しあわせのかたち

「……ジュリウス」

視線の先には作物の様子を見ているジュリウスの姿。もうすぐ収穫の時期だと嬉しそうに話していたのを思い出す。
作物に関する知識は殆どない。ブラッドの隊長として、聖域で農業をする者として、最低限のことは調べているけれど、きっとベテランの人から見たら基本的な知識すらないだろう。
それに、熱心に農業の本を読んでいるジュリウスと比べたら自分はまだまだだ。
虫も苦手ではないし服が汚れてしまうこともあまり気にならないから楽しくはあるのだけれど。

作物の収穫を心待ちにしているジュリウスを見ているだけで胸がいっぱいになる、なんて自分でもおかしいと思う。
彼の幸せな姿を拝める日を、ずっと望んでいたのだ。こんな時間が永遠に続くことを願ってやまない。

「……?」

ふと、ジュリウスと目が合った。自分に向けられている視線に気付いたのだろうか。
心臓がうるさい。好きな人の仕草ひとつひとつに反応して、その度に大きな音を立てる。

「ねぇ、ジュリウス。……愛していますの」

思わずそんな言葉を洩らす。鶏の鳴き声に掻き消され、ジュリウスには届かなかっただろうけれど。
この気持ちが伝わらなくてもいいのだ。そのうち伝えられたら幸せではあるけれど、今はまだこの関係のままでいたいと。
今度は後悔するような選択はしないけれど。

「何か言ったか?」
「何でもありませんわ」

こんなにも好きになったのは彼が初めてだった。