バリバリと空を割らんばかりに轟く雷鳴に、布団を頭まで被り体を丸める。
 昔から雷が苦手だった。何かトラウマがあるというわけでもないが、お腹に響くような音も、肌のピリつくような感じもどうにも苦手で震えが止まらなくなる。
 だから雷の日は布団にくるまって手で耳を塞いでやり過ごすのが小さい頃からの癖だった。
 早くおさまってくれないかなぁと酸素の薄くなった布団の中で肩を震わせていると、ぽんぽんと布団越しに体を叩かれて心臓が跳ねる。
 ガバッと布団から顔を出すと、そこにはしゃがんでこちらを窺うエースがいた。

「よぉ」
「びっ、くりした……!!ど、どうしたの?」
「雷で起きた。あ、一応ノックはしたから怒るなよ?」

 ドキドキと驚きの余韻を残す胸を押さえつつ、頭の中を整理する。

「ん……それで、どうして私の部屋に?」
「ん?あァ……すげェ雷の音だったからお前がビビってんじゃねェかと思ってよ」
「び、ビビってなんか……!」
「うそつけ。まだ怖ェんだろ?雷」

 止むまで一緒に居てやるよ、なんて言ってベッドに上ってこようとする彼を止めようとしたところで、またバリバリと強烈な音が響き思わず彼の腕をギュッと掴む。

「ほらみろ」
「ち、ちがっ……これはっ!」
「いいから、ちょっと詰めろよ」

 強引だけど優しい目をした彼にぐっと何も言えなくなって言われた通りベッドを少し空けると、大きな体が入ってくる。
 そして何の迷いもなくぎゅうと抱き締められて、ぱしぱしと彼の胸を叩く。

「ちょ、ちょっと……!」
「ん?」
「大丈夫だから、はなしてっ」
「よく言うぜ、ガチガチ震えてたくせによ」

 フンッと笑われてより一層強く抱き締められると、縮こまっていた心臓が少しだけ解れたような気がしてじわりと目頭が熱くなってくる。

「……ねぇ、エース」
「何だ?」
「……暑い」

 相変わらず震えは止まらないし妙に鼻声だけど、じわじわと胸が温まる感覚がどうにもくすぐったくて見え見えの照れ隠しを言えば、「ハッ、かわいくねェな」と彼は笑った。

「……うそ。ありがとう」
「おう」

 昔から彼は面倒見が良くて、この温かい胸に何度も救われてきた。今日だってきっと、慌てて私の部屋に駆けつけてきてくれたのだ。
 本当に、好きだなぁと実感する。

「明日みんなに何て言い訳しようかなぁ……」
「いらねェだろ?別に」
「そうはいかないでしょ」

ふぅん、と興味がなさそうに答える彼は、欠伸を噛み殺して雷が鳴り止むまで他愛ない話をしてくれた。

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