つなぐ夢

畑をやろう、と言い出したのはジュリウスだった。
聖域はオラクル細胞が停止する緑豊かな高地である。オラクルの技術を使えないこの場所で、野菜を作り次世代へ継承することを提案したのは榊だったか。
人々の為に真っ先に名乗り出るジュリウスは、とてもらしいと思う。入隊した頃から何も変わらない。
彼が神機兵の為に非人道的な行いをしてきたことも事実で、その償いの意味もあるのだろうけれど。

「ねぇ、ジュリウス」
「どうかしたのか?」
「まだアラガミの脅威が去ったわけではありませんけれど、ブラッドのみんなで農業をしていると平和だと錯覚してしまいますわね」

動物を飼い、作物を育てる。神機使いとして戦うこと以外に人々の為になることをする日が来るとは思わなかった。
分からないことだらけではあるが嫌ではない。それどころか貴重な経験を出来て幸せなくらいだ。
ジュリウスと一緒に何かを成し遂げる。少し前までは当たり前ではなかったこと。これはきっと奇跡なのだろう。

「ジュリウス。わたくし、幸せですのよ。泥まみれになりながら野菜を育てるのも楽しいですもの」
「お嬢様らしからぬ発言だな。まあ、お前らしいと言えばそうだが」
「何よりブラッドのみんなと一緒ですから。あのとき格好悪く足掻いて良かったと思いますの」

この聖域のように世界中が穏やかで平和な場所になればいいのに。そう思わずにはいられない。

「これからも一緒に何か出来たら、それがわたくしにとって一番の幸せですわ」

もう二度と、彼に一人で背負わせない。どんな些細なことだとしても。