遠く餞

*難易度1「鉄の雨」直後


エリック・デア=フォーゲルヴァイデの死はすぐにアナグラ中に知れ渡った。
時々、ソーマと一緒だったからエリックは死んだのだと、そんな心無い言葉も聞こえてくる。ソーマともエリックともあの任務で初めて会っただけのオトハだが、良い気分はしない。
アナグラの外は戦場なのだ。自分の身は自分で守るしかない。まだ数回しか戦場に出たことがないオトハにだって分かる。
冷たい言い方かもしれないが誰かと一緒に出撃したから命を落としてしまっただなんて、ただの言い訳だ。

「というわけで、私がソーマの仲間になってあげるわ。私が死ななければソーマは死神にはならないでしょうし」
「……やめろ、勝手に決めるな。俺に関わる暇があるならさっさと任務にでも行ってこい」

そもそもソーマのことを死神だなんて思ったことはない。ほぼ初対面なのだから当然かもしれないが。
先の任務でも彼のサポートがなければ危なかった場面は多い。少なくとも噂だけで彼を死神だと罵るのは馬鹿らしかった。

「みんなもソーマとミッションに行けばいいのよ。一番新入りの私が偉そうに言える立場でもないけれど」
「……分かっているならいい加減黙れ」
「ソーマ、あんたのせいじゃないわ。エリックの件は見ていた私が断言する」

親しくもない新入りにこんなことを言われても鬱陶しいだけだろう。
それが分かっていながら、それでも敢えて言ってしまった。まるで彼が自分を責めているように見えたのだ。
彼のことを全く知らないのに、と思わず自嘲する。
リンドウが彼を優しいと言っていた理由が何となく分かったような気がした。