「ユウゴ、3時の方向にアラガミが1体。まだこちらを認識していない。仕掛けるなら今だと思うが、どうする?」
「……こちらに気付いていないのなら手を出す必要もない、と言いたいところだがこの場所にアラガミがいるのはちょっと厄介だな」
それは簡単な任務を終え、帰投する準備をしている最中だった。
濃い灰域の影響かオペレーターであるエイミーとの通信は途絶え、すぐ近くにはアラガミがいるという状況。この日は珍しくユウゴとサクリが二人で任務をこなしていた。
「因みにアラガミの種類は?」
「あれは……ネヴァンだな。恐らく僕とユウゴの二人で苦戦するような相手じゃないと思う」
スナイパーを構えたまま、サクリは淡々と答える。
最近では一緒の任務になることも減っているがこれでも一番付き合いの長いAGEだ。ネヴァン程度に苦戦を強いられるようなことはない。
「サクリ、銃でアラガミの頭を狙えるか?」
「そんなことでいいのか?」
火力の高いバレットを装備し、ネヴァンの頭に銃口を向ける。
パン、という乾いた音が響くのとほぼ同時に頭を撃ち抜かれたネヴァンが咆哮した。
「俺が奴を前線で引きつける。サクリは後ろから援護を頼む」
「了解。とはいえ、僕にあまり期待するなよ。ユウゴのことだけは何が何でも死なせるつもりはないけど」
「……ったく、お前らしいけどな」
地面を蹴り、神機を振るう。疾うに慣れてしまったいつもと変わらない日常。
これ以外の日常を、自分たちは殆ど知らない。