「……ジュリウス、すき、です」
震える声でそれだけ紡いだ。
決して彼と共に人生を歩むことは出来ないと分かっているのに、それでもせめて今だけはと願ってしまう。
初めて庭園で会ったときは綺麗な人だと思った。まるで美術品のような――世の中にこれほど整った顔立ちの人間が存在するのかと。
強くて、格好良くて、憧れの隊長。思わず見惚れてしまう。
「ノルン、俺は」
「……もちろんあなたに受け入れてほしいとも、ましてやあなたに好かれたいとも思っておりませんのよ?」
あなたが思っているほど綺麗な人間ではないのです、と。
この人に会わなければきっと今ほど強くなりたい、なんて望むこともなかったのだろう。彼の背中を預けてもらえるくらい強くなりたい、頼ってもらいたい。それが全て良い方向に働いていないことは自覚しているけれど。
例えば無茶が増えた。自覚はあるのになかなか直らないから困りものだ。
「……でも」
「でも?」
「許されるならば、今だけでいいので、あなたの時間が欲しい」
今だけは隣にいてほしいと、何があったわけでもないのだけれど、そんなことを思った。