情景を宿す

「最早お前は目標とすべき存在だな」

久々にジュリウスと二人きりのミッション。最後に二人で任務をこなしたのは、ロミオが死んで少し経った頃だ。
話があるから時間が欲しいと。そこでジュリウスがブラッドを抜けるのだと聞かされた。ノルンにとってはあまり良い思い出ではない。
あの頃のように、ジュリウスが本心を告げずにブラッドを去ってしまう心配はないと分かっているけれど。

一日でも早く戦いの勘を取り戻す為に、ジュリウスとロミオは普段シエルが組んだ特別な訓練もこなしている。
ジュリウスから実戦での動きを見せてほしい、と言われたときは少し驚いた。
彼も以前の勘はまだ取り戻していないかもしれないけれど、十分に戦えているように見える。
それでも彼の役に立てるのならと、あまり重くないミッションに二人で向かった。

倒したアラガミを捕喰しているノルンに、ジュリウスの先の言葉。
確かに入隊した頃はコンゴウやグボロ・グボロにも苦戦していたし、あの頃よりは楽に倒せるようになったけれど。

「わたくしにとっては、いつまでもジュリウスが目標ですわよ。あなたはわたくしの隊長ですもの」

きっとそれはいつまでも変わらないのだろう、とぼんやり考える。
ノルンが尊敬し、憧れるブラッド隊長はずっとジュリウスただ一人だった。
自分がロングブレードを使っているのも元々はジュリウスへの憧れからだ。

「あなたから教わりたいことが、まだまだたくさんありますのよ」
「俺に教わらなければならないようなことはもうないだろう」
「わたくしがあなたに出来ることよりは多いですわ」

自分のような無鉄砲な戦い方をする神機使いを目標にしてもらっても困る、なんて。彼に目標とされるのは嬉しくもあるのだけれど。
そろそろ帰るか、と口を開いたジュリウスに小さく頷いた。
今もジュリウスにこんなにも憧れている。