小さな誓い

ここで、昔は愛を誓い合っていたのだろうか。
アラガミの出現で朽ちてしまった教会で、ノルンはそんなことを考える。教会でドレスを着て、愛する人と盛大に式を挙げる、なんて夢のまた夢なのだけれど。
今は神なき時代を反映してか人前式が主流だが昔は神仏に愛を誓っていた、というのはアーカイブで見たことがあった。
結婚式に全く憧れないわけではない。ブラッド隊長として数多のアラガミを葬る立場ではあるが、やはりいつかは好きな人と、なんて考えてしまう。

「ジュリウス。わたくしは……どんなときでもあなたの傍に在ると誓いますの、なんて」

もちろん彼とはそういう特別な関係ではない。
しかし自分が初めて好きになった相手であり、ジュリウスに出会ってしまったせいで彼以外に恋をすることはないだろうと確信できる相手。

「ならば俺も誓おう」
「ジュ、ジュリウス!?」
「ノルンはこれからも俺と共に居てくれるのだろう?」
「そ、それはもちろん……わたくしが自分からあなたの元を離れたりすることはあり得ませんけれども……っ」

まさか独り言を聞かれていたとは。相当恥ずかしいことを口走っていたような気がする。
任務が終わり、迎えが来るまでそれぞれ資材の回収をしていたところなのでジュリウスがいても何ら不思議ではないのだが、彼はロミオと共に別のところへ行っていたと記憶している。
少なくとも、自分のすぐ後ろにいるなんて想定外だ。

「……ジュリウスが嫌だと言っても簡単には離れてあげませんわ」
「俺もそう簡単には離れないさ、今度こそ」

それは、どんな言葉よりも幸せな誓いだった。