決壊

荒廃した世界で、神々に抗う自分はきっと長生き出来ないのだろう、とぼんやり思う。
こんな時代なのだから平和に暮らし、静かに死ぬことは出来ないだろうけれど。せめて、彼より長く生きたい、と。
たとえ彼に仲間の一人としてしかも見られていなかったとしても、仲間を失う悲しみを彼にもう二度と背負ってほしくなかった。無茶な願いかもしれないけれど。

「でも、もしも仮にわたくしが先に死んでしまうことがあれば、ジュリウスに看取ってもらいたい、と。そんなわがままな願いを抱いてしまいますの」

自分の死を背負ってほしくはないのに、看取ってほしいだなんて、我ながら矛盾しているような気がする。
ジュリウスや、ブラッドの仲間が死んでしまうところは自分も見たくないけれど、自分の知らないところで仲間が命を落としたり、行方不明として扱われたら、そのほうが怖いと思うのだ。

「もちろん、死ぬつもりはありませんけれど。仲間が突然いなくなる絶望感は身をもって知っていますもの」

今でも脳裏にこびりついて離れない記憶に思わず苦笑する。
あんな経験を仲間に繰り返させない為にもまだまだアラガミに喰われたり、ましてやアラガミになってしまうわけにはいかない。

「……知っているのなら、無茶をするのはやめてほしいがな」
「そ、それは、戦闘になると体が勝手に……。う……その、ゴメンナサイ」

つい命懸けで仲間を庇おうとしてしまうのは自分の悪いところである、と分かっているのだ。
嗚呼、でもやっぱり好意を寄せる相手に面と向かって指摘されると申し訳なく思う。
それでも彼に駄目な部分を指摘してもらえるくらいには仲間として頼られているのかもしれない、なんて思って少し幸せな気持ちになるのだから重症かもしれない。