ロスト・ヴァージン


私の純潔を奪ったのも、あの子の純潔を奪ったのも、あの人。
もう会えない、私の一番大事な人。



「ッ、…ァ、…!」

ぐい、と指でしこりを押し込むと目の前の体が大きく揺れた。色任務の教育の一環で人体の構造は詳しく把握している。実践するのは初めてだったが、中々できているような気がした。当時の教官が教えてくれた記憶を頼りにしこりを刺激していき、目の前で顔を真っ赤にして喘ぐ少年…いや青年に優しく微笑みかけた。

「く、れ…ない、セン、セ、ッア!」

「…こんな顔してアスマに抱かれてたのね」

「ァ、そ、そんな、こと…ッ、ァ、いわな、いで、くださ、い…アァッ!」

「いやぁね、いじめたいわけじゃないの、知りたいだけ、アスマがどんな思いでアナタを抱いていたか、ただそれだけよ」

ぐりぐりと刺激を小刻みに強くしていくと青年は目に涙を浮かべて首を横に振る。かわいい。少しゾワッと何かが逆立った気がした。確かにこの征服感は堪らないだろう。青年は常に自分という芯を持ち、我が道を進んでいく、まさに朱に交わらないマイペースという言葉が似あう人間だ。だからこそ、この青年が判断力を失い、ただ快楽に溺れる哺乳類と化す姿を見るのは中々に見物である。まさに支配感と征服感、両方を味わうことができるのだ。あの人はこの青年のこんな部分が好きだったのだろうか。いや、これだけじゃないんだろうきっと。指を増やし、3本の指がぐりぐりとしこりを刺激する。気分転換にしてもらったネイルが良い働きをして更なる刺激が青年を襲った。

「あ、ぁ、あっ、アッ!あ、アッー!あーッ!!」

「ふふ、壊れたおもちゃみたい、私でもそんな感じに喘いだことないわ、そんなに気持ちいい?」

女の自分が男の快楽をわかることはできない。逆もまた然り。少しだけ気になったが、今はただこの青年の果てる姿が見たかった。探求心と好奇心、あともう一つ、少しの嫉妬が混じって目の前でただ喘ぐ青年に夢中になってしまう。

「アァッ!!や、もう…ッ、むり、むりですッ」

「良いわよ、好きにしなさい」

そう囁いてガリ、と爪を立てた。

「い、ぎ、ッ!!!あ、ッ、ァ、アァアァ〜〜〜ッッッ!!!」

大きく声を上げ、体が跳ねると白濁が飛び出した。ぐったりとベットに体を沈め真っ赤な顔で呼吸を繰り返す。切れ長の茶色の瞳からツーっ、と涙が一筋零れた。そこに理由はあるのか、それともないのか、心の内は計り知れないものがある。だが、一つだけわかっていることがあった。ギシ、と体重をかけるとベットが呻き声をあげる。長い髪が絡み合い、白い肌としなやかな体が重なり合った。何度も唾液を交換し合って、ゆっくりと体を離す、涙で濡れた目が自分をジッと見つめた。その目の中にあの人の面影を探しながらゆっくりと腰を沈めた。

「は、ぁ…ッ」

「ね、今度は私に思い出させて」

お願い、私たちの純潔を奪ったあの人を、痛くしてもいいから、あの人がもう一度死んでしまう前に忘れないように刻み込んで。青年は何も言わない。でも優しく体を抱いて、そっと乳房に口づけをした。あの人と全く同じことをしてみせる青年に少しだけ口元が緩んだ。


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