり、と瞬きをしながらシカマルの言葉を噛みしめる。たった数秒のことの筈なのに、シカマルにはひどく長く感じられた。下半身が熱くてどうにかなってしまいそうだ。ダラダラとこぼれ落ちる先走りが内腿を汚してゆく、もう早くしてくれないだろうか、心臓が早くて痛くて死んでしまいそうだ。

「はやく……あすまの、で……たくさんついてもらって、きもちよくなりたい」

「……くっそ、今日のお前、素直すぎるだろ!」

「あっ、ぐ…あぁあぁ…!!」

熱が押し込まれ、余りの痛さと違和感に呻き声を漏らしてしまう。額には脂汗が浮き始め、呼吸も浅く早くなっていった。しかし、アスマがゆっくりと腰を動かし始めると、その気持ち悪さは途端になりを潜め気持ち良さと幸福感がシカマルを支配する。厳密に言えば本来排泄機能しか備えていない器官に異物挿入をするということは気持ち悪いことには変わりないのだが、そんなことを気にする余裕はどこにもなかった。

「はっ、あぁ、ん…あ、いいっ、きもち、いい……あすま、の…ふとい、のが、でた、りっ…はいっ、たり、してる…ひぁ、ん、んあぁあぁ」

「ホント、女みてぇに乱れすぎ…可愛いな、愛してるよシカマル」

耳元でそう囁かれるが返す余裕はない、代わりに一層激しく女のような声で喘いだ。自分の中の肉壁と突起を擦り上げ、熱を吐き出される。何度も何度も生暖かい液体が中を埋め尽くしドロドロとした感触が僅かに感じられた。それでもアスマは俺を離すことなく腰を揺らし、俺を乱れさせる。

もう女になってしまいたい。女になって子宮にアスマの精子を注いでもらいたい。そうしたらずっと愛してもらえる。大好きな人と別れなくて済む。あぁ、何で自分は男なんだろう。大好きな人に愛されながら人知れず涙がこぼれ落ちた。

でも、そんなことはできないことぐらい分かっている。だから今だけでいい、俺をアンタの色に染め上げて?

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