手を引いているのは誰か


手を引かれているのは誰か


大人っぽい、マセてる、生意気、どれもこれも俺が今まで大人から言われたことのある言葉。悪意があるものもあれば褒め言葉もあった。でも結局の所、中忍になって自分はまだなにも知らないガキだってことを思い知らされる。礼儀も守るべき秩序も何も知らずに生きてきたちっぽけな12歳のガキなのだ。

「おい、ナルト!見ろよこれ!」

「んー?なんだってばよキバ……って、こ、これは…………!?」

「お宝だ!!」

……でも、この2人よりかは知っていることは多いかもしれない。心の中でため息をつき、先ほどまで任務を共にしていたナルトとキバの様子を伺う。どうやらキバが河原で見つけたいかがわしい本を持ってきているようだ。ナルトは興味津々といった様子で雑誌を覗き込んでいる。まぁ、年相応の、子供らしい反応だ。

「スゲーな、キバ!どこで見つけたんだってばよ!うわぁ、すげ…」

「へへっ、朝、赤丸の散歩の時にな*、あ!おい、シカマルどこ行くんだよ!」

面倒ごとには巻き込まれたくない。すぐにそう判断してその場を立ち去ろうとした俺をキバが引き止める。

「俺はパス、興味ねぇ」

「えぇ、まじかよシカマル*、じぃちゃんみてぇだってばよ」

「なんとでも言え」

「ちぇっ、つまんねーの」

「ま、いいじゃん、早く続き見ようってばよ」

じゃあな、と手を振りその場を離れる。向こうから歩いてくるサクラといのにも手を振り、曲がり角を曲がった。あのままではキバとナルトも2人と鉢合わせてしまうだろう。かわいそうに、ため息と同時に2人には悪いが自分があの場にいなくて良かったと胸をなでおろした。

そもそも女の裸なんか載っている雑誌のどこが楽しいのか、少し疑問だ。ただ裸なだけだ。みんな風呂に入るときは裸になるんだから、それがいかに興奮材料になるのか…まぁ、でもわからないでもない、裸の先をみんな見るんだろう。裸になって、全てをさらけ出すあの時を疑似体験したいのだ。まぁ、自分はあまり女性とはそういうことをしたいという欲求はないが。

「いてっ、あ、すみませ……」

「おー、どうしたボーッとして」

「アスマ…」

考え事をしながら歩いていたせいでガッシリと逞しい身体にぶつかってしまう。幸い、見知った人物であったが、猿飛アスマは今シカマルが一番出会いたくない相手だった。

(なぜかって?)

それは言わずともわかるだろう。ガキで12歳の俺に裸の先を教えたのは目の前にいるこの男なのだ。本当なら犯罪行為だが、まぁ、俺が警察に行っていないことでこの髭クマはなんとか刑を免れている。感謝しろよこの野郎、という気持ちを込めて目の前の男を睨みつけた。

「ん?」

「…………いや、なんでも、ない」

「そーかそーか」

「おい、やめろよ…」

頭を撫でようとする手を振り払い距離を取るが、アスマは全くそんなこと気にならないといった風ににこりと笑い、タバコに火をつける。

「今日予定あるのか?」

ふぅ、と顔に煙を吹きかけられた。ムカつく。

「…………けほっ、…………ないケド」

「じゃあ、ウチ来るか?」

もう一度煙を吹きかけられる。これは合図だ。この男が俺を抱きたい時に送る秘密のサイン。嫌なはずなのに高鳴る鼓動が煩くて頭がくらくらする。恐れなのか喜びなのか震える手を握りしめ俺はゆっくりと頷いた。





「ひ、ッ…………ん、ぅ」

「ッ、キツイな……」

「ん、ぁ、あ、あ、ァ」

我慢ができなかったのか、アスマは家に着いた瞬間に玄関で俺を押し倒し、セックスを始めた。無理やり捻じ込まれあまりの痛みと快楽に自然と涙が溢れる。アスマの体は大きい、それはもちろん下のアレも大きいということである。さらに言うとアスマは俺の足を抑え、真上から挿入するのが好きだ。だから、そのアレの大きさがシカマルにはハッキリわかる。そのせいでアスマが俺をこういいうことに誘うようになってからは風呂上がりに裸でウロつく親の体さえ気になるようになった。まだ自分は12歳のはずなのに、子供を作る営みをさせられている。いや、子供なんかできやしないからこそなのだろう、まるでペットショップにいる犬を見に行くぐらいのノリでアスマは俺を抱くのだ。ペットショップにいる犬は毎日見たってお金はかからない。衣食住は店員が面倒をみる。俺も同じで、子供ができない男だから、体格的に到底かなわない子供だから、アスマは俺を抱く。

「なぁ、…シカマル……激しく、して…いいか、?」

「ひっ、ぐ、ぅ…ッ」

何も返事は言わなかったが、それはつまりそういうことなのだ。それもまた合図である。と言うか今までも十分激しかった…。この髭クマには受け入れている側の気持ちなんてわからないのだろう。そんなことを俺が考えているなど全く知らずに行為に耽るアスマは俺が出した合図を受け取り、俺をうつ伏せにさせると思い切り首筋に噛み付いた。これもまた合図で、先ほどよりも激しい衝撃が俺を襲い、我慢できなかった俺の喘ぎ声が部屋に響いた。

