無鉄砲

サテライト拠点の近くにアラガミが現れたと聞き現場に駆けつけると、そこには今まさにアラガミに喰われそうになっている人が見えて。
必要な物資を調達する為に護衛もつけずアラガミが闊歩している外の世界を出歩く人はよくいる。ギリギリで間に合わず、帰らぬ人となってしまう瞬間を目撃することもあった。
目の前の彼を助けなければという一心でブラストを構え、威力の高いバレットをアラガミ目掛けて撃ち込む。自分が囮になって時間を稼ぐ間に他のメンバーが彼を安全な場所へ避難させてくれることを願って。

「……で、隊長ならわたくしの真意を汲み取っていただけているとは思いますけれど、隊長と副隊長が揃って囮になるのは流石にどうかと思いますの」
「一人で囮を引き受けるのは正気の沙汰じゃないと思うがな」
「む……それは確かにそうかもしれませんけれど」

今頃ギルバートとシエルが彼を無事に安全なところまで連れて行ってくれているだろう。二人に何も相談しないまま勝手に囮になってしまったので戻ったら怒られてしまうかもしれない。
目の前のアラガミを野放しにしてしまえばサテライト拠点が襲撃される可能性がある。襲われていた人を見殺しにするわけにはいかない。
少なくともノルンにとってはこれが最善策だった。アラガミの注意を引いて遠くまで誘導するくらいなら一人でも出来るだろう、と。

「もう……わざわざこっちに残ったのですから、責任取ってきっちり討伐を手伝っていただかないと困りますわよ」
「最初からそのつもりだ」
「まあ、ブラッドの隊長と副隊長が揃っているのですから結果なんて分かりきっていますけれど」

このアラガミは不幸だと、アラガミに同情するつもりなんてないが、そう思った。