彩り

「ねぇ、ひいろ、ごはんまだー?」
「まだー?」
「まだー? じゃねぇよ。第一、俺はお前らのご飯担当じゃない」

義妹にラボに呼び出されたと思ったらこれだ。ヒイロは思わず溜め息をついた。
曰く、アラガミの少女、シオの食糧を取ってきてほしいらしい。
彼女の言うご飯――すなわちアラガミのコアはかなりの量を貯蔵していた筈なのだが流石はアラガミと言ったところか。全て食べてしまったらしい。
シオに友好的なサクヤやアリサに頼めばいいだろ、と言えば「二人は別件で出払っているわ」と笑顔のオトハ。
コウタは休暇を取っているしソーマは朝から姿を見ていない。要するにシオの存在を知っている神機使いで動けるのはオトハとヒイロの二人だけ。

「大体、オトハが自分で行けばいいだろうが」
「私はこれから支部長に呼び出されてるしどうしようかなって思ったんだけど博士がヒイロに頼むのはどうかって」
「ふざけんな」
「リーダーの命令よ、諦めなさい」

リーダーってそういうものじゃないだろ、とヒイロは諦めたように呟く。
血の繋がりはないとはいえ家族の性格はある程度分かっていたが、頭が痛い。
きょとんとこちらを見つめるシオに無理だと言えるはずもなく、どうやら引き受けるしかないようだ。
そもそもシオには何の罪もない。

「良かったわね、シオ」
「ありがとね、ひいろ」
「ったく、今回だけだからな。俺だって暇じゃない」

面倒事を何だかんだ言いながら引き受けるのだからヒイロはお人好しだ。
なんて、本人に言ったら間違いなく全力で否定されてしまうだろうが。

「ひいろ、いいやつだな」

無邪気に笑う目の前の少女くらい素直になればいいのに。お互いにそう思う。