「ひ、ぃッ!?ぁ、アッ、ぁ゛ッ!!!」

「ほら、っ、前も弄ってやるよ」

「んぁ、やっ、やだッ、あす、まッ!?ん、ぁ、アッ、あぁアッ!!」

この男は俺の言葉なんてこれっぽっちも聞いていない。優しくない、もし本当にこんなやり方でいいと思っているならAVの見過ぎだ。俺はおもちゃじゃないのに、俺が嫌がって体をよじったり、感じて女児のような甲高い声をあげるとアスマは嬉しそうにより激しく俺を抱く。まさに変態。因みにショタコンではないらしい。男を相手にするのも俺が初めてだそうだ。それはなんだかちょっと嬉しかったりする。

「ぁ、アッ、ぁあ、ひぁっ、んッ!ぁ、アァッ!」

激しくて体が2つに避けてしまいそうだ。痛みと快楽が同時に襲いかかり頭の中は何も考えられないぐらい空っぽである。

「ッ、ナカぐっちょぐちょじゃねぇか」

「ンッ!ぁ、アッ!あすまっ、あすまぁっ!」

「イくなら言えよ、気持ちよくしてやるからさ」

「ひっ、ぁ、あッ!も、むりっ…おかしく、おかしくなる、ッ、やだ、やだぁっ!」

「……………シカマル」

アスマはいやだいやだと首を振り涙を流す俺の体を仰向けにし、そのまま抱き上げると繋がったまま寝室まで歩いて行く。

「ぅ、やだ…あす、ま…きもちわるぃ…」

「すぐ気持ちよくなるさ、な?」

寝室にあるベッドに腰掛けたアスマは優しく俺の乳首に舌を這わせる。そのもどかしい刺激に毛がさかだつような感覚に陥った。

「ん、んぅ、ァ、あすま、ひぅ…そこ、やだぁ…ぁ、ん、んん…ッ」

「んー?なんで嫌なんだ?」

「ぁ、は、ァッ、そこっ、も、いいからぁっ!」

ぎゅう、と背に手を回し抱きつくとアスマは満足して舌を離し、大きな手で腰を押さえつけて下から突き上げ始めた。

「ンァッ!!?ぁ、あっ、ァ、あすま…ッ、ん、ぁ、いや、っ、いやだ、アッ、ァ」

「シカマル…ッ、かわいいなぁ、お前は…っ!」

きゅぅ、と中が締まり、それをアスマが力ませに押し開いてくる。痛くて、気持ちわるいし、セックスなんて何が楽しいんだろうかと最初の頃は思っていた。でもだんだんと気持ちいいと言う感情が出てきて、体もセックスという行為に慣れていく。もう俺はこの人からは離れられないんだろう。離して欲しくない、ずっとずっといつまでもこうして欲しい。セックスが激しくったって構わないから、その逞しい体で俺を抱きしめて包み込んでずっと閉じ込めてくれないだろうか。

「ばか、や、ろ…!ん、ンッ、いや、ぃ、く…ッ、ん、ぁ、あっ、あぁァンッ!!!」

快感が一気に駆け巡り、射精を終えるとアスマは間髪入れずにまた下から突き上げてくる。

「…っ、…………まだ、いけるよな?俺、イってないからさ」

「んっ、いやぁ、も、むり、いたい、って、いたい、から、ッ、ん、ぐッぅ……」

「大丈夫だから、な?」

何が大丈夫なんだ。かなり痛いんだぞ、と涙目で睨みつけるが効果はない。

「ひっ、く、ぅ…ぁ、あ゛、」

「………………ッ、ぁ」

最後にゆっくりと中を突かれアスマの生暖かい精液が腸内に注ぎ込まれた。後で掻き出さなければならない白濁に多少もったいなさも感じつつ、今はただ余韻に浸る。

「は、ぁ…は、あ………ぁ」

「…………しかま、る」

汗まみれの頬を撫でてくるアスマを思い切り睨むと涙交じりの声が出てしまう。

「……………まんぞく、かよ……ヘンタイ」

「………泣くなよ」

「…ッ、泣いてねぇ!」

「嘘つけ、泣いてるじゃねぇか」

「う、ぅうぅッ、ばか、しね、へんたいッ、ひっ、く…」

見据えた嘘を見抜かれついに子供のように泣き始めた俺をアスマは困ったような顔をして抱きしめてくる。

「悪かったって…」

「いたいって、いたいっていったのに…ッ、ばか、ばかぁ…」

「ごめん、無視してごめんな」

あまりにも泣き止まない俺をベッドに寝かせ、優しく唇を塞いでくる。舌が絡み合い、優しく唇を吸われると俺の頭にあった気持ちなんかはすぐに消え失せてしまった。

「ん、ふぅッ…、ん、んん……」

雛鳥のように舌を絡め離れようとする唇に吸い付く。

「は、ふ…ぁ…………」

「シカマル」

俺はアスマに抱き寄せられあの逞しい体の中に収められた。触れ合う肌が暖かくて、まだ中にあるアスマのアレが硬く熱を持ち始めるのを感じる。俺は煩い心臓の音に気づかないふりをして背を向けたままアスマに話しかけた。

「…………………な、あすま」

「ん?」

「……も、もういっかい、シよ…??」

自分の言葉にきゅぅと中を締めてしまうとアスマの驚いたうめき声が聞こえまた後ろから手が伸びてくる。あんなにつらいのになぜ何度もしたくなるのだろう。それは恐らく「愛」なのだろうけどまだ12歳の俺にはそれがボヤけてハッキリしないものでしかない、ただこの人が俺にいつか飽きてしまう日が来るのを俺は密かに恐れている。だからきっとこれは「愛」なんだ。きっと俺にはこの人が全てなんだ。ナルトとキバがもし今の俺を見たら驚くかもしれない。彼らがお宝と呼んだあの本に載る女のように、裸で大人に抱かれる俺はきっと誰よりも愚かで愛に溺れる動物であるということを証明していた。



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