勿忘草

神機に宿る精神のような存在。そんなものが本当に存在しているのか、にわかには信じがたい。
だけど彼はリンドウに戦う力を与えるため、その姿をブラッドサージに変えた。
それは彼がこのブラッドサージそのものであった証ではないだろうか。どんな仕組みなのかは分からないし私は研究者でもない。
最近独り言が多いね、と誰かに言われたことを思い出した。もしかしたらレンは、私にしか見えていなかったのかもしれない。

黒いハンニバルを見据え、私は地面を蹴った。
敵の足元まで一気に駆け、ショートブレードで斬り込んだ。苦しそうなハンニバルにリンドウのブラッドサージが叩き込まれる。
もう何十分戦っているのだろうか。数時間が経過している可能性もある。
まだ終わらない戦いに、そろそろ体力の限界だった。それは数々の戦いを経験しているリンドウにとっても同じらしい。

「レンがここまで繋いでくれた道だから――私は、負けるわけにはいかないッ!」

リンドウを救うために。
生きることから逃げないために。
負けられない。

「――私はこの戦闘を、乗り越えてみせる!」

こんなの私の柄ではないけれど、どうせなら最後まで無様に足掻いてあげる。
だからもう少し、私とリンドウに力を貸して。

「これで、終わりよ!」

目の前のアラガミ目掛けて弾丸を撃ち込む。
ハンニバルが倒れ込んだ瞬間、レンの声が聞こえたような気がした。