ゲーム

「次、オトハさんの番ですよ」
「…………あ、」

レンの手にある2枚のカードから1枚選ぶ。
カードに描かれたヴァジュラの絵を見て思わず溜息をついた。ジョーカーだ。このタイミングで引いてしまうなんて、我ながら運がない。

「また、僕の勝ちですね」

オトハの手元のカード。ジョーカーではないほうのカードに手を伸ばしたレンは嬉しそうに笑う。今日はこれで2連敗だ。所詮ゲームとはいえ流石に少し、悔しい。別に何かを賭けたりはしていないのだけれど。
最近はレンと自室でトランプをする機会が増えたけれど、ババ抜きを子供のように楽しむレンを見られるのは案外悪くない。
トランプを使った遊びはいくつか教えたけれど、どうやらレンはババ抜きをお気に召したようだ。尤もオトハ自身トランプの遊びをあまり知らないしババ抜きをこんなにも真剣に遊んだのも初めてなのだが。

「トランプって楽しいんですね」
「ま、たまには悪くないわね。……ところで、レン」
「なんですか?」
「もう一度勝負しましょ。負けっぱなしは悔しいもの」
「いいですよ、僕も手加減はしませんけど」

オトハさんって負けず嫌いですよね、と苦笑するレンのことは見ないふりをした。