幸せだ、とノルンはぼんやり思った。
隣にジュリウスがいる。そんな些細なことが嬉しくて、心が満たされるような感覚。夢のようだ、とはこういうことを言うのだろう。
もう二度と会えないかもしれないなんて思ったこともあるけれど、全てを諦めなくて良かった。
「嬉しそうだな、ノルン。何かいいことでもあったのか?」
「そうですわね……ジュリウスにまた会えたことが、嬉しくてたまりませんの」
ジュリウスの問いに、思わず笑みがこぼれた。
彼の姿も声も夢でなければ幻覚や幻聴の類でもない。ジュリウスの声が心地よかった。
今度こそ、この場所を命を懸けて守らなければ。後悔しない為にも。
きっと自分にとってジュリウスは自分の命よりも大切な存在なのだろう、とノルンは思う。
どうしてこんなにも惹かれてしまっているのかは分からないけれど。最初は一目惚れだった筈なのに、知れば知るほど惹かれていた。
「わたくし、ジュリウスがずっと守ってくれていたこの世界を今度はあなたと一緒に守りたいですの」
前よりずっと、この世界が素晴らしいものに思えた。
相変わらずアラガミに喰い荒らされ、人々はそんな神々にいつも怯えながら暮らしているような世界ではあるけれども。
いつかアラガミのいない、聖域のように緑豊かで平和な世界を作るために。
「ジュリウス。これからもあなたの力が必要なのですわ。だからわたくしに力を貸してくださらないかしら」
「そんなこと、頼まれるまでもないな」
この幸せな日々が、束の間ではないことを願って。