違和感

レン。
最近、アラガミ討伐の最前線であるこの極東支部に配属された医療班の少年。
見た目は中性的で口調も丁寧。少なくとも第一部隊にはいないタイプだ。
新人らしいけれども実力は確かで頼りになる。しかし私は彼に対して小さな違和感を覚えていた。
別に目に見えておかしなところがあるわけではない。初恋ジュースをおいしい、と言いながら幸せそうに飲む彼は変わっていると思うが人の味覚なんて様々だ。
私はあんなもの、おいしいとは思えないけれどレンはあの味を気に入ったのだろう。単に味覚音痴なだけかもしれないが。

例えば、新人が配属されたときの話。
ツバキさんが紹介したのはフェデリコとアネットの二人だけだった。ほぼ同時期に配属されたレンのことに彼女が触れなかったのはおかしい。
後輩としてこれから一緒に戦うことになるのに、何故。一人で前衛も後衛もこなせる新型神機を扱い、医療班らしく回復弾まで使いこなす彼は大きな戦力になる筈だ。
そんな、些細ではあるが私にとっては大きな疑問。レンに対して抱く違和感の一端。胸の奥でぐるぐると渦巻いている。

「……ねぇ、レン」
「どうかしましたか?」
「あなたは一体、何者なの。私はまだあなたのことが分からない」

一瞬、面食らったような顔をしたレンは次の瞬間吹き出した。失礼な。
こうして笑っている姿は私たちと変わらないように見えるけれど時々彼が無機質に思えることがある。
今は月にいるアラガミの少女、シオのほうが人間らしかった、と。失礼な話かもしれないが。

「……不思議な人」
「僕はここの人達のほうが不思議に見えますよ」

まあ、彼が私に何を隠していたってレンはレンだし悪い人じゃなさそうだから私の足を引っ張らないでくれたら隠し事があっても構わないのだけれど。