こいびとかんさつにっき


ep1:くがつさんじゅうにち

猿飛アスマ(28)半年片思いをしていたアイツとようやく付き合うことができた。柄にもなく舞い上がっていて同期で下忍班を受け持つカカシ達からはショタコンなどと罵られているが、例えアイツが何歳になろうと俺は愛せる自信がある…!しかし問題が一つあるのだ。俺の目がおかしいのかもしれない、でも眼科に行っても異常はなかったし親父と同じ老眼ではない。(まだそんな歳じゃない!)でも確かに見えるのだ。

俺の可愛い部下兼恋人、奈良シカマルの背中に小さな羽が生えている。

「アスマァ、何書いてんだ?」

「あぁっ、ダメだ報告書だからな!」

「ちぇっ、なーんだ」

自室で書いていたところに昼寝から起きてきたシカマルがちょっかいをかけにくる。因みに今、羽はぱたぱたと開いたり閉じたりしている。犬や猫とは違うかもしれないが、これはどんな気分の反応なんだろうか…。

「なぁ、シカマル」

「ん?」

「今どんな気持ちだ?」

「…はぁ?何言ってんだよアスマ」

「いいから、答えてくれよ」

ぐい、と引っ張ってシカマルを膝に乗せて解かれている髪を優しく撫で、可愛い額にキスをするとシカマルは恥ずかしそうに頬を染めて俺にすり寄ってくる。

「やだよ恥ずかしい…」

「お願いだ、な?」

「……ったく、仕方ねぇなあ……ぎゅってしてくれて、うれしい、とか…もっとちゅーしたいとか、そんな気分デスけど……なんか、文句あります?」

むぅ、と顔を真っ赤にしながら俺をかわいく睨むシカマルに鼻血を掛けてしまいそうになるが寸前で耐える。因みに羽は小さく折りたたまれてしまった。

(恥ずかしい…のか?)

頬をキュッと両手で包み唇を押し当てると、翼がバサッ、と大きく開いてバッサバッサと激しく動く。動揺した時はこうなんだな、とアスマは一人納得した。

「んっ、ンンッ!」

「あ、わりぃ」

「ぷはっ!は、ァ、はぁ…」

胸に手を当て大きく息をしているシカマルの腕を掴み、手を上げさせるとまだ毛も生えていない脇をべろん、と舐めてみる。

「ひぃッ!?アスマッ!?!?」

「しょっぺぇ…」

羽はまた小さく折りたたまれている。羞恥心や驚きでこうなるんだろう。あれ、でも動揺と驚きの違いってなんだ??よく分からなくなってきたが、とりあえずシカマルは俺にこうされるのが満更でもないらしい。それに満足して俺はシカマルの服をいそいそと脱がし始めた。

ep2: しょげないでよべいべー

この間は実験途中で盛り上がってしまったため、しっかりとデータが取れなかった。今日こそはしっかり取らねば!俺はそう決意してオムライスの上にふんわりとした卵を乗せる。

「シカマルー」

「何だよアスマー?めしー?」

「そうだぞー、お前が食べたいって言ってたふわとろオムライスー」

「まじで!?やった!!」

バタバタバタとリビングに走ってやってきてワクワクと目を輝かせるシカマルの前にそっとオムライスを置くと上に乗った卵がぷるん、と揺れる。

「ふわとろ…!ふわとろだ!アスマ!なぁなぁ、アンタが作ったんだよな!?よく作れたな!どうやって作ったんだ!?」

バサァッ、と大きく開いた羽は少し輝いているきがする。表情も普段は見せない少年らしい表情だ。興奮してたらこうなるのだろうか、そう疑問に思いつつもシカマルの頭を撫でた。

「落ち着け、作り方ならまた今度一緒に作って教えてやるから、そしたら家でも作れるだろ?」

「……んー」

「どうした?」

「どうやって作ったかは知りたいけど、家では作らないから口で言ってくれよ」

「なんで?台所立つなって言われてんのか?」

「ううん、こんなレストランのごはん俺が作ったら母ちゃんが困るだろ?それに母ちゃんのサバの味噌煮とか筑前煮とか…母ちゃんのごはん、おいしいから」

なるほど…。要するに自分が家で作ったら母親の料理を否定すると思ってるのか…。落ち込む母親を想像したのかあれだけ輝いていた羽から輝きは無くなりみずぼらしく見える。

「そうか、なら俺が作ってやるからいつでも俺の家に食べにきたらいい」

「……うん」

よかった。少しだけ翼も元気になったように見える。俺はもう一度シカマルの頭を撫でて席に着いた。

「「いただきます」」


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