「……レン?」
いつもより少し体調の悪そうな彼を見て、思わず立ち止まる。
次の任務はヴァジュラの討伐という、少なくともこの極東では珍しくない内容だ。
オトハも何度も戦い、慣れてしまった相手。油断は禁物だけれど、いつも通りに戦えば苦戦することもないだろう。
「具合悪そうに見えるんだけど」
「……最近少し体調を崩していたので。でも僕なら大丈夫です」
「だったら私に付き合う必要ないじゃない。……あんたがいなくても私は別に困らないし」
素直に心配だからもう少し休んでて、と言えない自分の性格に我ながら呆れる。
本当はレンがいてくれないと何故かいつもより調子が出ない、だなんて。
もちろん体調の悪そうな人を無理に連れ出さなければならないほどではないけれど。
「心配してくれてありがとうございます」
「だ、誰があんたの心配なんか……! ただ私があんたを無理させて取り返しのつかないことになったら夢見が悪いだけよ!」
真っ赤になって必死に否定するオトハの姿は端から見れば滑稽だろう。
オトハにとってレンは義理の家族とはまた違う意味で「特別」になりつつあることを、本人はまだ認めようとしない。
「あんたを庇いながら戦うなんて私には無理だから、仕方なくソーマとアリサを付き合わせるわ」
「オトハさんって本当は優しいですよね」
「は、はあ!?」
ふわりと作り物のように整った顔で笑んだ彼を見て何言ってんの、と返す気力もなくなった。
レンは間違いなく変わり者だ。