近くて遠い

神機兵を率いるジュリウスと共に、ロミオの仇でもあるマルドゥークを討伐することになった。
一度はブラッドを去った彼と、こうして再び戦える日が来るなんて。もちろん複雑な感情もあるけれど、嬉しい気持ちのほうが大きかった。

「隊長」
「……ねぇ、ジュリウス。その……隊長という呼び方、やめてもらえません?」
「お前はブラッドの隊長だろう?」
「確かに隊長の立場をあなたから引き継ぎましたけれど、わたくしにとってはあなたが隊長ですもの」

ジュリウスに隊長と呼ばれる度に、心臓を鋭利な刃物で抉られるような気分だ。痛い。他の誰かに呼ばれるよりも、ずっと。
メールで呼ばれたときにも彼が抜けた寂しさや悲しみを感じていたけれども。
自分にとって隊長は今も変わらずジュリウスなのだ。
彼が長期の遠征に出ている間、臨時で隊長をつとめている——それくらいのつもりだった。
だからこそ、彼から「隊長」と呼ばれることに痛みを感じる。

「……ねぇ、ジュリウス。いつか戻ってきてくださるでしょう?」
「それは……」

神機兵のことで忙しいのは分かるけれど、神機兵が完成すればジュリウスがブラッドから離れなければならない理由もなくなると信じていた。
今までのようにジュリウスを中心とした部隊として、共に戦えるものだと。
ギルバート辺りは自らブラッドを去ったジュリウスをよく思っていないかもしれないけれど、それでも。

「可能性が低くても、あなたの帰りを待っていますの。ジュリウスはブラッドの一員、ですわ」
「……ノルン」

神機兵以上の実力をつけたら、彼は戻ってくれるのだろうか。