我ながら厄介な人生だと思う。
望まないままに祭り上げられた幼少期。死への恐怖を認識した瞬間。AGEとしては戦力外だった自分は看守たちにとってストレスを発散させる為のサンドバッグのような存在だった。
生きたい、などと願ったことはない。ただ死にたくない、死ぬのが怖いと必死に意識を繋ぎとめていた記憶はある。
「大丈夫か!?」
意識が朦朧としていた自分を引き上げたのは、そんなヴェルナーの声だった。
朱の女王に忠誠を誓うことにそれ以上の理由は必要なかった。
「ねぇ、ヴェルナー。ヴェルナーはわたしを助けてくれたでしょ? だからわたしも、朱の女王の為に何かしたいんだけど……だめ?」
「しかし君はまだ体力が回復していないだろう。君は数日前まで生死を彷徨っていた。そんな状態で無理をしてはいけない」
「でもでも、朱の女王だって人手は欲しいでしょ? わたしだって戦えなくても出来る仕事はあると思うなー」
ミナトで飼われていた頃の自分は戦えないからという理由だけで日常的に暴力を受けていた。
今でも戦うことに対して抵抗はある。それでも自分の命を掬い上げてくれたここの人たちの為に少しでも貢献したかった。
——大人しく寝ているだけの生活が落ち着かない、ということは否定しないけれど。
「君がもう少し回復したら頼みたい仕事がある。それでは駄目だろうか」
「んもー、わたしは今すぐ役に立ちたいんだけどなー。ま、この体じゃ簡単な仕事しかできないのは自分でも分かるけど」
一度は捨てられた命なのだから、と開き直れたらきっと楽だったけれど、今でも死ぬことはとても怖い。