螺旋の樹を巡る一連の戦いで、きっと無理をしていたのだろう。
ノルンが体調を崩した。1秒でも早くジュリウスの元へ辿り着きたい、と休みを最低限……何らかの理由で樹の上へ進めないときのみに抑え戦っていたとシエルから聞かされた。
夜も螺旋の樹の汚染やそこにいるジュリウスのことが気になってあまり眠れていなかったようだ、とも。
その疲れが今になって一気に出たのだろう。相変わらずだと思ったが、倒れる前に体調不良を伝えてくれたのは進歩か。
ブラッド隊長としてこの程度で休むわけには、なんて言っていたけれど誰が見ても神機を握り戦える状態には思えなかった。
「……ジュリウス、やっぱりわたくし……」
「お前は休め。こんな状態でついていっても戦えないだろう?」
「でも……」
「早く治して、それからまた頑張ればいい」
任務自体はコンゴウやシユウといった戦い慣れた相手だ。ノルンがいなくても、シエルやナナが必ず倒してくれるだろう。
体調が万全ではないノルンが仮に戦えたとして、その結果悪化することはジュリウスもシエル達も望んでいない。
「……ねぇ、任務に行けないのならせめてわがままを言ってもいいかしら」
「そればかりは内容によるだろう」
「その、眠るまでで構いませんの……わたくしの手を、握っていてくださると嬉しいですわ……あなたがいないと、不安ですの」
ぎゅっと服の裾を掴んだノルンの手は少し震えていて。安心させるように小さく頭を撫でると顔が綻んだ。
「それでノルンが安心するのなら」
「…………ありがとう、ジュリウス」
触れたその手は温かかった。