わけが分からない。
ジュリウスはあのとき「俺がいなくても大丈夫だな」と言った。大丈夫だなんて、彼は節穴なのだろうか。
ギルバートもシエルもナナも確かに強いし頼りになる。たまに衝突することもあるが決して仲が悪いわけでもない。
ジュリウスがブラッドを抜けたら負担は大きくなるかもしれないが、彼がいなくて戦えないということはないだろう。
しかし、ジュリウスが抜けた状態で自分は今まで通りに戦えるだろうか。既にこんなにも落ち込んでいるというのに。
「連絡手段は……ありますけれど、拒絶されてしまうことは怖いですわ」
先日ジュリウスに連絡を取った折、すぐに切られてしまったことを思い出す。
彼はブラッドを捨て、神機兵を用いてアラガミを滅ぼす道を選んだのだろうか。ブラッドは、そんなにも頼りなかっただろうか。
否、人付き合いは苦手そうだったが誰よりも自身の部下を——部隊の仲間達を大切に思っていた彼が突然部隊を切り捨て、人形のような神機兵の完成を急ぐはずがない。
きっと何か理由がある筈だと、そう思わなければ心が押しつぶされそうだった。
「戦闘経験も浅く、知識も乏しかったわたくしが副隊長なんて大役を引き受けたのは他でもないあなたからの指名だったからなのですよ?」
例えばこれがグレムやラケルからの指名であれば断っていただろう。少なくとも戦闘経験や知識の面で、自分よりもギルバートやシエルのほうが適任に思えた。
ジュリウスが隊長だったからこそ、副隊長を頑張ってみようと思ったのだ。彼が抜けた部隊を隊長と率いるなんて御免だ。
「あなたが戻ってくると信じて、隊長代理を名乗り続けているわたくしを、あなたは笑うのでしょうか」
自分でも愚かだと思うが、彼と笑いあえる未来を夢見ていたかった。